このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

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28.11.6 東吾妻町 吾妻渓谷(吾妻峡)

 すっかり有名になってしまった八ッ場ダムは、群馬県の長野原町。そしてダムの直下は東吾妻町である。東吾妻町には、国指定の名勝・吾妻渓谷があり、この時期は紅葉見物の客で賑わう。
 群馬県の郷土かるたに、「上毛かるた」があり、全国普及率ナンバーワンを誇っている。かるたの「」の札にこうある。

耶馬溪しのぐ吾妻峡

たった9文字の句であるが、現地を訪れてみれば納得する。

吾妻渓谷は、八ッ場ダムの建設によって全体の4分の1を失ってしまったが、主要な景勝地はどうにか守られた。以前の遊歩道は、長野原町のJR川原湯温泉駅から右岸の遊歩道に入り、下流の鹿飛橋を左岸に渡って、スタート地点まで戻るという周回コースが普通であった。ところがダム工事が始まったことによって様変わりした。

そもそも、八ッ場ダムの建設に当たっては、大規模な交通網の周辺整備を必要とした。単に国道の整備に留まらず、住民の生活に重要な道路網の環境整備が行なわれた。長野原・東吾妻両町の吾妻川右岸は、もともと日照時間が少ない為、未開発地区であった。従って鉄道・道路とも開発が比較的容易だったのである。

そんな訳で吾妻渓谷の観光設計も見直しが行なわれた。いまや地方の移動手段は鉄道よりも自動車が主力である。躊躇なく遊歩道の駐車場が鹿飛橋に近い場所に設置された。それが十二沢パーキングである。かつ、周回できる新橋も増設した。それが「猿橋」である。

この日、十二沢パーキングは朝早くから満車となった。パーキングエリアの坂の上から渓谷右岸の遊歩道へ行く道である。


十二沢パーキング


これより遊歩道

 しばらく針葉樹の暗い道を歩き、間もなく落葉樹に入った。紅葉も良さそうだ。


最初は暗い道


明るい道へ

 急斜面のつづら折りを下って行く。岩の上にある木の根っこが、岩の割れ目を下に伸ばしている逞しく珍しい姿を見た。そして鹿飛橋に出た。


岩を下に這う根っこ


上流側から見た鹿飛橋

 橋を渡らずに、これより右岸を上流へ辿る。上流の浸食谷を見ながら遡行する。まさに怒涛。


浸食谷の怒涛

 渓谷沿いはカエデが多い。紅葉も見頃だ。遊歩道はこのような景色が続く。


カエデ


カエデ

 対岸の山上は大蓬莱。


大蓬莱

 渓谷の紅葉をなおも楽しむ。


渓谷の紅葉


渓谷の紅葉

 木の間を透かして渓流が見える。


渓流


渓流

 遊歩道は急斜面となり、つづら折りを登る。尾根に上がると、分岐点がある。この先は川原湯温泉に行く道だが、ダム工事のため進入禁止になっている。


見晴台へ


通行禁止札

 分岐点を右に曲がり上りきったところが小蓬莱の見晴台である。切り立った頂部は狭いが、かなりの人数だ。周りは柵で囲ってあるからいいが、垂直の断崖だ。

 展望台からダム工事の様子が見られる。


ダムサイト右岸


ダムサイト左岸

 ダムサイト右岸の写真を拡大すると、重機・トラック・人などが見える。


ダムサイト右岸の作業風景

 見晴台から元来た道を引き返す。前述の鹿飛橋を左岸に渡る。下流側を見ると、浸食崖の様子がよく分かる。


鹿飛橋


下流側浸食崖

 左岸側の遊歩道に登って下流側に行く。近くに廃線となった樽沢隧道がある。新線は右岸側の高みに移動している。日本一短いトンネルは幻となり、廃墟と化した。同様に国道145号も左岸の高みに新道ができて、旧道は廃道となり、ダム完成後は管理用道路となるのだろうか。


樽沢隧道


鉄橋と樽沢隧道

 これで吾妻渓谷の紅葉散策が終わった。今年、新しくできた猿橋を渡り、仮設のパイプ足場を上がって、スタート地点の十二沢パーキングに戻った。


猿橋の向こうからこちらに渡る

吾妻渓谷ガイドマップ

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