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2012.10.25
昭和18年夏、五十嵐聡は渋谷駅近くで雨宿りをしているとき、日赤病院の看護婦・北野由紀江と知り合う。若い二人は互い好意を寄せ合うようになり、限られた時間を大切にしていたが、次第に戦争の影が忍び寄り二人を引き裂いていく。
その年の10月、国は兵力不足を補うため、文系在学20歳以上の大学生を対象に「学徒出陣」を実行した。
聡は徴兵されて陸軍航空兵となり厳しい訓練に明け暮れる。過酷な軍隊生活の中で次第に馴らされ、軍人らしくなっていくのが何ともやりきれない。
一方、由紀江は疎開先の病院で看護婦として働くが、いつしか聡との手紙のやりとりも途絶えてしまい、不安な日々を過ごしていた。
戦局は悪化の一途をたどり、聡の属する航空隊でも特攻志願を強いられるようになった。
昭和20年春、特攻隊員として陸軍の知覧基地へ赴任した聡は、出撃を目前にして由紀江に会うことができるのだが・・・。
本書は、戦争という、個人の力ではどうすることもできない時代の純愛物語である。
今の日本では至極当たり前のことが不可能だ。
まこと、切なすぎて、ラストは涙なしに読むことができない。
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