このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください




近江鉄道の古典電機たち 

<彦根車庫で並ぶ古典機たち>


滋賀県を走る近江鉄道には、大正時代から昭和初期にかけて国内外で製造された電気機関車が11両在籍しています。
国内の電気運転黎明期を飾った大変貴重な機関車たちですが、現在では定期運行もなく、多くは彦根車庫で雨ざらしとなっており、将来の保存の約束もされていません。

先日そのすべての機関車を撮影してきましたので、1両ずつ写真を紹介します。

※輸入機→国産機の順に紹介してあります。


ED14

ED14型は、東海道線の東京〜国府津間の電化に備え、大正15年に鉄道院(のちの国鉄)がアメリカから輸入したものである。アメリカのゼネラル・エレクトリック社製の60t電気機関車で、4両が輸入され東海道線で客車や貨車を牽引して活躍した。
東海道線を追われてからは中央線、飯田線、仙山線などで主に貨車の牽引に使われた。
国鉄では昭和36〜40年に廃車になったが、当時セメント輸送の増大で機関車の増備が迫られていた近江鉄道に順次譲渡され、結果全4両が近江の地に再び集結することになった。

東海道線電化黎明期を飾ったED14型の4両すべてが、欠けることなくここに現存している。


ED14-1

稼動機

ED14-2

休車中

ED14-3

休車中

ED14-4

稼動機となっているけど、ボロボロ・・・

1996年のイベントにあわせ、国鉄時代の茶色塗装に復元された。


ED4000

ED4000型は昭和5年に総武鉄道(のちの東武野田線)がイギリスから輸入したものである。イギリス、イングリッシュ・エレクトリック社製の50t機関車で、総武鉄道買収後の東武鉄道最初の電気機関車であった。
近江鉄道には昭和48年に入線し、ビール輸送やセメント輸送で使用された。

昭和61年に休車になって以来、20年近く眠りつづけている。


ED4001

休車中


ED31

ED31形は、大正12年に伊那電気鉄道(現在のJR飯田線)が購入した国産初期の機関車である。芝浦製作所・石川島造船所製で5両が製造され、同鉄道でデキ1〜5として活躍した。同社が戦時中に国鉄に買収されて暫くたった昭和27年にED31形と改称され、昭和32年まで飯田線で使用された。
国鉄で廃車後、3〜5は直接近江鉄道に、1・2は西武鉄道を経てやはり近江鉄道に譲渡され、結果5両全機が再び集結することになった。

近江鉄道では最大勢力となり、貨物列車の先頭にたって活躍した。

ED31-1

休車中


ED31-2

休車中


ED31-3

稼動機

ED31-4
稼動機

ED31-5

休車中
ナンバープレートがない


ロコ1101

ロコ1101型は、昭和5年に阪和電気鉄道(現在のJR阪和線)が購入したものである。 東洋電気・日本車輌製の30t機で、南海電鉄を経て国鉄の阪和線で使用されていたが、低速しか出せないなど使い勝手が悪く、昭和25年に廃車となった。
近江鉄道には翌昭和26年に入線し、彦根駅構内および住友セメント彦根工場専用線の入換え専用として使われた。
阪和時代より南海、国鉄、そして近江にいたるまで改番されたことがない。

ロコ1101

休車中



近江鉄道の貨物列車は昭和63年3月を最後に全廃されており、現在ではごく一部の稼動機が、稀に走る工事列車の牽引や、冬季の除雪に使われているに過ぎません。
これだけ多くの機関車が廃車されず、在籍のままで存置されているのは不思議でなりませんが、日が経つにつれ状態が悪くなっているのは事実です。
さきに紹介したように、舶来機、国産機ともに国内の近代化を支えた貴重な生き証人であり、生きた産業遺産として何らかの保存策を講じていただきたいところです。





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