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霧の旗

【著者】 松本 清張   【装丁】 新潮文庫 353頁
【価格】 552円+税   【発行】 昭和47年1月

殺人容疑で死刑判決を受けた小学校教師の兄の無罪を信じている柳田桐子は、冤罪を晴らしてもらうべく、刑事裁判で実績のある高名な弁護士・大塚欽三を訪ねて北九州から上京した。彼女は大塚に行き会い弁護を懇請するが、多忙なことと弁護費用が高額なことを理由に受けてもらうことができない。
もともと大塚は正義感の強い弁護士だが、たまたまその日は愛人と会う予定があり、時間が切迫していて十分な応対ができなかった。
その後、桐子の兄は獄中で病死するのだが、ここから彼女の執拗な復讐が始まる。北九州から上京し、バーに勤めながら機会をねらう。
そして、そのときがやってきた。
大塚弁護士の愛人は河野径子といい、銀座で高級レストランを経営している。この愛人が桐子の兄の場合と同様に殺人事件に巻き込まれるのだが、その運命のカギを桐子が握ることになる。彼女は決して大塚を許そうとはしない。
本書を読んで身にしみたこと、
その1、日本の裁判制度では、金がない者には不利、
その2、因果は巡る、
その3、女の恨みは理屈抜き、
といったところだろうか。




2011.1.12

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