このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください


子供の頃
 終戦前後の生活 ●

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木馬

  1. 木馬(キンマ)とは、山から木を運び出す為の橇(そり)のような道具。比較的緩やかな山の斜面に鉄道の枕木のように丸太棒を並べ、その上をキンマが材木を積んで麓の集積所まで運搬するのである。

    キンマ
    キンマで運び出し

  1. キンマの長さは約2.5m、高さ約15cmである。キンマ道の枕木みたいなものは盤木といって、約40cm間隔に敷く。人力で運搬するから登りがあッては駄目だ。また勾配が急だとキンマが暴走してしまうから、搬出元から、集積所までは、緩やかな一定の勾配を保ちたいものだ。とは言っても、地形はそう人間の都合のいいようにはできていない。長距離の場合は、沢越えや急勾配の場所がどうしても出来てしまう。
  2. そこで山師は考える。沢越えの場合は、丸太を使って桟道(僕たちの村ではザンドと言った)を架けるのである。その上に盤木を敷き、キンマが横ずれして橋から落ちないように、盤木の両端に「かで」というレールのように長い棒をとりつけるのだ。
  3. 急勾配の場所はどうするか・・・。予めその場所にワイヤロープを固定しておくのだ。そのロープをキンマの梶棒に二、三回巻きつけて、張力を手で加減しながら慎重に下る。つまり摩擦抵抗を応用して、暴走を防ぐというわけである。
  4. この時に肩紐を肩から外して置かなければならない。なぜならば万が一暴走したときに、自分の身体を持っていかれる恐れがあるからだ。
  5. 勾配が緩やか過ぎてキンマが重い場合は、潤滑油を盤木に塗り梶棒を左右に切りながら曳く。
  6. キンマに積んだ木材は、荷崩れしないように鎹(かすがい)を打ったり、ロープを回して締める。鎹とはホッチキスの鋲のお化けみたいなもので、材木と材木をしっかりと繋ぎとめる金物だ。「子はかすがい」という諺の語源でもある。
  7. 今は林業も衰退し、キンマは歴史民俗資料館でしか見られなくなった。
<ご指摘>
humireiさんから、図の間違いを指摘されて修正しました。
センバ(タガで束にした薪)を運搬する場合はキンマの梶を使うが、材木を積んだ場合は、そのうちの一本を前方に突き出して、それを梶にするとのことです。有難うございました。

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