このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください


 ここへ行ってきました 

(目次に戻る)

15.6.4〜7
蔵王・山寺・厳美渓・中尊寺・浄土浜・龍泉洞・小岩井農場・角館・田沢湖・乳頭温泉

<蔵王〜山寺>6/4

  1. カローラを買い換えて初めての本格的なツーリングである。いつもと変わらず妻と僕は5時に家を出た。前橋市からR50を東進して佐野藤岡ICで東北自動車道に乗った。
  2. 途中、栃木県の最北端に位置する那須高原SAで朝食を取った。福島県を通過して宮城県に入り、白石ICで下りた。ここまでは全く順調。
  3. 沿線の風景は田植えが終わったばかりで、木々も若葉から濃い緑に移行する時期である。車は極めて少ない。蔵王町の遠刈田温泉を過ぎた先で道が分岐し、左のエコーラインに入った。
  4. 中腹に滝見台の標識があった。三階滝と不動滝という二つの滝を遠望することが出来た。ここを後にして更に上ると、賽の磧である。駐車場には数台の車がいて、何人かの登山客が雪田を登って行った。矮性の山桜が咲いていて、根元にはイワカガミが花開いている。


    三階滝

    不動滝
  1. 峠付近で刈田岳(1,758m)の直下まで、有料道路のハイラインが延びている。これを利用すれば、ドライブ客は労せずして火口湖の御釜を見ることができる。僕達は刈田岳に10時ごろ着いた。風は比較的穏やか。御釜は鮮やかな青色を呈していた。


    御釜
  1. 再びエコーラインに戻って、宮城県から山形県に越えた。しばらくは雄大な山岳美を堪能しながら中腹に至って、分岐を右にとれば蔵王ラインである。アップダウンを繰り返すと蔵王温泉に着く。今日の宿泊地であるが、時間はまだ11時を過ぎたばかりだ。コース的には無駄があるが、それを承知で山寺まで往復することにした。
  2. R13を北上し、山形市から天童市に入って県道を東に進む。サクランボが色づいてきた街道を過ぎた先が山寺である。地図でさがす場合は、JR仙山線のやまでら駅を目標にしてもよい。天台宗の僧、慈覚大師によって開かれたのが立石寺、別称で山寺という。狭い街道に添って寺町が軒を連ねている。幸い平日のこととて、立石寺専用駐車場に車を置くことができた。
  3. 境内は修学旅行の中学生で賑やかだった。松尾芭蕉と曽良のブロンズ像の脇に並んでポーズを取る子が多い。お互いにシャッターを押し合って楽しかった。


    曽良の像

  1. 奥の院まで急な斜面に石段がおよそ870段。途中々々にお堂があって一気に上るわけではないから、時間さえかければ大概の人が奥の院まで参拝することができる。懸崖が多くそれなりに景色が良いから結構楽しいのである。芭蕉はここで一句を詠んだ。「閑さや岩にしみ入蝉の声


    懸崖

  1. 山寺にちなんだ施設が、仙山線を挟んだ台地に何棟かある。しかし、ここには数台の車が駐車しているだけだった。山寺芭蕉記念館やレストラン、それに土産店などがあるが閑散としていた。


    山寺の町並み

  1. 山寺を後にして同じ道を蔵王温泉に戻った。スキーのシーズンオフであるから、さぞやホテルも空いているかと思ったが、玄関には「歓迎○○様」の札がいくつも掛かっている。実際、風呂には沢山人がいたし、夕食のレストランも賑やかだった。部屋もたいへん立派。窓から見える景観も素晴らしい。高原のはるかな向うに朝日山地がよく見える。


    スキー場から見たホテル

  1. 浴場は現代的なものもあるが、源泉がなんと言ってもいい。強酸性の硫黄泉は湯花が浮いていて匂いが強い。肌がツルツルして、いかにも万病に効能がありそうだ。露天風呂の石が滑ってひっくり返るところであった。
  2. あとは食事のみ、これが良ければ満点だ。結局夕食だけでなく、翌朝のバイキングも含めてアンケートはすべて”良”と評価したのであった。

<データ>走行距離:436km

<厳美渓・中尊寺・浄土ヶ浜・宮古>6/5

  1. ぐっすり眠って爽やかな目覚めである。朝食前に草原の小径を散策し、冷気を胸いっぱい吸った。草むらに入って野草を見ようとしたが、たちまち夜露に濡れてしまう。僅かに甘い香りはシラビソの発する匂いであろうか。
  2. ホテルを8時に出発。西蔵王高原ラインは300円の価値があった。たちまち山形蔵王ICに着いた。山形自動車道を東進し、東北自動車道に合流してひたすら走る。岩手県に入って最初の一関ICで下りて、R342を5km程走ると厳美渓である。
  3. 渓流の中ほどに橋が架かっていて、先ずここで上流と下流を下見する。両方を散策する時間があれば別だが、なければ上流側に行ってみようと大概の人が思うに違いない。橋のすぐ傍に広い岩場があるからである。
  4. この岩場で面白いものを見た。左岸の土産店から、この岩場までワイヤーが張られていて、滑車に竹篭をぶら下げて品物を搬送する場面だ。客は注文する品物とお金を入れて、木槌で木鐸を叩いて合図を送る。店側で籠の引き綱を手繰り寄せ、品物を入れて客の方に送り返すというわけだ。品切れの場合は白旗を掲げて合図することも決めてある。


    厳美渓

    お金を入れて注文
  1. 厳美渓から平泉町の中尊寺までは17km。ここは中高年と小学生の団体さんでごった返していた。
  2. 中尊寺は天台宗の東北大本山、850年に慈覚大師が開山した。12世紀の初め、奥州藤原氏初代の清衡によって多くの堂塔が造営された。長い戦乱で亡くなった人々の霊をなぐさめるためであった。
  3. さて、三代秀衡のもとに頼朝に追われた義経が身を寄せた。四代目の泰衡は頼朝の圧力に屈して、義経を自殺に追いやらざるを得なくなった。その義経が自害した義経堂(ぎけいどう)が1kmばかり離れた場所に建っている。
  4. 義経を亡き者にした後も、頼朝は奥州を支配するために藤原氏を滅ぼしてしまった。100年の間栄華を極めた藤原氏の四遺体は、今も金色堂に眠っている。
  5. 参道の両側には、お堂が幾つかあって、奥の方に金色堂と讃衡蔵(さんこうぞう)という藤原文化の遺宝が展示されている。


    中尊寺入口


    経蔵

  1. 再び東北道を平泉前沢ICから盛岡南ICまで走り、R106を東進して陸中海岸に達した。
  2. 浄土ヶ浜は第一駐車場に車を停めて海岸線に添って北に歩いた。風が強く寒さが身にしみるので上着を着る。ちょいちょい帽子がとばされた。盛んにみゃーみゃーと鳴いているのはウミネコである。


    お台場展望台より浄土ヶ浜

  1. 三つ目の入江に浄土ヶ浜があった。ここで妻が盛んに石を物色を始めた。友達の家で絵付けした石を見て、それを真似るのだとか。きれいな石ではないが、扁平な形が絵付けをするには良さそうだ。僕も一緒になってさがし、合わせて9個の石を拾った。こんな他愛のないことが旅の想い出になるのである。


    浄土ヶ浜

  1. 今日の泊まりは休暇村陸中宮古である。浄土ヶ浜の2km程北の崎鍬ヶ崎に位置する。ここは森に囲まれているとはいえ、海風が吹き上がってきて更に寒かった。


    広大な園地の中にある

  1. 僕達は入館前に園内の散策を済ませることにした。見所は姉ヶ崎展望台である。海岸の切り立った崖の上から眼下に波に洗われる姉ヶ崎が見える。西日を浴びて岩礁が輝いている。海中からからそそり立った岩山全体を取り囲むように夥しい数のウミネコが乱舞しているのだ。


    ウミネコの繁殖地

  1. ポーチの脇に見たこともない房状の白い花が咲いていた。訊いたらウワミズザクラだという。ここだけかと思ったが、その後の道中でもよく見かけたので、この辺では珍しいものではなさそうだ。さらに家に帰って調べてみると全国に分布しているそうだ。僕が今まで気が付かなかっただけかもしれない。
  2. 今晩の食事は楽しみだった。「三陸豪快魚料理」と銘打った会員用の期間限定メニューの知らせを4月に貰っていたのである。そこで躊躇なくこれを予約しておいた。なるほど銘にたがわず十分に堪能できる夕食だった。これで1泊2食8,000円だから得した気分になった。

<データ>走行距離:377km

<龍泉洞・小岩井農場・角館・田沢湖・乳頭温泉>6/6

  1. 今日は高速道路は全く利用しないツーリングである。最初は龍泉洞。R45を北進し、小本から分岐してR455を西進する。JR岩泉線の終点駅「いわいずみ」の北側に龍泉洞がある。
  2. 実は平成6年9月に見学する機会はあったのだが、そのときは大雨で洞内が増水し入洞禁止だったのだ。今回ここは外せないと意気込んだのであるが、結果は期待はずれであった。茶色の岩ばかりに見えて観光客には物足りない。同じ東北でも福島県のあぶくま洞のほうに歩がありそうだ。とは言うものの、それは僕が無学なのであって、ここは学術的に見学しなければいけないらしい。それは龍泉新洞科学館によって勉強しよう。僕達は平成6年に科学館を見学しているので、今回は割愛した。
  3. ここを30分で切り上げて、ひたすら小岩井農場を目指すことにした。R455をさらに西へ向かって高度を上げると、やがて海抜1,000m台の早坂高原に着く。白樺とツツジが美しいロマンチックな林が広がっている。


    早坂高原

  1. ここが分水嶺になっていて、これから先は玉山村である。なおも高原の緩やかな道を下っていくと、やがて岩洞湖に達する。湖岸の道はどこまでも平らかだ。右手にはしばらくの間、紺碧の湖水がお付き合いしてくれる。
  2. やっと湖とお別れかと思ったころ、再び湖水が現れた。外山ダムである。これを過ぎた辺りから道は次第に勾配がきつくなって、カーブが多くなり、いかにも山岳道路の様相になってきた。そして盛岡市。
  3. カーナビに誘導されて、市街地も効率よく抜けた。盛岡IC付近で、道はR46にかわる。6km程走って県道を北進する。すぐに牧草地が現れのどかな景観が続く。小岩井農場に到着した。11時30分丁度昼時である。マイカーも観光バスも結構多い。
  4. 躊躇なく、入場料を払って「まきば園」に入った。修学旅行の小学生が旺盛に肉をパクついていた。ここで我々もラム肉で焼肉の昼食とした。勿論牧場の牛乳を使ったソフトクリームもだ。北に見えるは岩手山(2,038m)である。雪が少し残っている。


    焼肉レストラン


    まきば園



    草をはむ牛

  1. 「まきば園」を出て、乳業工場を見学した。こちらは見学者は皆無だった。昼の休憩時間のこととて、僕達は勝手に工場見学を始めた。そうしていいとの張り紙が入口に掲げてあったからだ。そのうちに機械が動き出して、紙パックに牛乳が詰められて整然と出てきた。
  2. ところで小岩井農場の名称が地名から来ているのかと勘違いしやすいが、左にあらず。共同創業者の小野・岩崎・井上の頭文字を取ったものだそうだ。明治24年(1891)、岩手山南麓原野の火山灰土を開墾した。総面積3,000ha、東西約5km、南北約13kmというから壮大なスケールである。
  3. コースの最終工程はお決まりの製品販売のコーナーである。他に客のいないこととて、若干の買い物をして僕達は工場を後にした。
  4. 今回の目玉は角館である。ここに十分の時間を割きたい思いで、僕達は先を急いだ。R46を岩手県から秋田県に峠を越して、田沢湖町に入った。ちなみにJRの田沢湖線と秋田新幹線とが併走している。R46とR105の交点に角館がある。
  5. 異次元の武家屋敷は国道の縁から唐突に始まった。その世界は約500m続いて、その先で再び現世に立ち返るのである。ほぼ中間に駐車場があって、見学には極めて便利である。
  6. 黒っぽい家並みは既にガイドブックなどでおなじみの風景だ。枝垂桜の樹形が独特の雰囲気を醸し出している。土産店も質問に答える程度で、あまり誘いをかけないのが気楽でいい。菓子の独特のものに「もろこし」というのがあった。小豆の粉を型で固めたもので、一見落雁みたいなものだ。焼いたものと生のものがある。桜の皮で作ったかば細工などもある。


    武家屋敷

  1. 武家屋敷の中でも青柳家が大きく、上級武士の生活ぶりを彷彿とさせる。歴史的に価値のある品が数々陳列されていて、よくも集めたものだと感心してしまう。特に注目を惹いたのは、「解体新書」の挿絵を書いた小野田直武の作品展示である。幕末写真館には、西郷隆盛ではないかと思われる写真なども展示されている。


    青柳家

  1. 角館を後にして田沢湖に向かった。R105を北上して途中から右に分かれて林道を上って行くと潟尻に出る。その近くに辰子像があって、光線の具合で黄金色に輝いていた。後方は名峰駒ヶ岳(1,637m)。


    辰子像 と駒ケ岳

  1. 田沢湖は、ほぼ円形のカルデラ湖である。湖面標高249m、最大深度423mだから、湖底は海面下174mということになる。湖岸には建造物は比較的少なく、その分樹木に囲まれていて湖面は濃い藍色に沈んでいる。時計回りに半周してR341まで出たところで土産を買った。休暇村のQカード協定で10%引きでお得なのである。
  2. そこから乳頭温泉郷に向かって山道を辿った。やがて林道の脇に大きな建物があって、アプローチの入口に休暇村田沢湖高原の案内標識があった。周囲は樵林に囲まれている。


    乳頭温泉郷の一つ


    静かな佇まい

  1. 館内はリニューアルしたせいか、いかにも新しい。早速風呂に入ったが、露天風呂の回りは樵林がどこまでも続いている山の斜面だ。泉質は炭酸水素塩泉と単純硫黄泉の2種類である。
  2. 食事は夕食も朝食もバイキング、山の幸をメーンに食べ放題であった。

<データ>走行距離:282km

<帰宅>6/7

  1. 今回の旅行ではあちこちでフキを見かけた。妻は最終日にフキを採りたいと言っていたので、朝食前にビニール袋を持って林に行ってみた。しかしフキはあったのだが茎の下が茶色くて、うまい種類のものではなかった。代わりにコシアブラを沢山採ることができた。
  2. どこからともなく温泉の匂いがしてくる。まだ食事には十分に時間があったので、もう少し林道を上ってみることにした。少し先まで行った所に黒湯があった。細い道を下ると谷間の出会いで辺りの地面から湯気が立ち上っている。建物の陰に露天風呂があるらしい。車も何台か停まっているので湯治客もいるのだろう。


    湯治客に利用される黒湯

  1. 休暇村に戻って朝食後、直ちに出発した。今日は高速道路の走行が主である。盛岡ICから佐野藤岡ICまで順調に走りたいものだ。幸い天候も良さそうだ。
  2. 願いどおり事故渋滞も工事渋滞もなく、国見SAでガソリンを補給し、安達太良SAで昼食を取って順調に長距離走行を終えた。

<データ>走行距離:577km

(目次に戻る)

 

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください