下仁田町を訪ねる
下仁田ジオパーク・荒船風穴・神津牧場(2014.7.25) 群馬県下仁田町がいま意気盛んだ。上信越自動車道が供用後、長野県佐久市へ出る国道245号は意気消沈していたけれど、それがこのところ元気を取り戻したように見える。その理由は、「富岡製糸場と絹産業遺産群」の構成資産である「荒船風穴」がクローズアップされたからだ。
もう一つは、「下仁田ジオパーク」の存在である。日本ジオパークとして認定されており、荒船風穴は、このジオパークにも組み込まれている。 ところで下仁田町には、日本で最初の洋式牧場といわれる「神津牧場」がある。実は荒船風穴を訪ねるには、この牧場内を通らざるを得ないのである。そんなことから、タイトルの順に現地を訪れた。 1.<下仁田ジオパーク>
まず、ジオパークとは何ぞや。要約すれば、「地球科学的に見て重要な自然の遺産を含む、自然に親しむための公園」とでも言おうか。
ランキングの下位から「日本」があり、次に「世界」がある。先ずは日本ジオパークに申請し、認定が得られたのち、世界ジオパークを目指す。現在、日本ジオパークには27地域が認定されており、世界ジオパークには洞爺湖有珠山・糸魚川・島原半島・山陰海岸・室戸・隠岐の6地域が認定されている。
下仁田ジオパークの拠点施設として、「下仁田町自然史館」がある。まずはここを訪ねて、視聴覚教室の映像解説で基礎知識を得る。
冒頭に出てくる映像は「台地の変動」と称する下仁田町のパノラマ風景である。緑濃い山並みが映されている。そして黄土色に染まった山並みが、横方向にスライドを始めた。
何のことやら分からいまま度肝を抜かれたが、すぐにナレーションが始まった。スライドした山並みは、どこか遠くから動いてきたというのである。昔からあった根っからの山ではないので、これを「根なし山」というのだそうだ。
では、その山並みは一体どこから移動してきたのかという疑問に対しては、いまだ解明されていないという。しかし50km以上の遠くから移動してきたものであるらしい。まるで大陸移動説を思わせる。
解説はさらに続く。下仁田町の中心地を東西に中央構造線が横切っている。そのため断層が多くマグマの固まったものや、海底で固まった岩石が地殻変動で複雑に形成される。これらの露頭が東西10km、南北3kmの範囲に密集しており、河川のあちこちに見られる。映像はそれらのジオサイトを解説して終わる。
次に館内の展示室を見学。鉱物見本やパネル写真によって知識が深められる。
ジオサイトの現地見学は、自然史館でもらったB2版の「下仁田ジオパーク」という、リーフレットが大いに役立つ。マップと写真で構成されており、カーナビ付きの車であれば現地を訪ねることが容易である。道が狭いので軽自動車をお勧めする。ジオサイトには案内板や解説板が設けられている。
跡倉クリッペのすべり面
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宮室の逆転層
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僕等は時間の関係で2箇所だけ見学した。再度の訪問が楽しみである。正確な知識は次のサイトをご覧いただきたい。
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日本ジオパークネットワーク
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下仁田ジオパーク
> 2.<世界遺産「荒船風穴」>
国道254号線沿いの「荒船の湯」を通過して、佐久方面に向かう。間をおかずして市野萱橋が見える。橋の直前左手にY分岐があり、左に進入する。すぐに右へ折れ、市野萱橋の直下をくぐれば、それが県道44号である。
あとは道なりに進むと、やがて「屋敷」という集落が見える。10戸ほどの集落だが切妻屋根の甍が輝いており、なぜこんな山奥にと吃驚する。山村の現風景ともいうべき風景に見とれてしまった。
屋敷集落
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その集落を過ぎた所が荒船風穴である。
さて今通ってきた道は交通規制されているので要注意。土日祝は通行できない。平日の9時〜16時のみの一方通行である。
運が良ければの話だが、風穴の入口近くに「荒船風穴見学者広場」があり、すいていれば車を置けるかもしれない。ここが満車であれば、1.2kmほど先まで上った「荒船風穴駐車場」に停めて、そこから徒歩で風穴まで戻らなければならない。結構な急坂であるから、やはり県道への乗り入れは朝早くが有利である。
荒船風穴
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←県道から階段を下りる
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荒船風穴は、明治38年から始まった蚕種保管のための天然の風を利用した冷蔵施設である。隙間の大きい独特の石組みになっており、冬季の凍った氷が溶けて一夏を維持できる機能を持たせている。この日も外気が30℃位なのに、吹き出す冷気は4℃であった。
この風穴によって、それまで春蚕だけしか生産できなかったものが、夏・秋にも生産できるようになった。しかも孵化の時期も不揃いであったものが、一斉孵化できるようになって、作業効率が格段に上がったのである。
荒船風穴の詳細は、下記サイトをご覧いただきたい。
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世界遺産「荒船風穴」
> 3.<神津牧場>
首尾よく荒船風穴を見学したら、さらに車を進めて神津牧場に行く。神津牧場は日本最古の洋式牧場といわれている。名物の牛の行列がが13時ごろにあるからそれまでに着きたい。
牧場の全体像は見晴台から眺められる。東屋風の展望台もあるが、方位盤の置かれた小山のほうが景気はよい。物見山方面が一望できる。
見晴台から牧場俯瞰
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ジャージ−牛は栄養価が高く、食堂でここの製品を使った食事ができるし、買い物もできる。
食堂
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バーベキューハウス
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牛の行列は、放牧地から搾乳室へ帰ってくるときに見られる。どの放牧地からくるかは、日によって違う。食堂のスタッフに撮影ポイントを聞いてお出迎えしよう。
この日は牛の行列が13時15分から見られた。
しんがり牛を追う女性スタッフ
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ジャージー牛の行列
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搾乳室へ
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神津牧場の詳細は下記サイトをご覧いただきたい。
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神津牧場
> この記事「下仁田町を訪ねる」の見学ポイントは下記サイトをご覧いただきたい。
【見学ポイントGoogleMap】
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