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施設名称 カトリック松が峰教会
設計者名 マックス・ルドルフ・ヒンデル(横浜在住のスイス人建築家)
施工者名 宮内初太郎
建 築 年 昭和7(1932)年
構 造 鉄筋コンクリート造
階 数 4階建て
所 在 地 栃木県宇都宮市松が峰1丁目1−5
〒320−0807
電 話:028−635−0405
FAX:028−635−9666
備 考 ◆屋根:銅板葺き ◆建築面積:404m2 ◆塔屋付
◆登録基準:国土の歴史的景観に寄与しているもの
◆参考書類:日本近代建築総覧
『栃木の建築文化 カトリック松が峰教会』
(日本建築学会関東支部 1987)
東武鉄道宇都宮駅の近くに建つこの教会は、ローマ・カトリック系の
教会である。
明治21(1888)年に、宇都宮天主公教会が創立された。明治2
8(1895)年、「歩く宣教師」との異名をもつカジャック神父(パ
リ外国宣教会(パリ・ミッション)所属のフランス人宣教師)が、峰町に
土地を購入。大正時代に入り、カジャック神父が聖堂の構想をし、後に
愛弟子フロジャック神父(パリ外国宣教会(パリ・ミッション)所属)が
引き継いで完成となった。スイス人建築家マックス・ヒンデルの設計で、
昭和7(1932)年11月に竣工した。
この建物は、正面に2つの尖塔をもつ、本格的なロマネスク様式の聖
堂である。北関東の教会の中では随一の規模をもつという、壮大で華麗
な姿は、ドイツ・ロマネスクの代表作「シュパイヤー帝国大聖堂(10
61年)」を思わせる。1階は幼稚園として、また2階から上は聖堂と
して建てられた。聖堂内は太い柱が半円形の天井を支え、左右のステン
ドグラスを通してやわらかな光が差し込み、教会らしい独特の雰囲気を
醸し出している。
この聖堂が竣工した当時は遠くからも眺める事ができ、宇都宮の新し
い名所となっていた。列車の中からもよく見え、2つの尖塔が見え始め
ると「宇都宮に来たなぁ」と思わせたものである。「あの日、教会も燃
えました。石の壁や柱だけが、かろうじて残ったのです。」と、ジャン
・ワレ神父は宇都宮大空襲(昭和20年7月12日)のことを語る。い
まも外壁のあちこちに、墨をぶちまけたように変色した猛火の傷跡が残
されている。終戦後、主任司祭であったミカエル神父は、焼け野原で拾
い集めた鉄くずや信者が寄付した米を進駐軍に売るなどし、教会再建の
資金作りに奔走した。外国からの援助もあり、聖堂は2年で復興した。
その後、ステンドグラスや外壁は補修したが、火に強い大谷石の壁と柱
は、ほぼ戦前の姿をとどめている。
現在は聖堂の外壁も修復され、エレベーターも設置された。平成14
年度には「宇都宮市まちなみ景観大賞」を受賞している。尖塔にあった
「アンジェラスの鐘」は戦争時に金属供出されてしまった。しかし現在
は「2代目のアンジェラスの鐘」が設置され、宇都宮の街に澄み切った
音色を響かせている。
カトリック松が峰教会は、登録有形文化財登録基準(平成8年文部省
告示第152号)の「一 国土の歴史的景観に寄与しているもの」とし
て、平成10(1998)年12月11日に国の有形文化財として、文
化財登録原簿に登録された。
● マックス・ルドルフ・ヒンデル ●
← 下段の中央がヒンデル
1887(明治20)年にスイスのチューリッヒに生まれ、幼い時から建築を志す。1903(明治36)年、下級ギムナジウムを終了し、ヨーロッパ各地の設計事務社で修行する。1916(大正5)年、チューリッヒに設計事務所を開設し、建築家としての本格的な活動を始めた。
妹ルイーズとともに札幌で暮らしていた夫であるハンス・コーラ(北海道帝国大学予科のドイツ語教師)の勧めで、北海道永住を決意し、1924(大正13)年に夫人とともに札幌に移り住んだ。北海道に3年間在住し、教会関係の作品を中心に16余りの建物を設計し、北海道の近代建築の開拓者と言われた。札幌藤学園キノルド館(札幌、1924・大正13年)、聖フランシスコ修道院(札幌、1925・大正14年)、大野邸(札幌、1925・大正14年)、北星女学校教師館(札幌、1926・大正15年)、北大手稲山パラダイスヒュッテ(札幌、1926・大正15年)、北大ヘルヴェチアヒュッテ(札幌、1927・昭和2年)、天使の聖母トラピスチヌ修道院(函館、1927・昭和2年)などの作品が現在も残されている。
コーラ氏の死去(1927年)により横浜市本牧に移り、ここで旧秩父宮殿下ヒュッテ(札幌、1928・昭和3年)、聖母病院(新宿区、1931・昭和6年)、上智大学旧館(千代田区、1932・昭和7年)、南山中学(名古屋、1932・昭和7年)などの作品を設計した。
宇都宮カトリック教会の設計は、1928(昭和3)年頃にカジャック神父のカテドラル構想を引き継いだフロジャック神父から、当時カトリック関係建築の実績を認められて依頼された。
1940(昭和15)年、ドイツのバイエルン地方のレーゲンという町で晩年を送り、1963(昭和38)年1月に76歳で亡くなった。「真の建築家は、金銭で要求に応ずる者ではない」と、凛とした姿勢を貫いた建築家であった。
● パイプ・オルガン ●
旧西ドイツのアルビーツ社製。昭和53(1978)年設置。
オルガンの詳細はコチラ → http://www5b.biglobe.ne.jp/~organ-ex/kitakantou/matugamine.htm
参考文献一覧
◆ カトリックさいたま教区 松が峰教会
( http://www2.ucatv.ne.jp/~matumine.sea/ )
◆ 大谷石と関係の深い建築家:マックス・ヒンデル
( http://oya909.co.jp/museum/hinder.html )
◆ 大谷石の建造物:宇都宮カトリック教会
( http://oya909.co.jp/museum/matugami.html )
◆ 国指定文化財等データベース
( http://www.bunka.go.jp/bsys/searchlist.asp )
◆ ヒンデル
( http://homepage1.nifty.com/tanboh/hinder.htm )
◆ Doblog - 国本平和学習会 -
( http://www.doblog.com/weblog/myblog/46610/1532202 )
◆ Modan Kenchiku Angya/Sapporo
( http://www.belbien.net/magazine/trip/9708/trip05.html )
◆ カトリック松が峰教会
( http://homepage3.nifty.com/Maki-Organ/maki-org-matu.htm )
◆ p2.htm
( http://www.yotsuba.coop/paper/428-200611/p8.images/p8.htm )
◆ カトリック松が峰教会
( http://www.tochigi-c.ed.jp/bunkazai/bunkazai/list/184.htm )
◆ 宇都宮松ヶ峯カトリック教会
( http://www5b.biglobe.ne.jp/~organ-ex/kitakantou/matugamine.htm )
【 作成:2007(平成19)年10月1日 】
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