このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

なぜ起こる鉄道事故

【著者】  山之内秀一郎   【装丁】 朝日文庫 329頁
【価格】  700円+税  【発行】 2005年7月


長年にわたり国鉄で安全対策に取り組んだ著者が、国内外で起きた鉄道事故の原因と、その時々の安全対策を検証した力作である。
事故が起きてはじめて分かることもあれば、実施した対策が次第に効果を失うこともある。事故は、“モグラたたき”のモグラのように、システムの隙間をねらって顔を出す。
ATS導入後しばらくたった1968年、中央線御茶ノ水駅で下り電車が先行電車に追突する事故が発生した。中央線では、先行電車への接近を警告する警報ブザーが頻繁に鳴り、運転手が確認ボタンを押す(ATS解除)のが常態で、確認の意味をなしていなかったのだ。
著者は、この事故の責任がすべて運転士にあるとは考えない。
マンとマシーンの関係について「最後の決め手は人間」としながらも、安易な精神論に陥るこを戒める。戦略的な安全対策の核心を「人間を含めたシステム」としている。
こうした姿勢こそ、次の安全対策への大事なステップなのであろう。




2010.6.24

文庫ライブラリ

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください