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2012.11.8

文庫ライブラリ

ダイイング・アイ


【著者】 東野 圭吾      【装丁】 光文社文庫 408頁
【価格】 667円+税      【発行】 2011年1月

日常的に起きる交通事故。さして珍しくもない出来事ながら、そこには人の命がかかっており、被害者はもちろんのこと、加害者にも大きな傷を残すことになる。
バーテンダーの雨村慎介は、閉店間際、たった一人残っていた客を送り出そうとしたとき、後頭部を襲われ重傷を負う。犯人のマネキンデザイナーは、1年半前、慎介が交通事故で死なせた女性の夫、岸中だった。岸中は慎介を襲った後、自殺してしまう。岸中は、今になって慎介に個人的復讐を果たそうとしたのだろうか。
実はこの事故、慎介の乗った車がハンドルを切りそこなったものの、実際に女性を轢いたのは別の車だった。
怪我の影響で記憶の一部を失った慎介が、その事故について調べてみると、周囲の人間たちが不穏な動きを見せ始める。事故の陰には何やら秘密があるようだが、今の慎介には思い出せない。
やがて、慎介の店に怪しい魅力に満ちた女が現れる。
どこかで見たような気がする女性だが、正体がつかめない。
ところが、慎介が次第に記憶を取り戻すにしたがって、事実が明らかになってきた。
交通事故という社会的なテーマでありながら、そこは東野流のミステリーに仕立て上げられている、いかにも現代を代表する作家の作品というべき一冊である。



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