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 ここへ行ってきました 

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14.6.28〜30
東尋坊〜立山

<上信越道〜北陸道>

  1. 妻と僕の乗った車は、4時00分に前橋南ICを入った。昨日の雨はぴたりと止んで今朝は薄曇り。北関東自動車道から上信越自動車道へ乗換えてもっぱら西へ向かう。今日の走行距離はおよそ470km、東尋坊へ向けてひたすら走るのみである。
  2. 高速道路沿線の田園は田植も終わって、人影の少ない沈んだ景観が続く。近くの山は霧が立ち込め、高い山の頂は雲に包まれて、梅雨どきの静寂が漂っている。
  3. 上信越自動車道は関越道の藤岡ジャンクションを基点とし、北陸道の上越ジャンクションを終点とする。その名のとおり、上州・信州・越後を結ぶ延長205kmのハイウェイ、その三県とも山中の走りである。
  4. 上越ジャンクションから北陸自動車道を海岸線に沿って南西に進む。地図を見ると日本海がすぐ右側に見えそうなものだが左にあらず、今までに増して険しい山が続く。飛騨山脈が海に迫り、沢山のV字谷がハイウェイを横切って、トンネルと橋を造らせているのである。
  5. この連続トンネルは、富山県の朝日インターチェンジまで、69kmの区間に26本のトンネルを掘らせる結果となった。親不知子不知の難所は今に続いているというわけだ。
  6. 途中、三箇所のSAで休息を取りながらも順調に走り、僕達は加賀インターチェンジで下りた。

<東尋坊>

  1. 国道305号を西に進む。緩やかな丘陵のあちこちには、各種の野菜と果樹が作られていて、これが特産物だという決め手となるものは発見できなかった。
  2. それにしても国道は行楽の車がなかった。やはり梅雨の期間だからだろうか。野を越え丘を越えという感じで、それでもなんとなく海に近づいて来たらしい。松林が多くなったので気配を感じたのだ。天候はそれまでの曇り空が消えて日差しが強くなってきた。
  3. 林間の風景は一変して、突然目の前に賑やかな風景が広がった。土産物屋である。その通りに車を乗り入れようとすると、取っ付きの店の女主人に制止を受けた。進入禁止だという。ここが東尋坊の入口だったのだ。
  4. 僕達はかねがね、北陸の景勝地として東尋坊に引かれるものがあった。ガイドブックに載っている場所だけでなく、もっと広い範囲で見たいと思っていた。今日がその実行の日である。あえて梅雨の期間に日程を組むことは賭けだった。宿泊施設の空を狙ってのことだから仕方がなかったのである。幸い今日は天候は当たったようだ。
  5. 土産物屋の女主人に効率的な観光のレクチュアを受けて、参道みたいな通りを奥へ進む。両側に土産店が軒を連ねているが、この時期観光客はまばらである。僕達が貧相に見えるのかあまり声も掛けてこない。
  6. まずは海から全体像を掴むのが早道と、観光遊覧船に乗ることにした。すでに遊覧を終えて桟橋に着いた船には、身体の不自由な人達が大勢乗っていた。変わって僕らの舟は10人位で船頭さんも意気上がらない様子だが、あまり待たせずに離岸してくれた。もっとも案内放送は女性の録音テープだから世話はない。ときどきは「今盛んに飛び跳ねているのが飛魚です。」などと肉声のサービスもしてくれたのだ。
  7. 東尋坊は三国町にある。資料によれば、白山火山脈の一端が日本海に露出し、その結果、東尋坊をを中心として様々な形の奇岩が出現したとある。背後に陣ケ岡台地を控え、日本海にのぞむ台地周縁に噴出した岩石は、輝石安山岩である。
  8. 船は最初に雄島へ向かった。近づく程に、岩壁の岩肌が鮮明に見えてくる。写真が小さいので分かりづらいが、右側の陸地から赤塗りの橋が架かっていてこの島に渡ることができる。岩場には釣り人、草原には散策している人の姿が見えた。
  9. 周囲2.0km、標高27m、輝石安山岩の構造は松の樹皮に似た板状節理(薄い板を重ねた形)と呼ばれるものである。
  10. 船はUターンして岸に接近しながら東尋坊に向かう。比較的岩石の少ない場所で浸食の状況を見た。押寄せる荒波にいくつもの洞窟ができている。現在も侵食が続いているそうだ。


    遊覧船から雄島


    洞窟状侵食


  11. 東尋坊は陸から見れば断崖、海から見れば絶壁だ。その高さは海面上25m、地質学的には輝石安山岩の柱状節理として世界に三箇所しかない貴重なものであるらしい。国の天然記念物に指定されている所以である。東尋坊は、断崖から突き落とされた僧の名に由来しているそうだ。
  12. 岩場の亀裂が水平線に直角になっており、自然の造形美とでも言おうか、まるで同じ大きさの素材を積み上げたような美しさに感心するばかりだ。この渕に平成13年、33人が身を投げたそうである。


    東尋坊


    岸壁の岩肌


  13. ところで海から見た雄島に陸からも行ってみた。赤い橋を渡り切った所に由緒書きや案内図がある。すぐに石段があって登る程に爽やかな風が吹いてくる。
  14. 登りきると平坦になって、途端にジャングルの様相となった。照葉樹が多い。島にはφ字形の遊歩道があって、約1kmの散策を楽しむことができる。
  15. ところで島の対岸には安島の漁村があって、今まで見た漁村に比べてあまり漁港としての匂いが感じられなかった。建物もずいぶん裕福さが感じられる。


    雄島の灯台


    漁村風景


  16. この雄島から2kmほど真東に越前松島がある。そこまでは女性的な雰囲気の二の浜海岸の道が続く。松林と磯までのなだらかな草原、待宵草等の野草が豊富である。
  17. 越前松島は黒色の安山岩の岩礁が大小様々に点在している。景観が宮城県の松島に似ているところから、その名前が付けられたという。磯遊びにもってこいの場所である。水がきれいで磯の水生動物がよく観察できる。


    二の浜海岸の快適な道


    越前松島


  18. その浜には水族館がある。ここでも日本海に棲む動物たちを見学できるのだ。屋外施設ではペンギンや、イルカと遊ぶこともできる。


    真中の大きいのは
    本物のエイの腹


    右壁の白い卵を守るタコの母親


  19. そろそろ温泉に浸かりたくなった。宿はすぐ近くだ。「休暇村 越前三国」である。村内には広大な面積の中にオートキャンプ場や野鳥の森があり、沢山のさえずりが聞えてくる。プールやテニスコートもあるから学校の夏休みはさぞ賑やかなことであろう。
  20. 陣ケ岡台地は松の木と落葉樹が調和した森である。休暇村に隣接して海浜自然公園が展開している。学童の野外学習には、これももってこいの場所である。


    休暇村


    陣ケ岡台地


  21. 休暇村での夕食を済ませて、僕達は近くの二の浜海岸に夕日を見に出かけた。ここには芝生の園地があって、北前舟のモニュメントがあって海の眺望も良い。6月21日に夏至を迎えたばかりで、まさに暮れなずむ空だ。水平線に雲が漂っていてやきもきしたが、空の赤味が増して漸く陽が没したのは19時17分であった。
  22. 日は没しても当たりはまだ薄明るい。十分に散策可能な明るさを維持している。現に僕達は公園のアジサイ園を見て歩いたのである。
  23. そのうちに次第に墨色が増して、松のシルエットにイカ釣り舟の漁火が輝く頃、僕達は漸く休暇村に戻ったのである。


    日没近し


    イカ釣り舟の漁火

立山

  1. 実は僕達は当初、2日目の行程を永平寺ー勝山ー五箇山ー立山山麓と決めていた。しかし前日の天気予報を見て、大きくルート変更を断行した。立山の室堂が晴れの可能性が高いと読んだのである。
  2. 直ちにカーナビの設定を経由地なしで、目的地のみ「立山山麓」とした。後はその誘導に従がって走るのみ、加賀ICから富山ICまで順調に走って一般道で燃料を補給し、今日の宿「ウェルサンピア立山」に着いた。
  3. フロントでもっとも効率的なコース設定のアドバイスを受けた。カウンターの上には、「室堂ー曇り気温23℃視界良好」と立札が出ていた。もはや室堂行きを躊躇させる理由はない。ただちに立山駅に向かった。ここから立山ケーブルカーに乗って美女平で立山高原バスに乗換え室堂まで行くのである。
  4. ケーブルカーの発車時間は12:20。駅前の小さな食べ物屋で握り飯とうどんで腹ごしらえをする。
  5. 今日は土曜日、かなりの客である。ケーブルカーは立ち客もあって出発した。平均勾配24度の急斜面を滑るように登って行く。ブナや杉の木の林を涼しい風が吹き抜ける。トンネルを抜けて美女平に着いた。この間7分間だ。すでに高原バスは待機していた。バスは左側の席に座るのがコツである。当然帰りは右側だ。理由は地形図を見れば分かるが、ビューポイントが豊富にあるからだ。
  6. それにしても沿道の植生には驚かされるものがある。雪の重みに必死に耐えて生き抜く樹木の枝が地上近くに垂れ下がり、湾曲してまた上に伸びようとする姿である。根曲がりの樹木も沢山見られる。特に杉の木の大木が圧倒するように視野を占める。立山杉と呼ばれるものである。
  7. 木々の間から称名滝が見えた。バスは車中から撮影できるように3,4回徐行停止を繰り返してシャッターチャンスを与えてくれた。


    立山杉


    称名滝

    弥陀ヶ原の溶岩台地をえぐったV峡谷
    から4段に折れて落下、落差350m。


  8. 立山連峰が東側に馬蹄形をなしていて、その内側から発した水が清冽な河川となって日本海に注がれる。その川の名は称名川、立山駅付近で成願寺川に合流する。称名滝弥陀ヶ原の溶岩台地が如何に厚さのあるものであるかを象徴的に表現しているかのようだ。
  9. 高原バスは次第に高度を上げて、弥陀ヶ原まで来ると展望の利く景観になる。「餓鬼の田」と呼ばれる、おびただしい数の池塘が銀色に輝いている。その数3,000。見る者を惹きつけて飽くことを知らない。「餓鬼の田」とは、地獄に落ちた餓鬼がここで田植をするという考えから名づけたらしいが、命名者の発想には恐れ入る。
  10. 高原バスは美女平を発ってから50分後、およそ1,500mの標高差を稼いで室堂に13:30に着いた。標高2,450mの高地にはあちこちに雪田が残っていた。10年前、平成4年8月28日に長野県側から来たときには、雪は沢筋に残っていた程度であったから、2箇月分の違いということになる。
  11. みくりが池は周囲600m水深15m、火口湖の縁から崩れ落ちた雪塊が水面をプカプカ漂っている。後方鞍部左手に雄山(3,003m)、右手に浄土山(2,831m)が、高曇りの空にくっきりと稜線を描いている。池には逆さの両山が映っている。


    弥陀ヶ原の餓鬼の田


    みくりが池


  12. 今日は実に暖かい。風もなく23℃もあるから、半袖でもトレッキングをしていると汗をかく。赤紫のイワカガミ、白花のハクサンイチゲ、黄花のシナノキンバイなどが咲いている。
  13. 雷鳥の番に逢えたのは幸運だった。雌が盛んに砂を浴びていた。人を恐れずカメラとの距離は1.5mである。間もなくして這松の陰からトサカの赤い雄が寄って来た。孔雀のように羽を広げて震わせラブコールするのである。そして着かず離れずしながら、また這松のなかに消えていったのである。
  14. それにしても上高地の水鳥や魚が人なれしているように、彼らの聖域に敵意を示さないよそ者が入った場合、彼らは防御反応を持たないのだろうか。代表的な例では、南極のペンギンやガラパゴスの動物類がいる。一方、人間の生活圏に接する地域では用心深いのが普通である。もっとも餌を与えた場合は別であるが・・・。


    イワカガミ


    雷鳥の番


  15. 1時間の散策を終えて、僕達は高原バスに乗って帰りの途についた。驚いたことにバスターミナルの社屋を出た途端、辺りは濃いガスに被われていた。まるで我らが見終わるのを待っていてくれたようだ。
  16. ところで、先ほどの称名滝を今度は至近距離から見たいと、立山駅の駐車場からマイカーに乗換えて称名川に沿って遡った。ところが道路中間の監視小屋で制止を受けた。車道終点までは問題ないが、そこから滝までの歩道に落石があって、入山禁止にしたという。たった1時間前のことだそうだ。
  17. 終点の駐車場から一部分なら見られると言うので、それじゃあ行くだけ行ってみようかと言うことで車を進めた。結果は言われた通りで、落水が樹木の枝で隠されて迫力のある滝には見えないのである。一応カメラには収めたがご紹介する程のものではない。何事もうまくいく筈がないと潔く諦めた。
  18. 今日の宿は富山厚生年金休暇センター「ウェルサンピア立山」である。登山やスキーそして観光周遊の基地として重宝である。プール・テニスコート等のスポーツ施設もあり、何と言っても僕達は、つるつる感のある大浴場に満足させられた。
  19. 三日目は帰宅の途である。高速道路で帰る予定を一部変更し、信州中野ICで下りることにした。なぜなら高速道路から志賀高原がよく見えたからそこへ向かうためである。志賀高原は僕達の家から日帰り圏内だ。馴染みのある高原で益々思い入れが深くなる。今日も田ノ原湿原のレンゲツツジを見て前橋に帰った。三日間の走行距離は、499+180+352=1,031km。

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