このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください
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扉は閉ざされたまま
【著者】 石持 浅海 【装丁】 祥伝社文庫 321頁
【価格】 600円+税 【発行】 平成20年2月
2005年に刊行された著者5作目の長編小説で、「このミステリーがすごい!」第2位に選ばれてベストセラーになった。
本書は冒頭、犯罪場面から始まる「倒叙ミステリー」である。テレビドラマの「刑事コロンボ」や「古畑任三郎」でなじみになった形式だ。
大学の同窓会で、7人の級友が成城の館に集まった。メンバーの一人である安東の祖父が自宅にしていた豪邸である。
伏見亮輔は館に到着後、夕食までの間に後輩の新山和宏を殺害する。薬で眠らせ、離れ2階客室内の風呂で溺死させ、事故に見せかけるつもりである。部屋のドアはノブの中央にあるボタンを押せば自動的に閉まる仕組みである。これで密室が出来上がった。
午後6時、食堂へ集合時間する時間である。新山が来ないのを不審に思いながらも、6人で飲み会が始まった。数時間が経っても新山はやって来ない。さすがに不安になったメンバーは梯子をかけ、新山の部屋を庭から覗いて見る。もちろん浴室で死んでいる新山の姿は見えない。
「倒叙ミステリー」は、読者を惹きつけるために、それなりの難しさがある。事件の全容が分かっているだけに、犯人探しには、犯人も読者も気づかない“キー”を用意しておくことが必要だ。本書の場合、それがかなりの部分、犯行動機と重なっているのが特徴である。
さて、ミステリーでは凄腕の探偵の登場が必須条件だ。本書では、碓氷優佳という魅力的な女性がその役を果たす。もちろん鋭いばかりでなく、とびきりの美人である。
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