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【著者】 天野 節子    【装丁】 幻冬舎文庫 457頁
【価格】 686円+税    【発行】 平成22年10月

「氷の華」で鮮烈なデビューをした著者の第2作である。
限られた登場人物の中から犯人を探り当てるという、推理小説としてはオーソドックスなつくりである。
建設会社社長、堂島新之助の誕生日パーティーがミステリーの始まりだ。当日(10月4日)、彼の子どもや知人など、9人が集まって誕生日を祝う予定だったが、肝心の新之助が時間になっても食堂へ現れない。不審に思った参加者が屋敷内を捜したところ、自室2階ベランダ下のコンクリートへ頭を打って死んでいるのが発見された。
警察の検視の結果、自殺ということで落着したのだが、誰しもすっきりしない気持ちのまま1週間が過ぎた。
10月11日、初七日の法要には、誕生日パーティーに招かれた長女夫婦(苑子・直明)とその子(弘樹)、長男(大輔)と婚約者(香苗)、長男の友人(拓真)、次女(貴和子)、三女(あかり)とその友人(小枝子)の9人が再び顔をあわせた。このほか居合わせたのは、家政婦(清美)、料理人(宮本)、運転手(松浦)の3人だ。
法要が終わってしばらくしてから事件が起きる。庭の池で宮本の死体が発見され、加えて貴和子もピアノレッスン室で死体で見つかったのだ。そして、松浦が謎の書置きを残して失踪する。
本書では、最後の最後まで登場人物の特徴描写がないため、読者が途中で犯人を特定することは難しい。
読み終わって、なるほど、と思うか、う~ん、と唸るかは読む人の感性で分かれるところだろう。



2011.7.6

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