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材木運び
- 冬の教室は「だるまストーブ」をみんなが取り囲む。ストーブは赤々と灼熱の火の玉である。その脇には本棚のような木の棚があって、一番いい場所に競って弁当箱を入れるのだ。つまり炊き立てのような、温かいご飯が食べられるのである。いい場所を取るには、みんなよりも先に学校に行くしかない。
- お昼の時間になるのが待ち遠しい。授業中も時々弁当棚に目がいく。風呂敷が焦げることもある。弁当を取り出すと、手が焼けるように熱かった。弁当箱は、黄色のアルマイト製である。
- 白色のアルミ製のものもある。その蓋が虫が食ったように穴が開いているものもある。真中へんだ。 蓋をとると、そこに梅干がある。毎日そんな具合だから、酸化腐食するのである。
- おかずは、そのほかに小魚の佃煮・おこうこ(おしんこう)・ごま塩のまきちらし等である。
- 弁等箱のストーブに当たってた面は、少し茶色にオコゲができていた。これがまた旨いのだ。
- 外は雪景色である。でも教室中が暖かい。みんな頬っぺたがリンゴのように真っ赤である。
- 教室の外には薪が沢山積んである。その薪は僕たちが山から運んだものだ。材木の切り出しは5,6年生が行い、運搬は全生徒が行う。僕たちは、石で木口に「木廻し」というものを打ち込む。それに荒縄を通して、校庭まで曳きずって行くのである。
木廻し
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イチニッ・イチニッ
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- この仕事は重労働であったが、楽しくもあった。渇いた喉を水で潤しながら食べる弁当は格別にうまかった。
- 運んだ材木は適当な長さに切り、くべ易い太さに「ヨキ」という道具を使って薪割りをする。それを軒下に積んで置くとよく乾燥する。
薪割り
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