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2012.11.24

文庫ライブラリ

トーキョー・プリズン

【著者】 柳 広司    【装丁】角川文庫 420頁
【価格】 667円+税  【発行】平成21年1月

ニュージーランド人の私立探偵、エドワード・フェアフィールドは、太平洋戦争中に行方不明になった知人を捜索するため、スガモプリズンを訪れた。戦犯たちの供述を調べて、そのなかから手がかりを得ようとしたのだ。
応対に当たった副所長、ジョンソン中佐は、彼の申し出に応じたものの、交換条件を提示した。それは、サトル・キジマという囚人についてのものだ。このキジマという男、5年前からの記憶を失っており、戦時中の自分の行動についてまったく認識がない。キジマの主な容疑は捕虜虐殺だが、本人の記憶がないため裁判を開始することができない。フェアフィールドへ提示された条件とは、このキジマの記憶を回復させてほしいというものだ。
実は、スガモプリズンでは、このとき毒物による変死事件が相次いでいた。キジマは、こうした事件について、鋭い推理力を示した。キジマが相当の人間であることは分かったが、果たして戦争犯罪人として裁かれる立場にあるかどうか。

キジマの婚約者であるキョウコとその兄、イツオは彼の無罪を立証すべく奔走するが、なかなか思うように行かない。
戦争が犯した罪は、果てしなく重い。本書は、その暗部を抉る傑作ミステリーである。





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