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【著者】 有川 浩 【装丁】 幻冬舎文庫 269頁
【価格】 533円+税 【発行】 平成22年8月
阪急今津線を舞台にした群像劇である。
電車が宝塚から西宮北口までを往復する間、各駅ごと、乗り降りする人々が触れ合いながら話がリレーされていく。往路で登場したメンバーが復路でも再度登場し、それぞれがかかえている人生のテーマに道筋をつけていくという構成だ。
本書の魅力は、この組み立ての妙と、登場人物の身近さだろう。
電車が一駅進むごとに恋の芽生えがあり、裏切り男への恨みがあり、女子高生の喧騒がある。私たちが普段見かける光景が生き生きと描かれる。
今津線は、阪急の路線の中ではローカルで地味な印象だが、小林駅のように静かな駅がある一方で、阪神競馬場や名門私立大学、宝塚大劇場もあるという変化にとんだ路線である。
本書は今津線の沿線案内としても秀逸で、その魅力を余すところなく伝えている。鉄道ファンならずとも、是非訪れてみたいと思わせる力をもった一冊だ。
2010.10.12
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