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20.7.19.(土) 尾瀬沼
- 2007年8月30日、日光国立公園から分離し、尾瀬国立公園が新設された。併せて会津駒ヶ岳・田代山・帝釈山などの周辺地域も編入された。群馬・福島・新潟・栃木の4県にまたがっている。
- 昭和30年代の登山ブーム以降、尾瀬の破壊は急速に進んだ。その後遺症は大きく、関係者による回復作業の努力は続いているが、アヤメ平の裸地化や至仏山登山道の荒廃はいまだ原形に復していない。
- 環境庁が発足した昭和46年、山小屋を経営していた主人が、「尾瀬の観光道路の建設は自然破壊の現況」と大石初代長官に訴えて、建設が中止されたことがあった。しかし平成14年、その山小屋が生活排水で沼や湿地を汚染し、大量のゴミや廃材を山小屋周辺の敷地に埋めていたことが大問題となった。自然を守れとの提唱者が、自ら環境破壊の下手人となってしまったのである。この事件はショッキングに伝えられ、同時に引き金となって他の山小屋にも波及した。事件の背景にはハイカーのオーバーユースが指摘された。僕も昭和30年代に尾瀬ヶ原を歩き、泥んこ道にして自然を荒らした張本人の一人であるだけに、この事件には忸怩たる思いをした。以後、宿泊登山は自粛し、スポット的な日帰りの山歩きを楽しんでいる。この場合、入山口にマイカーを置くため、同じ道を往復するか、周回コースをとることが多いので、物足りなさはあるがやむを得ない。
- ところが最近、旅行社がニーズ志向のツアーを企画するようになった。今回の旅もそうだ。かねがね大江湿原のニッコウキスゲを見たいが、往復コースでは、ちとつまらない。——と思っていたところへ、Y社がタイムリーなツアー旅行を発表したのである。新聞のチラシだから、もちろん地元営業所の募集だ。新潟県奥只見湖遊覧船でアプローチし、沼山峠-大江湿原-尾瀬沼-大清水のコースを縦断するものである。
- さっそく参加を表明し、ニッコウキスゲの開花ピークにあわせたつもりの当日は、天候だけは当りであった。・・・が、登山口から尾瀬沼までは長蛇の列で、歩行をとめての写真撮影は困難であった。
- ところで、肝心のニッコウキスゲは、花数が少なかった。観察して見るに、鹿の食害が予想外にひどいような気がした。ちょん切られた花茎が多く、泥を浴びたらしいヌタ場も見られた。
- ツアー企画の感想であるが、コースタイムの計画に無理があったように思う。歩行時間しかみておらず、休憩や食事の滞在時間が無視されている結果となった。初めての企画商品だそうだが、日照時間も長く、好天に恵まれ、落伍者もなく下山できたからいいものの、予定のコースタイムをかなりオーバーした。すみやかに計画を見直しする必要があると感じた。
尾瀬沼マップ
奥只見乗船場
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大江湿原の行列
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ニッコウキスゲは少ない
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燧ヶ岳
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