このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
トップページ > 不定期刊・きょうのトピックス > 不定期刊・きょうのトピックス2014年(平成26年)分 >radiko新サービス開始。しかし…
radiko新サービス開始。しかし…(2014年〔平成26年〕4月1日公開)
パソコンやスマートフォンで自分がいる地域のラジオ放送を聴取できるサービス、すなわちradikoはこれまで位置誤判定が起きない限り自分がいる地域以外のラジオ放送を聴取することはできなかった。しかし、本日から有料ではあるがradikoに参加している大半の放送局の番組を日本全国で聴取できるサービス「radiko.jpプレミアム(エリアフリー聴取)」が始まった。既に携帯電話またはスマートフォンで都道府県域民間エフエム放送局の番組を日本全国で聴取できるサービス(注1)はあったのだが、民間中波放送局が一部ではあるが参加するサービスは今回が初めてとなる。
まあ携帯電話またはスマートフォンで都道府県域民間エフエム放送局の番組を日本全国で聴取できるサービス自体が有料なのだから「radiko.jpプレミアム(エリアフリー聴取)」が有料になることについては別に異論をはさむ気はない。一方で利用料金はかかるが地域色豊かな、普段いくら努力しても聴けないような番組を聴けるようになることは朗報だと思っている方はいくらかいることであろう。しかし、気になる面も多くある。それを今回は綴ってみたい。
1 未だに参加しないでいる放送局が少なくないこと
中国地方にある都道府県域民間ラジオ放送局で現在radikoに参加しているところは下表の通りである。
放送区域 | 放送局名・略称・所在地 | 参加年月日 | 備考 |
---|---|---|---|
鳥取県 島根県 | 山陰放送ラジオ (BSS、米子市西福原一丁目) | 2012年(平成24年)1月30日 | 開局当初から鳥取・島根両県を放送区域としている。 |
広島県 | 中国放送ラジオ (RCC、広島市中区基町) | 2011年(平成23年)7月20日 | |
広島エフエム放送 (HFM、広島市南区皆実町一丁目) | 2011年(平成23年)7月20日 |
中国地方にある都道府県域民間ラジオ放送局は8社だから今のところその半分も参加していないということになる。参加しない理由としては現状では必要を感じないことや参加に何らかの障壁(費用ではないかと考えられる)が存在すること、参加するのなら何らかの見返りがあってしかるべきだと考えていること、位置誤判定を起こしやすいことなどが考えられる。そういう潮流の中でなぜ山陰放送ラジオと中国放送ラジオ、広島エフエム放送はradikoに参加したのだろうか。恐らく次に示す事情があったからではないかと考えられる。
・山間部を中心に中継局を設置していないために受信しにくい地域が少なくない。
・経営状況を考えればこれ以上の中継局設置は困難である。
・(特に山陰放送ラジオについて言えることなのだが)放送区域が日本海に面している関係上国内外の放送局との混信がよく起きている。
・長い間多くの方々に親しまれている番組を放送区域全域で楽しめるようにしたい。
山陰放送ラジオ・中国放送ラジオ・広島エフエム放送のいずれにしても経営環境は厳しいものがある(注2)。それでもradikoに参加したのはそれ相応の効果があると判断したからであろう。ならば未参加の5社にはそういうものはないのだろうか。私は次のように考えている。
放送区域 | 放送局名・略称・所在地 | 参加を決意しても良いと思う理由 |
---|---|---|
鳥取県 島根県 | エフエム山陰 (愛称:V-air。松江市殿町) | ・山陰放送ラジオが中継局を設置していない隠岐や山間部にも中継局を設置しているが、それでも島根県鹿足郡など受信が困難な地域がある。 ・日本海に面している関係上、山陰放送ラジオと同じく国内外の放送局との混信が起きる可能性がある。 ・山陰地方出身で、山陰地方を中心に活動している歌手(安来のおじ、六子〔ろこ〕など)が担当する番組がいくつかあるなど経営環境が厳しい中でも地域色豊かな番組を放送している。 |
岡山県 | 山陽放送ラジオ (RSK、岡山市北区丸の内二丁目) | ・中波ステレオ放送を実施したことのある民間中波放送局で唯一radikoに参加していない。 ・政令指定都市を有する道府県に本社を置く民間中波放送局で唯一radikoに参加していない。 ・最近ではJリーグ二部に所属するファジアーノ岡山のホームゲームを中継している。 |
岡山エフエム放送 (岡山市北区中山下一丁目) | ・1999年(平成11年)に開局した時から全く中継局の新設を行っていないために受信が困難な地域がある。 ・岡山県内でも受信できるFM802(大阪市北区天神橋二丁目)の本局と周波数の近い周波数を使っている中継局が三つ(笠岡・津山・新見各中継局。いずれも80.4MHz)もあり、混信を起こしやすくなっている。 ・岡山県南部地域で聴いている人の多いエフエム香川(高松市西宝町一丁目)には自社制作番組の割合や一週間の放送時間などで劣るもののエフエム香川はまだradikoには参加しておらず、もし参加すればその点で優位に立てる可能性がある。 ・自社制作番組のパーソナリティーの中には他の放送局で経験を積んだ方が少なくないこと(注3)を思うと知名度の低さはもったいないと感じられるものがある。 | |
山口県 | 山口放送ラジオ (KRY、周南市徳山) | ・山口県に隣接する県を放送区域とする民間中波放送局は全てradikoに参加しており、radikoに関しては四面楚歌の状態になっている。 ・日本海に面している地域については国内外の放送局との混信が起きる可能性がある。 |
エフエム山口 (FMY、山口市緑町) | ・日本海に面している地域については国内外の放送局との混信が起きる可能性がある。 |
未参加の5社のうちエフエム山陰・岡山エフエム放送・エフエム山口は携帯電話またはスマートフォンで都道府県域民間エフエム放送局の番組を日本全国で聴取できるサービスにも参加しているのだからradikoに参加する必要はないと思っているのかもしれないし、更にエフエム山陰の放送区域となっている島根県はドコデモFMの宣伝に出ているアニメ「秘密結社 鷹の爪」の登場人物・吉田くんの出身地となっており、エフエム山陰としてはそれを裏切る格好になるradikoへの参加には消極的になっていることが考えられる(注4)。このように考えるとradikoは微妙な立場に置かれているサービスと言える。
2 ラジオ局の経営環境が厳しいこと
都道府県域民間ラジオ放送局も経営が厳しいことを痛感させられる出来事がここ数年多かった。その状況を記すと下表の通りになる。
放送区域 | 放送局名 | 所属 系列 | その後 |
---|---|---|---|
岐阜県 | 岐阜エフエム放送 | JFN | 2014年(平成26年)にエフエム岐阜(愛称:Radio 80〔レディオエイティ〕。大垣市小野四丁目)に事業譲渡して清算(注5)。 |
愛知県 静岡県 | 愛知国際放送 | Mega Net | 2010年(平成22年)廃業(注6)。 |
大阪府 | FM COCOLO | Mega Net | 2012年(平成24年)にFM802(大阪市北区天神橋二丁目)に事業譲渡して清算。現在はFM802本社と同じ場所に演奏所を置いており、FM802は一社二波方式でFM COCOLOの放送を維持している。 |
兵庫県 | Kiss-FM KOBE | JFN | 2010年(平成22年)に民事再生法の適用を申請して倒産した後兵庫エフエム放送(愛称:Kiss FM KOBE。神戸市中央区波止場町)に事業譲渡して清算。 |
福岡県 | エフエム九州 | JFL | 2008年(平成20年)にCROSS FM(北九州市小倉北区京町三丁目)に事業譲渡して清算。 |
九州国際エフエム | Mega Net | 2011年(平成23年)にコミュニティ放送局の天神エフエム(愛称:FREE WAVE。福岡市中央区今泉一丁目)に事業譲渡して清算(注7)。 |
上表からうかがえるのは日本の民間エフエム放送局で最大の系列であるJFN系列に属する都道府県域民間エフエム放送局でも経営難に見舞われていることと外国語放送を実施している民間エフエム放送局が加盟する系列であるMegaNetに属する都道府県域民間エフエム放送局がことごとく経営難に陥り、廃業という最悪の事態が起きているということである(注8)。なぜこのようになったのかを挙げると次の通りになる。
・放送区域内(それも人口が集中している地域)で既に広く浸透し、親しまれているラジオ局がある中で開局したこと。
・開局した時期がバブル景気の終焉後で、浸透を図ろうとしても困難な状況があったこと。
・広告収入がバブル景気終焉後の長期的な不況やインターネットの急激な普及で伸び悩んだこと。
・既存の放送局との差別化が図れなかったこと。
・阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)を契機に日本在住の外国人に対する情報提供が考えられるようになったのは良いのだが、やり方が良かったとは言えなかったこと。
更に驚愕すべきことは大都市及びその近隣の地域を放送区域とする放送局で経営難が起きているということである。我々には大都市のない地方や経済力の脆弱な地方のほうが経営難が起きやすいのではないかという先入観があるのだが、なぜこのようになったのか。私は見映えの良さに走り、その地域の持つ特色を軽んじたことでかえって聴取者に親しまれなくなり、やがて経営難に陥ったのではないかと考えている。確かにエフエム放送は若者の聴くものという先入観があることや若者は都会的なものや格好の良いもの、面白いと思うものに憧れる傾向があること、自社制作番組を田舎くさいなどとバカにする風潮があること(注9)は考えなければならないのだが、見映えを良くすれば、視聴者または聴取者に支持されるものを選んで作り続ければ良いというものではない。最近フジテレビジョン(CX、東京都港区台場二丁目)が視聴率不振にあえいでいることはよく知られているが、その原因は見映えを良くすれば、視聴者に支持されるものや視聴者が面白がってくれるものを選んで作り続ければ良いという発想に陥り、地道に努力することをやめてしまったことにあるのではないのだろうか。その犠牲になった番組の一つが子供向け番組(注10)であるが、もし今でも子供向け番組を制作・放送し続けていれば悲惨な現状は回避できていたかもしれない。つまり、放送局には派手さや見映えの良さは必要なく、反対にその放送局の独自性や地道な努力が必要だということなのである。
例えば終夜放送を行わない都道府県域民間ラジオ放送局は遅れているという風潮がある。しかし、そういう風潮に一切耳を貸さないところがある。中国地方の放送局ではないのだが、岡山・広島・山口各県の瀬戸内海沿岸や島嶼部で受信できるエフエム愛媛(松山市竹原町一丁目)である。広島エフエム放送より10ヶ月早く開局したエフエム愛媛はJFN系列に属する民間ラジオ放送局なのだが、JFN系列に属する民間ラジオ放送局で唯一終夜放送は実施していないのである(注11)。なぜ終夜放送を実施しないのか、考えられる理由を挙げると次の通りになる。
・愛媛県は四国地方に属する県で最も人口が多く、県庁所在地の松山市は四国地方最大の都市であり、更に四国地方で初めて50万都市になったのだが、経済力が脆弱であること(注12)。
・開局当初から自社制作番組を多く設定しており、多くの聴取者から親しまれていること。
・もし終夜放送に移行したとするとその代償で自社制作番組をいくつか打ち切らざるを得なくなること。
・自社制作番組の打ち切りは聴取者の支持を失うことであり、更に広告収入の減少を招くことでもあるので踏み切るべきではないと考えていること。
・愛媛県は周辺各県(岡山・広島・山口・徳島・香川・高知・福岡・大分・宮崎各県)の都道府県域民間エフエム放送局が受信できるところが少なくないのでエフエム愛媛が流さない番組はそれらの放送局を聴取することで補完すれば良いと考えていること。
当然のことながらエフエム愛媛には終夜放送への移行を求める声は多く寄せられていることであろう。しかし、民間中波放送局でも岐阜放送ラジオ(GBS、岐阜市橋本町二丁目)が現在は一切終夜放送を行っていない(注13)し、山陰放送ラジオのように月曜日早朝だけでなく日曜日早朝にも放送休止時間を設けるところもある。そのことを考えればJFN系列に属する民間ラジオ放送局でもこういうところはあっても別に構わないのではないのだろうか。
放送局が独自性を発揮し、多くの人々に親しまれるようになることと聴取者の欲求を満たす放送を行うことは地方においては両立させることが困難な問題である。だからどちらかを犠牲にしなければならない。それがうまく調整できているからこそ地方の民間放送局は経営難に見舞われたり事業譲渡や旧運営会社の清算を経験したりせずに済んでいるのではないのだろうか。ただ、今後の人口減少や経済力低下を考えればどうなるかは分からないのだが…。
3 ラジオの新サービスはことごとく廃れてしまったこと
実は昨日をもってごく一部の放送局を除いてあるサービスが終了した。JFN系列に属する民間放送局で行われていたエフエム文字多重放送、いわゆる「見えるラジオ」である。1994年(平成6年)に始まったこのサービスは開始当時盛んに宣伝が流されていたものであるが、ちょうどインターネットが急速に普及した時期と重なったためにあまり普及しなかった。JFN系列に属する民間放送局が今年3月31日をもって「見えるラジオ」を終了するという告知を出して初めてその存在に気付いた方や「まだあったの?」と思った方はかなりいたことであろう。
ラジオのサービスとして普及しなかったものといえば他には中波ステレオ放送が挙げられよう。1992年(平成4年)以降大都市を放送区域内に擁する放送局を中心に導入されたのだが、これも今では導入しているところは少なくなっており、取りやめは時間の問題と化している。中国地方でも山陽放送ラジオと中国放送ラジオが導入していたのだが、どちらも今は取りやめている(注14)。
どちらも時代のあだ花と揶揄する声もあるのだが、やはりラジオという放送媒体自体が昔ほど親しまれなくなったことやインターネットが急速に普及したこと、対応機器が少なかったこと、参加する放送局が少なかったこと、そしてインターネットを活用すれば何でもできる状況になったことがこれらのサービスが普及しなかった原因ではないかと思われる。そこでパソコンやスマートフォンでラジオ放送が楽しめるサービスが発想されたのだろうが、どれだけの知名度を持ち、どれだけ定着しているのかが気になるところである。まあエフエム文字多重放送(見えるラジオ)や中波ステレオ放送と違って対応する製品は多数あることや受信困難地域に住んでいる方や聴きたい番組があるのに聴けないでいる方の需要が考えられることを考えれば後は参加局を増やすことと知名度を上げることが課題になってくるのではないのだろうか。
radikoを運営している会社(radiko〔東京都港区新橋二丁目〕)としてはコミュニティ放送局を除く全ての民間ラジオ放送局の参加を目指しているという。対応する製品は多数あることを思えばエフエム文字多重放送(見えるラジオ)や中波ステレオ放送と同じ轍は踏まないのではないかとは思うのだが、このままではどうなのかなと考えたくなる。今回新サービス、すなわちradiko.jpプレミアム(エリアフリー聴取)が始まったことで新たな参加局が出てくることも考えられるのだが、どのようにすればエフエム文字多重放送(見えるラジオ)や中波ステレオ放送と同じ轍を踏まないで済むようになるのか。私は次のように考えている。
・参加を見合わせている理由を分析し、参入障壁を軽減する努力をすること。それなくしては更なる広まりは期待できないだろうし、エフエム文字多重放送(見えるラジオ)や中波ステレオ放送と同じ轍を踏むのではないのだろうか。
・聴取者の満足を満たすことよりも独自性を発揮することに重きを置くこと。同じような放送を流すところが近隣に二つも三つもあってはどうにもならないし、移行しないと遅れていると見なされることの多い終夜放送についても民間放送局以上に受信環境が整備されている日本放送協会(NHK、東京都渋谷区神南二丁目)がラジオ第一とエフエム放送で実施していることを考えれば見直す動きがあっても良いのではないのだろうか。
・中波放送は高齢者が聴くもの、エフエム放送は若年者が聴くもの、短波放送は株式投機や競馬に興味がある人が聴くものというような固定的な見方があるが、それを解消するように努めること。例えば高齢化や過疎化が進展している地域を放送区域とするエフエム放送局で中高年向けの番組を設定しても良いのではないのだろうか。
・どの年代でも使えるように努めること。例えば山陰放送ラジオは山間部での受信困難がradikoに参加した理由の一つであるが、山間部はほとんどの地域で過疎化や高齢化に見舞われており、そういう地域に住んでいる高齢者が使えないようでは意味がない。
・知名度が向上するように努めること。開始した時だけ盛んに宣伝したのにその後は…というのではエフエム文字多重放送(見えるラジオ)や中波ステレオ放送と同じ轍を踏む恐れがある。「○○ラジオが受信しにくい方はradikoで聴いて下さい」というような宣伝を随時入れてはどうであろうか。
携帯電話またはスマートフォンで都道府県域民間エフエム放送局の番組を日本全国で聴取できるサービスとの兼ね合いも気になるところであるが、果たして今後どうなっていくのであろうか。私自身は日経ラジオ社(愛称:ラジオNIKKEI。東京都港区虎ノ門一丁目)を聴く時以外は使わないサービスである(中国放送ラジオ・広島エフエム放送とも十分受信できるところに住んでいるし遠隔地の放送局を苦労してまで聴こうとは思っていないから)が、今後に注目していきたいと思う。
(注釈コーナー)
注1:携帯電話またはスマートフォンで都道府県域民間エフエム放送局の番組を日本全国で聴取できるサービスとしては次のものがある。
サービス名 | 実施会社名 | 聴取可能放送局 | 備考 |
---|---|---|---|
LISMO WAVE | KDDI | 都道府県域民間エフエム放送局全社 (53社) | KDDI(東京都千代田区飯田橋三丁目)の携帯電話サービスのブランド名はau(そのためauの宣伝ではau by KDDIと言っている)。 このサービスが受けられる携帯電話は限られており、auの携帯電話であればどれでも良いというわけではない。そのことも分が悪くなる一因になったと言える。 都道府県域民間エフエム放送局は厳密には51社だがInterFM名古屋支社(愛称:InterFM NAGOYA。名古屋市瑞穂区北原町一丁目)は放送区域がInterFM本社(東京都品川区東品川一丁目)との放送区域とは離れていることや一部別番組を放送していることから、FM COCOLO(大阪市北区天神橋二丁目)はFM802(大阪市北区天神橋二丁目)に事業を譲渡して演奏所をFM802と同じ場所に移転したが放送体制は維持していることからそれぞれ1社として数えており、それで53社と表記している。 全ての都道府県域民間エフエム放送局を聴取できる点では良いのだが、最近では宣伝が流れなくなったりKDDIが主催していた有名歌手のライヴを全ての都道府県域民間エフエム放送局で同時生放送する企画が2012年(平成24年)を最後に開催されなくなったりするなど気になる動きが起きている。 |
ドコデモFM | エフエム東京 | JFN系列加盟全社 ラブエフエム国際放送 (39社) | 全てのスマートフォンで導入可能。 エフエム東京(愛称:TOKYO FM。東京都千代田区麹町一丁目)が旗振り役になっているためかJFN系列に属する放送局ではよく宣伝が流れている。 現在のところ独立局(6社)とJFL系列(5社)、ラブエフエム国際放送(福岡市中央区今泉一丁目)以外のMegaNet系列(3社)は参加していない。 |
注2:山陰放送ラジオ・中国放送ラジオ・広島エフエム放送それぞれの経営環境の厳しさを感じさせる事実(中継局の整備が進まないことを除く)は下表の通りである。
放送局名 | 事実 |
---|---|
山陰放送ラジオ | ・1990年(平成2年)春の改編でようやく終夜放送に移行したが、その時からずっと月曜日早朝だけでなく日曜日早朝にも放送休止時間を設けている。 ・日曜日深夜の放送終了は午前0時と中国地方の都道府県域民間ラジオ放送局で最も早い。 ・開局前のサービス放送開始時からほとんど休むことなく続いている長寿番組「音楽の風車」を夜に再放送するようになった。 |
中国放送ラジオ | ・アナウンサーの採用が数年に一回の割合になっている(特に男性アナウンサーの採用は最近ほとんどない)。 ・アナウンサーの減員が進められている。 ・平日夜の若年者向け番組が打ち切られた。 ・2004年(平成16年)8月以降定期の公開生放送番組を設定しなくなった。 ・福山支社(福山市北美台)が制作し、福山・府中・三原各中継局だけで流していた番組がなくなった。 ・「なんでもジョッキー」(1975〜2003年〔昭和50年〜平成15年〕放送)が終わってからの平日午後の自社制作のワイド番組の変遷が激しくなった。 ・2013年(平成25年)春の改編以降日曜日午前4時台の番組編成に苦慮している(現在は自社制作番組の再放送で埋めている)。 ・2014年(平成26年)春の改編で日曜日深夜(月曜日早朝)の放送終了時間が30分繰り上がり、午前1時になった。 ・中国地方の民間中波放送局で唯一TBSラジオ&コミュニケーションズ(TBS、東京都港区赤坂五丁目)制作の「ラジオ・パープル」をネットしていないため、月曜日の放送開始が午前5時と最も遅い(但しニッポン放送〔LF、東京都千代田区有楽町一丁目〕制作の「中島みゆきのオールナイトニッポン月イチ」を放送する日は午前3時放送開始となる)。 |
広島エフエム放送 | ・広島県内の多くの場所で置かれ、無料で入手できるタイムテーブルのサイズ・ページが縮小された上に2013年(平成25年)10月からは季刊になった。 ・定期の公開放送番組が縮小傾向にある(2013年〔平成25年〕10月以降は一つだけ)。 ・男女ともアナウンサー事情が良いとは言えない(男性は有力な若手がいないし、女性は結婚などを理由に数年で退職する人が少なくなく、長く活躍している人がいない)。 ・最近大阪・福山両支社を廃止したため広島県を放送区域とする民間放送局では唯一東京以外に支社を持たない放送局になった。 ・ジャパンエフエムネットワーク(JFNC、東京都千代田区麹町一丁目)制作の番組の改廃が激しい。 ・10年以上続いているようないわゆる長寿番組があまりない。 |
注3:例えば金曜日に二つもレギュラー番組(「Fresh Morning OKAYAMA」と「牛嶋俊明ドリームファクトリー」)を持っている牛嶋俊明は中部日本放送(CBC、名古屋市中区新栄一丁目)のアナウンサーだったし、「Fresh Morning OKAYAMA」の水曜日と木曜日を担当している森田恵子は学生時代には山陽放送ラジオの往年の人気番組「サンデーベスト」(1973〜2002年〔昭和48年〜平成14年〕放送)に出演し、大学卒業後は瀬戸内海放送(KSB、高松市西宝町一丁目)のアナウンサーとして活躍していた。
注4:「秘密結社 鷹の爪」の登場人物・吉田くんは雲南市吉田町出身という設定であり、ドコデモFMの宣伝の中には自分の故郷の島根のエフエム放送が聴けるようになると喜ぶ場面がある。また、吉田くんを島根県の宣伝に活用している関係上エフエム山陰は毎週金曜日午前1時からエフエム東京(愛称:TOKYO FM。東京都千代田区麹町一丁目)制作の「鷹の爪団の世界征服ラヂオ」を放送している(そのためエフエム山陰は金曜日だけ「BIG SPECIAL」は午前2時からの放送になっている)。
注5:岐阜エフエム放送の経営悪化→エフエム岐阜への事業譲渡→清算に至った経緯は本サイトからリンクを貼っている「
TOPPY.NET-INSIDE NAGOYA-
」の一コーナー「
TOPPYのくびったけブログ
」の今年2月20日の記事「
岐阜エフエムが解散・岐阜の対立の構図が招いた結果
」でも触れているので併せてご覧頂きたい。
※ちなみに岐阜エフエム放送は日本の都道府県域民間放送局で最後に開局したところでもある(テレビ放送はとちぎテレビ〔GYT、宇都宮市昭和二丁目〕が最後)。
注6:愛知国際放送としてはどうせどこが継承しようと経営難に陥るのは目に見えているとでも思っていたのか事業譲渡は全く考えていなかったものと思われる。愛知国際放送でニュースを担当していた女性のブログでは社名こそ出さなかったものの「廃業を知らせる貼り紙をぎりぎりまで出さなかった上に業務を引き継ぎたいと申し出た人に対しては『大変申し訳ないのですが遅すぎました』と言っている」と綴っており、愛知国際放送の廃業以外眼中になかった態度が垣間見える。確かに外国語放送局故に経営が低迷するのは致し方なかったとしても投げやりだとか熱意が全く感じられないと思うのは私だけであろうか。
※その後MegaNet系列の総本山であるInterFMが名古屋市瑞穂区北原町一丁目に支社を設置し、そこから放送を流す形で愛知県及びその周辺におけるMegaNet系列に属する民間ラジオ放送局は再興されている。
注7:天神エフエムは九州国際放送の業務を継承したために2010年(平成22年)12月31日をもってコミュニティ放送局としての業務を終了したが、福岡市ではその2ヶ月前に福岡コミュニティ放送(愛称:FM MiMi→StyleFM。福岡市早良〔さわら〕区百道浜〔ももちはま〕二丁目)も経営難と親会社の不祥事が原因で廃業しており、千葉市とともにコミュニティ放送局のない政令指定都市になってしまった。その後コミュニティメディアパートナーズ福岡(愛称:コミュニティラジオ天神またはコミてん〔COMI×TEN〕。福岡市中央区大名一丁目)が開局したためコミュニティ放送局のない政令指定都市という状態は解消されている。
注8:上表では書かなかったのだが、MegaNetの総本山であるInterFMもテレビ東京(TX、東京都港区虎ノ門四丁目)の子会社になったり木下工務店(東京都新宿区西新宿六丁目)の子会社になったりしており、親会社が何度も変わっている。
※MegaNet系列は五大都市のある都道府県のうち北海道については未だに存在しない。原因としては北海道以外の都府県を放送区域に編入できないことや札幌市から他の県までの距離はかなりあること、北海道経済が1990年代後半から厳しい状況に置かれていることが考えられる。蛇足ながら札幌市を本拠地として活動するAKB48の姉妹グループが未だに結成されないままでいるのも同じ理由によるものと思われる。
注9:1991年(平成3年)夏に下関市及びその周辺で発売されていたタウン情報誌の投稿欄に山口県を放送区域とする放送局の番組は田舎くさいと批判した上で山口県第四の民間テレビ放送局の本社は下関市に置くべきだという内容の投稿が掲載されたことがある(投稿者は女性と思われる)。実はこのタウン情報誌はその投稿が掲載された号の次の号で休刊(事実上の廃刊)に追い込まれてしまうのだが、この投稿に憤慨した山口県を放送区域とする放送局の関係者がこのタウン情報誌編集部を訪れ、「我々が丹精込めて作った番組を侮辱するようなことをよく確かめもせずに載せるのはけしからん。謝罪では済まない。廃刊をもって罪を償え」などと抗議したために泣く泣く廃刊を決めたのではないかという噂がある。ちょうどその時期は山口朝日放送(YAB、山口市中央三丁目)が開局に向けて動き出そうとしていた時期だったし、下関市では福岡県を放送区域とする民間テレビ放送局を視聴することで民間テレビ放送の全系列が見られるようになった時期でもあったので放送局の評判を下げたり視聴率または聴取率を低迷させたりするような意見を多くの人々が見る雑誌の投稿欄に掲載することは容認できないという考えがあったのだろう。もっとも、このタウン情報誌が休刊したのは売り上げ不振が主たる理由であり、何者かから抗議されたから廃刊を決めたというのは単なる噂でしかないと思うのだが…。
※このことを教えて下さったのは私の友人で「
下関市立大学・大学祭実行委員会事務局OB会公式サイト
」というサイトを運営している中島孝祐(なかしま・こうすけ)さんだったのだが、中島さんは確かに下関市民は福岡県を放送区域とする放送局の番組を視聴する傾向が強いし自分自身も九州朝日放送テレビ(KBC、福岡市中央区長浜一丁目)をよく見ていたと話した上で下関市民が山口県を放送区域とする放送局の番組を全く視聴しないわけではないと話している。その根拠として中島さんは次のような事実を挙げている。
・学園祭の宣伝を深夜に山口放送テレビ(KRY、周南市徳山)で流したことがある(無論静止映像)。
・テレビ山口(TYS、山口市大内御堀)が放送していた土曜日夕方の自社制作の公開生放送番組で学園祭の宣伝をしたことがある。
・大学時代の同級生(下関市出身の女性。大学祭実行委員会事務局で活動し、中島さんと同じく幹部の一員になっている)がエフエム山口(FMY、山口市緑町)で土曜日の朝に5分間の番組を持っていたことがある。
・テレビ新広島(TSS、広島市南区出汐二丁目)が制作し、同局と山陰中央テレビジョン放送(TSK、松江市西川津町)、岡山放送(OHK、岡山市北区学南町三丁目)、テレビ山口で放送されていた番組に二級下の後輩(下関市出身の女性。大学祭実行委員会事務局で活動し、中島さんと同じく幹部の一員になっている)が出演したことがある。その番組が放送された時点でこの後輩とは4年以上会っていなかったとのことであるが、すぐにこの後輩だと分かったという。ちなみにその番組ではこの後輩があることに挑戦する場面があり、そこでこの後輩の声が流れたという。
無論これらの事実は山口県を放送区域とする放送局の番組を視聴していなければあり得ないことである。
中島さんは「確かに福岡県を放送区域とする放送局の番組に比べれば山口県のそれは劣っているかもしれない。しかし、見方を変えれば面白いものでもあるし実際そうであった。更に山口県の歴史や地理、現実は山口県を放送区域とする放送局の番組を視聴しないと詳しく知ることはできない。それなのになぜ田舎くさいなどと批判するのだろうか。更に都会的な雰囲気のする番組ばかり流せば、下関市に本社を置くテレビ局が実現すれば全て良くなると思っているのだろうか。私はそうは思っていないし、気持ちは分からないわけではないが山口県を、そして下関市を心底愛しているようには受け取れなかった。まああの後開局した山口朝日放送がどういう状況になったかを考えれば考えの甘さを痛感したことだろうが…」と話している。要するに本当に山口県や下関市を愛しているのであれば現実を受け入れ、そこに長所や面白いこと、興味をひかれることを探し出すべきであり、現実を拒否し、ろくにそのものを見ず、現実離れしたことを考えた状態で山口県や下関市が好きだと言っても真の愛情を感じられないということであるが、この投稿者は今どこで何を思っているのだろうか。
注10:「ポンキッキ」シリーズ(1973〜2007年〔昭和48年〜平成19年〕放送)や「ピンポンパン」シリーズ(1966〜1982年〔昭和41〜57年〕放送)、ゴールデンタイム(午後7時台)のアニメ番組が挙げられる。
※「ポンキッキ」シリーズは現在はBSフジで放送されている。
注11:エフエム愛媛は火曜日〜金曜日・日曜日は午前3時〜午前6時に、土曜日は午前5時〜午前6時に、月曜日は午前1時30分〜午前6時にそれぞれ放送休止時間を設けている。
注12:そのことを示す事実として平成時代に入るまで愛媛県を放送区域とする民間テレビ放送局は南海放送テレビ(RNB、松山市本町一丁目)とテレビ愛媛(EBC、松山市真砂〔まさご〕町)しかなかったことや南海放送テレビ・テレビ愛媛とも音声多重放送を実施しなかったことが挙げられる。
注13:岐阜放送ラジオは終夜放送を実施していた時期もあったが、経営上の問題により撤退している。
注14:中波ステレオ放送を実施していた民間放送局は下表の通りである(社名・略称・所在地は現在のもので記載している)。
放送区域 | 放送局名・略称・所在地 | 実施 中継局名 | 実施時期 | 備考 |
---|---|---|---|---|
北海道 | STVラジオ (STV、札幌市中央区北一条西八丁目) | 本局 | 1992年(平成4年)8月1日〜 2010年(平成22年)3月1日 | |
北海道放送 (HBC、札幌市中央区北一条西五丁目) | 本局 | 1996年(平成8年)10月7日〜 2010年(平成22年)3月29日 | ||
東京都 | TBSラジオ&コミュニケーションズ (TBS、港区赤坂五丁目) | 本局 | 1992年(平成4年)3月15日〜 2011年(平成23年)1月31日 | 中継局は本局以外存在しない。 |
ニッポン放送 (LF、千代田区有楽町一丁目) | 本局 | 1992年(平成4年)3月15日〜 | 中継局は本局以外存在しない。 | |
文化放送 (QR、港区浜松町一丁目) | 本局 | 1992年(平成4年)3月15日〜 2012年(平成24年)2月6日 | 中継局は本局以外存在しない。 | |
岐阜県 愛知県 三重県 | CBCラジオ (CBC、名古屋市中区新栄一丁目) | 本局 | 1992年(平成4年)4月4日〜 | |
東海ラジオ放送 (SF、名古屋市東区東桜一丁目) | 本局 | 1992年(平成4年)4月4日〜 2012年(平成24年)5月14日 | ||
京都府 大阪府 | 朝日放送 (ABC、大阪市福島区福島一丁目) | 本局 京都局 | 1992年(平成4年)3月15日〜 2010年(平成22年)3月15日 | 全中継局で実施。 |
大阪放送 (OBC、大阪市港区弁天一丁目) | 本局 京都局 | 1993年(平成5年)3月29日〜 | 全中継局で実施。 | |
毎日放送 (MBS、大阪市北区茶屋町) | 本局 京都局 | 1992年(平成4年)3月15日〜 2010年(平成22年)3月1日 | 全中継局で実施。 | |
和歌山県 | 和歌山放送 (WBS、和歌山市湊本町三丁目) | 本局 | 1996年(平成8年)7月14日〜 | |
岡山県 | 山陽放送 (RSK、岡山市北区丸の内二丁目) | 本局 | 1992年(平成4年)10月5日〜 2011年(平成23年)3月28日 | 中波ステレオ放送実施局で現在のところ唯一radikoに参加していない。 |
高梁局 | 1992年(平成4年)10月5日〜 2011年(平成23年)3月21日 | |||
広島県 | 中国放送 (RCC、広島市中区基町) | 本局 | 1992年(平成4年)10月1日〜 2011年(平成23年)3月14日 | 福山・府中・三原各中継局の開始時期は推定(便宜上福山・三原両中継局の周波数が変更された日を開始年月日としている)。 |
福山局 府中局 | 1994年(平成6年)11月14日〜 2001年(平成13年)10月15日 | |||
三原局 | 1995年(平成7年)2月13日〜 2001年(平成13年)10月15日 | |||
福岡県 | RKB毎日放送 (RKB、福岡市早良区百道浜二丁目) | 本局 | 1992年(平成4年)4月1日〜 2010年(平成22年)5月31日 | |
九州朝日放送 (KBC、福岡市中央区長浜一丁目) | 本局 | 1992年(平成4年)4月1日〜 2007年(平成19年)3月31日 | ||
熊本県 | 熊本放送 (RKK、熊本市中央区山崎町) | 本局 | 1993年(平成5年)10月1日〜 2008年(平成20年)9月29日 |
上表から民間中波放送局47社中16社しか実施しなかったことや実施したところでも全中継局で実施したのは6社しかなかったことがうかがえる。もし本局を含む一部の中継局だけではなく全ての中継局で実施するようにしていれば、まだ実施する放送局があれば、更に日本放送協会が参加していれば話は変わったかもしれないのだが、中波放送は雑音が入りやすいことや費用対効果が見込めなかったこと、若年者層の聴取率が低下傾向にあることなどを考えれば難しかったのだろう。
このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |