このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください


子供の頃
 終戦前後の生活 ●

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臼挽き

  1. 戦後しばらくして動力を使った製粉所ができたが、少量の製粉は石臼を使っていた。これは子供の仕事で、僕もよくやらされた。臼の石材は花崗岩である。
  2. 石臼は上下二つに分かれている。目のある下臼の上に回転する上臼が載っている。上臼はお盆のように縁があって、中心と縁のまん中あたりに穴がある。お盆に穀物を入れ、側面の挽き木を右手で反時計方向に回しながら、左手を縁に当てて回転を助けてやるのである。このとき、左手の親指で穀物を一定量づつ穴に落とし込むのがポイントだ。単調ながらリズミカルに回転させると、臼の重ね目から粉が落ちてくる。穴に入れる量に応じて粉の細かさが決まるのである。臼挽きのコツは経験者の指導によってしか覚えられないが、たいがいは難なく身に付けられる。

  1. どんな物を挽いたかというと、次のようなものである。
  • 炒り大豆⇒キナ粉
  • 炒り大麦⇒オコガシ(香煎)
  • 小麦⇒メリケン粉
  • 蕎麦⇒そば粉
  • とうもろこし⇒とうもろこし粉
  1. 作業の手順は先ず新聞紙を2〜3枚敷いて、その上に臼を載せる。挽いた粉を受けるためである。その粉を篩(ふるい)でふるって、粗い粒があれば再び上臼に戻して挽き直すのである。
  2. 何回も回していると挽き木が緩んで外れることがある。そうすると臼の穴に差し込んで木槌で叩いてきつく固定するのであるが、それでも抜ける場合はボロきれを巻いてきつくする。頻繁に抜けるようであれば、挽き木を新しいものに取り替えなければならない。
  3. 石臼の目が段々擦り減ってきたら、目立てをする。この道具が何だったのかよく覚えていないが、金槌でタガネを叩いて彫ったか、「たたき」と呼ばれる専用の目たて道具を使ったかのどちらかだ。

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