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【著者】 司馬 遼太郎 【装丁】 文春文庫 (上)343頁(下)319頁
【価格】 (上)514円+税(下)514円+税 【発行】 (上)(下)2005年9月
司馬遼太郎が得意とする戦国時代ものである。
この時代、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康といった御三家のほか、武田信玄、上杉謙信、伊達政宗など、物語の主人公にはこと欠かないが、本書の主役は四国の長曾我部元親である。全国区というにはやや弱いが、高知での人気度は高い地元のヒーローだ。
野望に燃えた元親は、土佐を征服するとさらに四国統一を目指し、京都の信長に対抗する。これに対し、信長、秀吉ともに四国掌握のため元親を攻撃する。元親は破れ、秀吉の臣下となる。
戦国時代、すべての大名が勝者になれるわけではない。結局のところ天下をとる者はただ一人である。こうした権力闘争の中で、上手に生き延びる者もいれば運悪く抹殺される者もいる。
元親は関が原の役の前年に亡くなるが、家督を相続した四男盛親は関が原の役で西軍について破れ、翌年家康によって改易される。
改易された土佐へ乗り込んできたのは“功名が辻”の主人公・山内一豊である。さしたる武功があるわけでもないが、世渡り上手での大出世だ。
その後、長曾我部は大阪夏の陣で歴史から完全に消えてしまう。
さて、読者は長曾我部と山内と、どちらの側に共感するだろう。
2010.10.20
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