このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください


 ここへ行ってきました 

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16.12.5〜6雪の白骨

 白骨温泉に行こうと誘ってくれたのは、信州松本市に住むKさんであった。入浴剤騒動で世間を騒がせた記憶は、まだ消えていない。しかし名湯であることは僕自身が体験済みである。それにも増してKさんは、何回も現地に足しげく通っている白骨通である。僕達夫婦は一も二もなく話に乗った。

 すでにシーズンオフに入っている。夏料金の1/3と聞けば反対する理由などないではないか。もう一つ決定的に有利な話があった。松本駅まで迎えに来てくれるというのだ。スタッドレスタイヤを履いて標高1,400mの高地まで危険な運転をしないで済む。

<松本城>

  1. 松本市へのアプローチは二つある。上信越自動車道から長野自動車道に乗り継ぐ方法と、東部湯の丸ICで下りて、国道254の三才山(みさやま)トンネルを通る方法とがある。
  2. 僕の車はスタッドレスタイヤを履いていない。群馬県の平野部で暮らす限りは、雪はめったに積もらないからだ。だが今度の信州行きでは雪道走行に遭遇する懸念があった。そこで、Yahooのピンポイント天気予報には注意を払った。出発前日の予報は、明日は大雨と報じていた。しかし幸いにも予想気温は高かった。これでルートは三才山と決まった。高速料金が少なくて済む。
  3. 当日、出発時は雨だったが、高速道路に入って直ぐにやんだ。上信越自動車道も暫定二車線から四車線に変っていて、極めて順調。三才山トンネルを抜けて松本城に着いたのが10:45分。傘の要らない程度の時雨。雲の陰りの元に城郭は沈んでいた。背景の城山にそこだけ日差しがあって、虹が懸かっていた。


    虹懸かる松本城

<白骨温泉>

  1. 市内の蕎麦屋で手打ち蕎麦を食べて、Kさんの家に行った。迎えの車は松本駅を13:30分に出発とのことである。マイカーを預けて駅に向うと既にバスは来ていた。我等グループは9人である。たぶんマイクロバスだろうと思っていたところ、なんと大型バスだった。
  2. バスはホテルがチャーターした観光バスだった。乗客は43人。方言から近隣の人が多いとみた。運転手は、軽妙にガイドもしてくれる。国道158を上高地方面に向かい、奈川渡(ながわど)ダムを過ぎて左に曲がり、上高地乗鞍スーパー林道に進路を変えた。
  3. 夏場であれば、白骨温泉へのルートは、国道158をもう少し先に進んだ沢渡(さわんど)から上る近道がある。しかし冬期は閉鎖される。道はただ一本、今回のルートに限定される。乗鞍高原で乗鞍岳への道と分かれて、スーパー林道を北上。料金所から勾配が増し、蛭窪トンネルを潜ると雪がちらついていた。急斜面の曲がりくねった林道を下るうちに、葉の落ちた林間に湯宿が見えて来た。着いたのは15:30分。松本から2時間の行程である。
  4. 宿はSGホテル。入浴剤騒動の矢面にたったホテルである。女将を始めとして、大勢の仲居さんが玄関で迎えてくれた。我等リーダーのKさんはレピーターで、顔見知りのようだった。
  5. 部屋の豪勢さには驚いた。女と男の二部屋に別れたが、双方とも和室の前室・中室・奥室のスイートルームであった。便所二つと、サウナまで付いている。
  6. 部屋は建物の角にあり、二辺が全面ガラスに覆われていて、外の景色がよく見える。雪が渦巻いていて身震いしそうになるが、室内は心地よく暖められていた。ガラス戸と内障子との隙間は30cm程あって、空気の断熱効果が高いのだ。
  7. 先ずは風呂である。早いうちが空いていてよろしい。浴室に近づくにつれて、温泉の臭いがしてきた。戸を開けると湯気に霞む乳白色のお湯を湛えた浴槽があった。湯温は丁度よかった。尻を底に据えて首が水面に出る深さだ。浴槽の縁は丸太でできており、石灰質の結晶が白く付着している。湯口には黄色の硫黄分が厚い皮膜を作っていた。柄杓が置いてある。飲んでみると微酸味をおびており、意外にも癖のない味だった。
  8. 温泉旅館組合のホームページには、加盟旅館等のリストがあって、それぞれの成分を明らかにしている。偽装したことに対するお詫びのメッセージも載せている。SGホテルも襟を正して慎ましく、そして真心をもって客をもてなそうと努力している様子が感じられた。
  9. Kさんの話だと食事どきを除いて持ち込みは自由だそうで、持参の地酒を直ぐに飲み始めた。夕食は会席料理。サービスの燗酒も一本ついて、その後はカラオケで盛り上がった。小生は「ジョニイへの伝言」、「五番街のマリーへ」を、なんとか歌うことができた。
  10. 翌朝も会席料理。最初に椀盛りのお粥が出て、温泉で煮たのだという。中々の美味。そのうちに鍋が噴いて、煮えた小シメジで味出しをした豆腐と、普通のご飯で主食をとった。ヤマモモの実を漬けた一粒も芳しく、口中に広がった。
  11. 出発前のロビーでは、キリマンジャロのコーヒーがサービスされた。玄関前にはバスが待機していて、後輪にはチェーンが巻かれている。道路は除雪が終わっていて、ジャスト10::00に出発。昨日の乗客は半分に減っていた。連泊の客が結構いるのだろう。


    ホテルからの雪景色


    宿泊ホテル



    白骨の雪景色
  1. 帰りの道は昨日の道である。谷を遥かに見下ろして高度を上げて行く。山の北斜面であるから、朝日は当たらず寒々とした雪景色が続く。次第に白骨の湯宿が、眼下の林間に遠のいて見えなくなった。蛭窪トンネルを抜けると陽が射していた。山の南斜面だからである。
  2. シャーベットの雪も消えて、乗鞍高原で乾燥路面となった。チェーンを外して、バスは国道158を快調に走り、松本駅には11:30分に着いた。

<参照>
白骨温泉ホームページ

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