このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

● ここへ行ってきました ●

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21.6.30〜7.1雄国沼・磐梯山・霧降高原(ニッコウキスゲ)

<旅行計画>

 昨年、尾瀬沼のニッコウキスゲが不作で、空振りに終わってしまった。今年はぜひとも当ててやりたい。そこで思いついたのが、独身の頃ホームグラウンドとしていた東北の山である。年齢と女房同伴のことを考えると、本格的な登山は無理である。ハイキング程度ならと雄国沼(おぐにぬま)にした。ついでに直ぐ近くに磐梯山がある。ゴールドラインを利用すれば楽な登山が楽しめる。早速、雄国沼のライブカメラを見ると、ニッコウキスゲは見ごろを迎えたようだ。週間天気予報は雨模様であったが、決行することにした。

<雄国沼>

  1. 雄国沼と磐梯山のどちらを先にするかは、現地へ近づいた磐梯山SAから確認できる。その結果、雨はまだやまず、磐梯山は雨雲に隠れて、その存在すら窺えなかった。躊躇なくカーナビを設定し直して、雄国沼に向かった。雄国沼であればコウモリ傘でも行動できないことはない。
  2. 雄国沼へのアクセスは、喜多方口を利用する。6月6日〜7月20日の期間は、マイカー規制が行われ、入山口がここに絞られる。林道の入口に県営雄国萩平(はぎだいら)駐車場があり、ここからシャトルバスを利用する。終点の金沢峠までおよそ30分。この間、上下すれ違いの車両交換所は、中間地点の一箇所に限定されている。シャトル基地と金沢峠の係員と運転手との無線同時通話によって、運行管理されている。


    雨の林道をバスは行く


  3. バスを降りた所は、外輪山の淵である。そこに展望用のテラスデッキが設けられている。小雨となり紗を透かしたように、雄国沼が見える。湿地帯の黄色い広がりはまさしくニッコウキスゲだ。デッキの脇から沼へ降りる散策路がある。それを下っていくと、さっそく目の前に草原が広がり、黄色い絨毯を敷き詰めたような風景となった。


    デッキからの展望


  4. 木道一周で1時間程度の周遊である。それ以外の箇所は立ち入りができない。雄国沼は標高1,000m。雄国沼は、古くに火山活動が盛んなときがあり、猫魔ヶ岳・,雄国山・古城が峰・厩岳山などを外輪山にもつカルデラ湖である。緑したたる山々はブナが多く、初夏にはレンゲツツジ、6月末から7月初めにかけては、沼の南に広がる湿原地帯にニッコウキスゲの大群落が咲き誇る。


    島のように見える岬



    密生した花の楽園



    水辺には水草の緑も



    観賞するハイカー



    ヒオウギアヤメ



    岬の森



    雄国沼休憩舎



    金沢峠から会津盆地を見る



    阿賀川の蛇行が作り出した米どころ

<磐梯山>

  1. 雄国沼を見終わったころ雨が上がった。明日の天候がどうなるか分からないので、磐梯山(1,818.6m)を行けるところまで登ろうということになり、ゴールドラインの猫魔八方台に向かう。しかし磐梯山は雲の中である。有料道路であるから梅雨の季節にあまり利用する人はいないようだ。駐車場には4、5台しかいなかった。登山口から、ブナ林の中を歩きやすい道が延びている。小鳥の声がしきりにする。馬のいななきに似た囀りはコマドリであろうか。程なく中の湯温泉。今は廃墟となっており、登山ルートの標識的存在になっている。周辺にはぶくぶくとガスが噴き出ており、水たまりに手を突っ込むと温かだからいつでも露天風呂ができそうな気がした。


    ブナの原生林

    中の湯


  2. しだいに勾配が増して石が多くなり、足元にばかり目がいって張り出した木の枝に頭をぶつけてばかりいる。下山後、宿で鏡をみたら禿頭は傷だらけだった。汗ビッショリになって漸く弘法清水に着いた。水の美味さは50年前と変らない。手の切れるような冷たさである。50年前は清水だけだったのに、今は休憩小屋が2つある。



    火山性の山肌になる

    弘法清水


  3. ここまで来たら頂上を目指すしかない。しかし雄国沼に続いて午後から山に登るのはきつかった。幸い裏磐梯側の眺望が、勇気づけてくれた。


    頂上近し

    頂上直下の岩峰



    岩峰を上から見下ろす

    裏磐梯湖沼群


  4. 風も穏やかな頂上に着いた。尖鋒からは360度の展望を期待したが、南面の猪苗代湖側は雲の下に隠れていた。


    新たな土石流か

    頂上


  5. 磐梯山の火山活動は、歴史的にみても興味は尽きない。北側の山体が噴き飛んで河川を堰き止め、沢山の湖沼群ができた様子が難なく理解できる。最も新しい火山活動は、明治21年(1888)であり、500名近い人が亡くなった。
  6. 大爆裂の火口原となった西側には、銅沼(あかぬま)があるが、50年前はあたり一面ガレキに覆われ、干上がった沼底がひび割れて、不気味な様相を呈していた。それが現在は、植生豊かな緑の林に様変わりしているのだから驚いた。自然回復なのか、人為的な努力によるものなのかは分からない。


    磐梯山南西面


  7. 下山後、振り返って見ると磐梯山の頂が望めた。この日は東山温泉泊まり。

<霧降高原>

  1. 翌日は雨。やはり昨日、磐梯山に登っておいて良かった。二日分の行程を昨日こなしてしまったので、今日は気の向くまま行動することにした。南会津町と昭和村にまたがる駒止湿原は、今ワタスゲが見ごろと聞く。しかし雨模様にて、栃木県日光市の霧降高原に向かった。そうすれば雄国沼とのニッコウキスゲの咲き比べもできようというものだ。
  2. 霧降高原の名のとおり、この季節は霧に蔽われやすい。スキーゲレンデの夏山リフトに乗って高度を上げる。次第に霧が濃くなっていく。前方のリフトに乗っている人も幻のようだ。花も霧にむせんでいるようだ。リフトを3回乗り継いで、小丸山(1,600m)が終点。晴れていさえすれば一面のニッコウキスゲを見る事ができる筈である。


    夏山リフトに乗って

    近くしか見えない


  3. 霧降高原のニッコウキスゲは、鹿の食害に手を焼きつつ、地元関係者の努力によって、かなり回復したと聞く。その努力を称えて、雄国沼との咲き比べは引き分けとしよう。後は写真によって読者の判定にお任せする。
  4. 国道122号の日足トンネルを抜けて、足尾町経由で前橋市に戻った。

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