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2012.11.4
【著者】真保裕一 【装丁】新潮文庫 (上)441頁(下)390頁
【価格】(上)590円+税(下)552円+税【発行】平成17年5月
商社に勤めていた駒井健一郎は、故郷の静岡県で進行中だった特別養護老人ホームの受注計画で取引に失敗し、子会社へ左遷された。
待っていた職場では仕事を奪われ、退職せざるを得なくなった。こうなると、妻は娘を連れて家を出る、という事態になる。
失意の日々を過ごしていた健一郎の前に現れたのは、高校時代の友人、天知達彦だ。健一郎と達彦は恋敵だったこともあり、決して親しい関係ではなかったが、お互いにその力を認め合うところがあった。
達彦は東京大学を出て中央新聞に勤務していたが、組織内で押しつぶされて行き詰まり、新聞社を辞めたという。
次に選んだ道が政治家だ。次の衆議院議員選挙に地元の静岡10区から出馬するという。健一郎は、その時まで達彦の秘書として選挙運動をすることを承諾する。月給は25万円だ。金のない達彦にそれ以上要求することはできない。
さて始めてみると、事務所ひとつ借りるのも簡単にはいかない。スタート時点から困難の連続だ。
基本は街頭演説である。毎日、駅前などで道行く人に訴える。「政治を私たちの手に取り戻そう」。
それでも高校時代の友人を中心に支持者の輪が広がって、マスコミにも取り上げられるようになる。しかし、知名度があがるに従って妨害活動も目立ってきた。
ひとつのことに情熱的に取り組む。新しい形の青春小説とも言えそうだ。
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