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カグラサン
- カグラサンは神楽桟と書く。僕の知る限り昭和30年代まで使われていた人力ウィンチである。重いものを移動するときに活躍した優れものだ。曳き家が家をジャッキで持ち上げてコロの上を引っ張ったり、漁師が鯨を陸揚げしたり、植木屋が植樹を移動したりした。
- その構造だが、四角い枠の真中に太い回転軸を垂直に組み込んだもの。回転軸の下部にワイヤーロープを巻きつけて、ロープの反対側は運搬する材木に繋ぐ。回転軸の上部には穴が二つ開いていて、その穴に横木を通すと十字型の梶が構成される。
カグラサン
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- さて、ここに四人の力持ちが登場する。各自、十字の梶に両手を当てて押し回すのである。ワイヤーロープは回転軸の太鼓に巻き取られて、やがては材木のご到着という具合だ。手を離しても逆回転しないようにラチェット(爪車)も備わっている。
作業風景
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- 別項で鉄索のことを述べたが、それは高い所から低い所へ運搬する方法であった。それに大して本項のカグラサンは、逆に低い所から高い所に運搬する方法である。それぞれ先人が編み出した「必要は発明の母」である。
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