このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

子供の頃
 終戦前後の生活 ●

目次に戻る

薪背負い(まきしょい)

  1. 薪背負いに限らず、生活の中における最も中心的な運搬手段は「背負い」である。一年を通じて背負いがない日は殆どなかった。麦や大根などの農作物、闇米の買出し、赤ん坊の負んぶ等、子供は子供の負える重量の背負い物をした。
  2. 別項で材木の運搬方法をいくつか紹介したが、本項は運搬手段の中で最も基本的な方法である。縄一本あれば出来るからである。機材費ゼロであるからコストは最も安い。勿論、縄は自分で作るのである。
  3. そんな訳で、薪背負いの賃稼ぎを小学生もした。下級生は一把であったが、上級生は二把は背負えた。二把を背負うときのやり方はこうだ。下級生と同じように先ず一把を背負う。なぜならば背負うときは、かがみ込んで背負うので二把をいっぺんに背負えないからだ。反動をつけて立ち上がり、あとの一把を両手で抱える。重量挙げよろしく反動をつけて頭の上まで持ち上げ、頭越しに先に背負った薪の上に乗っけるのである。乗っけた薪は、前かがみになって運ぶから転げ落ちる心配はない。

  1. 川原の低い所から上の集積所まで何回も運搬する。途中で疲れたときは杖の頭を薪の下に当てて、地面につっかい棒をして呼吸を調えるのである。
  2. 集積所につくと各自の置き場所を決めて、そこに積んでいく。積み方はこうだ。先ず二把を並べて置き、次の二把をその上に直角に置く。以降、同じ要領で五段まで積む。これが一列で11把目からは、その隣に積んでいくのである。つまり一列分は10把というわけ。直角に積むのは崩れを防ぐ為であり、列の構成は数えやすくする為だ。その日の稼ぎは一目瞭然、80〜100円前後の日当を貰えたような気がする。この金は学校の子供郵便局に貯金した。

  1. 集積所にトラックが入れない場合は、ここから大八車に載せて運搬する。これは大人の仕事である。

目次に戻る

 

 

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください