このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

温泉の分類について


☆水素イオン濃度(pH)による分類  (湧出した時のpH値)

○強酸性泉pH2未満
○酸性泉pH2以上pH3未満
○弱酸性泉pH3以上pH6未満
○中性泉pH6以上pH7.5未満
○弱アルカリ性泉pH7.5以上pH8.5未満
○アルカリ性泉pH8.5以上pH10未満
○強アルカリ性泉pH10以上

☆泉温による分類  (湧出した時、又は採取した時の温度)

○高温泉42℃以上
○温泉泉34℃以上42℃未満
○低温泉25℃以上34℃未満
○冷鉱泉25℃未満

☆浸透圧による分類

○低張泉等張液より浸透圧が低いもの(溶存物質総量8g/㎏未満)
○等張泉等張液と同じ浸透圧を持つもの(溶存物質総量8〜10g/㎏)
○高張泉等張液より浸透圧が高いもの(溶存物質総量10g/㎏以上)

☆含有成分による分類

 昭和54年(1979)に 温泉法 が改定され、新しい分類(9種類)が決まりました。しかし、表示の仕方がイオン表示となったため、一般になじみにくく、普及がいま一つで各地の温泉地では旧泉質表示(11種類)の方がまだまだ一般的です。ここでは、旧分類について説明します。→ 新分類と旧分類の比較と効能一覧

◇単純温泉(たんじゅんおんせん)
 泉温25℃以上で、固形成分および遊離炭酸の含有量が水1kg中1,000mg未満のものを言います。含有されている成分がうすい温泉ですが、無色透明、無味無臭のものが多く、湯が柔らかく刺激が少ないため、石鹸なども使え、名湯と呼ばれるのはこの泉質のものが多いのです。
◇食塩泉(しょくえんせん)
 ナトリウム塩化物泉ともいい、海水成分によく似ていて、なめるとしょっぱい味がします。泉水1kg中に食塩1500mg以上含むものを強食塩泉、500mg未満のものを弱食塩泉といいます。入浴すると皮膚に塩分が付着するため保温効果が高く、湯冷めしないので「熱の湯」とも呼ばれます。
◇重曹泉(じゅうそうせん)
 ナトリウム炭酸水素塩泉ともいい、泉水1kg中に固形成分1g以上を有し、陰イオンがヒドロ炭酸イオン、陽イオンは80%以上がナトリウムイオンでこれが結合することによって重炭酸ナトリウムを構成するものを言います。主な重曹成分を含んだ温泉で、皮膚を柔らかくする作用がある無色透明のアルカリ性の温泉で石鹸もよく溶けます。皮膚を軟化させ、脂肪や分泌物を乳化させるため、肌がなめらかになるので「美人の湯」とも呼ばれています。
◇単純炭酸泉(たんじゅんたんさんせん)
 単純二酸化炭素泉ともいい、泉水1kg中に遊離炭酸1g以上を有し、固形成分は1gに満たないもので、冷泉に多く、入浴すると身体にたくさん炭酸ガスの泡がつくので泡の湯と呼ばれます。この温泉は末期火山の地殻深いところから湧くので、活火山の多い日本には少ない泉質です。温度は低くても湯上がりに温まるのが特徴で、飲用するとサイダーのような清涼感があります。
◇硫酸塩泉(りゅうさんえんせん)
 泉水1kg中に固形成分1g以上を有し、陰イオンとして硫酸イオンが主成分で、主な陽イオンの種類でそれぞれ分類されます。苦味泉ともいい、日本では「傷の湯」「中風の湯」と呼ばれています。
 ・芒硝泉(ぼうしょうせん)−−−陽イオンにナトリウムを含みます。
 ・石膏泉(せっこうせん)−−−陽イオンにカルシウムを含みます。
 ・正苦味泉(せいくみせん)−−−陽イオンにマグネシウムを含み、日本では数少なく、「脳卒中の湯」とも呼ばれています。
◇鉄泉(てっせん)
 泉水1kg中にフェロイオン、またはフェリイオン10mg以上含まれているものですが、全体の固形成分ではなく。含まれる陰イオンによって炭酸鉄泉と緑礬泉の2つに分類されます。共に鉄分を多く含んでおり、保温効果が高いが、緑茶と共に飲用すると効果はありません。
 ・炭酸鉄泉(たんさんてつせん)−−−陰イオンとしてヒドロ炭酸イオンを含有し、結合すると重炭酸第一鉄を構成するもの。
 ・緑礬泉(りょくばんせん)−−−陰イオンとして硫酸イオンを含有し、結合すると硫酸鉄を構成するもので、強酸性が多い。
◇硫黄泉(いおうせん)
 卵の腐ったような匂いがし、白濁した湯が特徴で、泉水1kg中に硫黄1mg以上を含んでいるもので、その成分によって以下の2種類に分類されます。療養効果が高く、およそ万病に効く温泉として知られていて、よく温まる温泉です。
 ・単純硫黄泉−−−遊離の炭酸ガスや硫化水素を含まないもので、泉水1kg中に固形成分1gに満たないもの。
 ・単純硫化水素泉−−−遊離の硫化水素を含有し、ほとんど常に炭酸ガスを含み、泉水1kg中に固形成分1gに満たないもの。
◇重炭酸土類泉(じゅうたんさんどるいせん)
 正式にはカルシウム・マグネシウム炭酸水素塩泉といい、泉水1kg中に固形成分1g以上を有し、陰イオンがヒドロ炭酸イオン、陽イオンはカルシウムまたはマグネシウムが主成分で、これが結合して、それぞれ重炭酸カルシウム、重炭酸マグネシウムを構成するものを言います。これらの土類イオンには鎮静作用があって、痙攣を緩めたり炎症を抑える働きがあり、無色透明です。
◇明礬泉(みょうばんせん)
 泉水1kg中に固形成分1g以上を有し、陰イオンとして硫酸イオンが主成分で、主な陽イオンがアルミニウムである温泉。火山活動の多いところに湧くので、日本では多い温泉ですが、純粋な明礬泉は少なく、酸性明礬緑礬泉のものが多い。皮膚や粘膜を引き締める作用があります。
◇酸性泉(さんせいせん)
 泉水1kg中に水素イオン1mg以上含むもので、酸味があり、肌を刺激する温泉。酸性明礬泉、酸性緑礬泉などに分類されます。日本特有の温泉で、高温で抗菌力が強く、刺激の強い湯で、湯ただれを起こすこともあり、皮膚の弱い人には適しません。
◇放射能泉(ほうしゃのうせん)
 水1リットル源泉において、中にラドンの量100億分の30キューリー単位(8.25マッヘ単位)以上を含むもので、古くから万病に効く温泉と知られていて、俗にラジウム泉と呼ばれています。

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