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27.9.24 志賀草津高原ルート
 群馬県の草津町から、長野県の山ノ内町までの国道292号を、通称で志賀草津高原ルートという。雄大な山塊を通るこの道は、なんど走っても爽快だ。


草津白根山位置図(Domap)

 現在、噴火警戒レベル2によって湯釜火口より半径1km圏内を含む2.5km区間は駐停車禁止の措置がなされている。白根山レストハウスは閉鎖され、殺生河原駐車場から万座三差路までの区間は駐停車できない。しかも通行可能時間帯はAM8:00〜PM5:00で夜間は閉鎖される。
 しかし高原ルートを走行する欲望には勝てない。そこで規制区間外のスポットを紹介する。「武具脱の池(ものぬぐのいけ)」と、「日本国道最高地点」の2箇所である。
 白根火山ロープウェイ山麓駅の殺生河原駐車場に車を置いて、国道292号を横断する。すると説明板が立っている。


説明板

 そこから遊歩道を下って行く。突然あたりの紅葉が眼前に広がって、木の間から池が見える。池の周囲に木道が敷設されていて、写真を撮る人がチラホラいる。不思議なことに高原ルート全体はまだ濃緑に覆われているのに、武具脱の池周辺だけが錦秋の趣きを呈している。


池が見える


池の向うに山麓駅

 以下、しばし木道からの景色をご覧いただきたい。






 池を一周して駐車場に戻るまで1時間もあれば充分である。スニーカーでも歩けるハイクが堪能できる。

 ここから噴火警戒の交通規制の区間に入る。駐停車禁止であるから車から降りて写真を撮ることはできない。ところどころにある、撮影ビューポイントには、警備員が立っており、ときどきパトロールカーが巡回している。車窓から景色を眺めながらドライブを楽しもう。白根山レストハウスも完全に閉鎖されており、本白根への分岐路や弓池にも入ることはできない。

 車を進めて万座三差路まで来ると、交通規制の区間は終了する。高原ルートは群馬と長野県の県境尾根を着かず離れずして北進する。それとともに視界は白根山の西斜面から北斜面へと移動する。
 山田峠あたりまで来ると、驚いたことに噴煙が無数に見えた。このような景色は今まで見たことがない。


無数の噴煙(山田峠付近から)

 さらに北進する。


噴煙(山田峠付近から)


噴煙(山田峠北部から)

 ルートは高度を上げつつも白根山から遠のいて行く。そして眼下に芳平が望める日本国道最高地点(2,172m)に着いた。右手に噴煙と雲とが一体となってしまった。


 日本国道最高地点から少し先へ行くと渋峠である。群馬県と長野県の県境に渋峠ホテルが建っていて標高は2,152m。今でこそ高原ルートを車がスイスイ走っているが、それ以前は渋峠が峠越え道路として重要な役目を果たしていた。
 「大言海」を著した大槻文彦の「上毛温泉遊記-明治12年8月」に次のような注目すべき文章がある。

 『白根山の東に北の方信州高井郡渋村へ越ゆる路あり、渋峠七里という。信州の人は殊に此路を頼む。此路昔よりあり、初め入山村より此路を越ゆるを三等県道と定めたりしたが、止みて今、草津路の方を修むといへり』

とある。入山村とは旧六合村(くにむら)に属していた。平成22年(2010)に合併し、現在の群馬県吾妻郡中之条町入山を指す。
 此路とは、入山から芳ケ平を通る道と考えられる。

 その芳平であるが、27年5月29日「芳平湿原群」としてラムサール条約湿地登録簿に登録された。

 さて、渋峠を越えると、長野県側の景色が見える。雲海が遠くの山を覆っているが、天気さえ良ければ北アルプスの山並みが見られる。


白根山塊1


 車は高度を落とし、笠越で左に分岐し、笠岳(2,076m)の林道に入る。峠を越えるとまもなく山田牧場が見える。 黒和牛がたむろしている。朝食を終え、座り込んで反芻をしているところだ。


山田牧場 俯瞰


黒毛和牛

 白根山塊の信州側も温泉の宝庫である。秋には松川渓谷が紅葉の名所となる。

<参考文献>
 六合村誌1973
 草津温泉誌1976

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