このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

西の魔女が死んだ

【著者】 梨木 香歩   【装丁】 新潮文庫 226頁
【価格】 400円+税    【発行】 平成13年8月

“まい”は2年前、中学校に入ったばかりのころ不登校になり、田舎に住んでいるおばあちゃんのところへ預けられた。
まいのお父さんは単身赴任中で、まいは仕事を持っているお母さんと暮らしている。
おばあちゃんとの生活は変化の乏しいものだが、現代の社会が見失ったものを大切にしている。野いちごを材料にしてジャムを作る。飼っているニワトリの卵をとってきて玉子焼きを作る、といった具合である。着るものでも、いらなくなったナイトウェアをエプロンに再利用するなど、つい最近まで当り前に行われていたことをいまだもって続けている。
おばあちゃんがまいに教えたのは、人が長い間かけて自然から学んできたものや、生活するための基本的な有り方といったものではないだろうか。
まいは、クラスでの友だち関係のこと、死ということ、近くに住むゲンジさんのことなど、抱えている様々な疑問をおばあちゃんにぶつけるが、おばあちゃんは答えを示すのではなく、自分で考え自分で決めるよう促す。それがおばあちゃんのいう「魔女修行」なのだ。
そのおばあちゃんが亡くなった。実のところ、おばあちゃんとは2年の間疎遠だったのだが、汚れたガラス窓に伝言を発見したとき、まいはおばあちゃんのあふれるばかりの愛を実感することになるのだった。



2011.2.1

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