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平成8年10月1日、『文化財保護法の一部を改正する法律』 の施行により、保存・活用についての措置が特に必要とされる文化財建造物について文部大臣が文化財登録原簿に登録する『文化財登録制度』が導入されました。
文化庁によれば
「この登録制度は、近年の国土開発、都市計画の進展、生活様式の変化等により、社会的評価を
受けるまもなく消滅の危機に晒されている多種多様かつ大量の近代の建造物を中心とする文化
財建造物を後世に幅広く継承していくため、届出制と指導・助言・勧告を基本とする緩やかな
保護措置を講じる制度であり、従来の指定制度(重要なものを厳選し許可制等の強い規制と手
厚い保護を行うもの)を補完するものである」
と説明しています。
また、平成8年8月30日の「文部省告示 第152号」には、文化庁文化財部伝統文化課による次のような登録基準が載っています。
建造物、土木構造物及びその他の工作物 (重要文化財及び文化財保護法第98条第2項に規定する
指定を地方公共団体が行っているものを除く。) のうち、原則として建設後50年を経過し、かつ、
次の各号の一に該当するもの
(1) 国土の歴史的景観に寄与しているもの
(2) 造形の規範となっているもの
(3) 再現することが容易でないもの
平成19年8月1日現在、全国で 6,064 件の建造物が、登録有形文化財に登録されています。
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ところで皆さんは、『立派な建物じゃないと、国登録有形文化財にはならない』と思っていませんか? いえいえ! 立派な建物じゃなくても、国登録有形文化財になります。なぜなら、「文部省告示 第152号」の条件を満たしていればいいのです。つまり
A 建設後50年 + 国土の歴史的景観に寄与しているもの
(特別な愛称などで、広く親しまれているもの
その土地を知るのに役立つもの
絵画などの芸術作品に登場するもの )
B 建設後50年 + 造形の規範となっているもの
(デザインが優れているもの
著名な設計者や施工者が関わったもの
後に数多く造られるものの初期のもの
時代や建造物の種類の特徴を示すもの)
C 建設後50年 + 再現することが容易でないもの
(優れた技術や技能が用いられているもの
現在では珍しくなった技術や技能が用いられているもの
珍しい形やデザインで、他に同じような例が少ないもの)
のひとつに該当すれば、国登録有形文化財にならない理由はありません。
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このサイトでは、『これでも国登録有形文化財なの?!』と思う建造物を紹介します。
◆ 未完成なのに文化財? ◆
北海道 旧国鉄根北線越川橋梁( 国登録有形文化財 第01−0006号 )
登録基準:造形の規範となっているもの
長さ147m、高さ21.7mの10連アーチ無筋コンクリート橋。コンクリート鉄道橋としては、北海道
最大のものです。北見地方と根室地方を結ぶ根北線の一部として建設されましたが、未成線となってしまい
ました。
なお、国道工事に伴い、昭和48(1973)年に橋脚2本が撤去されてしまいました。
※参照サイト
http://shir-etok.myftp.org/page/rekishi/bunkazai/kosikawa.html
北海道 旧国鉄士幌線勇川橋梁( 国登録有形文化財 第01−0010号 )
登録基準:国土の歴史的景観に寄与しているもの
※参照サイト
http://www.page.sannet.ne.jp/fuuta65/hokkaibunka.html
◆ 入れないのに文化財? ◆
北海道 旧国鉄士幌線音更トンネル( 国登録有形文化財 第01−0052号 )
登録基準:再現することが容易でないもの
1937年に建設された、165mのトンネルです。永久凍土のために、難工事だったそうです。金網で
封鎖されており、中に入ることはできません。
※参照サイト
http://www.page.sannet.ne.jp/fuuta65/hokkaibunka.html
◆ 柱や柵も文化財? ◆
山形県 山形市立第一小学校門柱及び柵( 国登録有形文化財 第06−0038号 )
登録基準:造形の規範となっているもの
方形の門柱は高さ約2.6mで上部に飾りがあり、塀は腰から立ち上げた柱を鋼管で結ぶ形式で簡素なもの。
※参照サイト
http://hw001.gate01.com/tamio-m/ymga-bunkazai/005yamagatadai1syogakkomon&saku/framepage1.html
◆ 門や塀も文化財? ◆
山形県 風間家旧別邸無量光苑板塀( 国登録有形文化財 第06−0057号 )
登録基準:国土の歴史的景観に寄与しているもの
明治43年頃に造られ、昭和29年に移築された板塀。
※参照サイト
http://hw001.gate01.com/tamio-m/ymga-bunkazai/036kazamaitabei/framepage1.html
栃木県 塚田家住宅板塀( 国登録有形文化財 第09−0045号 )
登録基準:国土の歴史的景観に寄与しているもの
かつて栃木河岸と呼ばれた巴波川の東岸沿いにある板塀。
※参照サイト
http://hw001.gate01.com/tamio-m/ttg-bunkazai/022tukadaitabei/framepage1.html
栃木県 飯塚家住宅新宅表門及び塀( 国登録有形文化財 第09−0082号 )
登録基準:造形の規範となっているもの
明治40年頃に建てられ、昭和25年頃に改造された表門と塀。
※参照サイト
http://hw001.gate01.com/tamio-m/ttg-bunkazai/129iizukakesinomotemon/framepage1.html
◆ 井戸屋形も文化財? ◆
群馬県 重田家住宅井戸屋形( 国登録有形文化財 第10−0094号 )
登録基準:国土の歴史的景観に寄与しているもの
四方転びの柱に切妻屋根の井戸屋形。
※参照サイト
http://hw001.gate01.com/tamio-m/gnm-bunkazai/031sigetaido/framepage1.html
◆ 便所も文化財? ◆
群馬県 重田家住宅外便所( 国登録有形文化財 第10−0092号 )
登録基準:国土の歴史的景観に寄与しているもの
患者用の便所として建設された、建坪2坪に満たない小屋。
※参照サイト
http://hw001.gate01.com/tamio-m/gnm-bunkazai/032sigetasotobenjyo/framepage1.html
群馬県 片山家住宅下の便所( 国登録有形文化財 第10−0116号 )
登録基準:国土の歴史的景観に寄与しているもの
建築面積4.4㎡で、土蔵造の便所。
※参照サイト
http://hw001.gate01.com/tamio-m/gnm-bunkazai/057katayamakesitanobenjyon/framepage1.html
◆ 小屋や車庫も文化財? ◆
茨城県 宮本家住宅炭・味噌小屋及び車庫( 国登録有形文化財 第08−0086号 )
登録基準:国土の歴史的景観に寄与しているもの
※参照サイト
http://hw001.gate01.com/tamio-m/ibr-bunkazai/122miyamotokesumigoya/framepage1.html
◆ 食堂やお風呂も文化財? ◆
茨城県 亀屋商事(旧飯島家住宅)旧食堂及び旧浴室( 国登録有形文化財 第08−0126号 )
登録基準:国土の歴史的景観に寄与しているもの
旧食堂・旧浴室は、本館の北側にあり、廊下でつながっている。旧食堂はステンドグラスを備え、旧浴室
は竿縁天井となっている。
※参照サイト
http://hw001.gate01.com/tamio-m/ibr-bunkazai/145kameyasyojihonkankyusyokudo/framepage1.html
◆ 付属屋や作業場も文化財? ◆
群馬県 堀口家住宅付属屋( 国登録有形文化財 第10−0056号 )
登録基準:造形の規範となっているもの
作業場などとして使われていた、木造2階建ての建物。
※参照サイト
http://hw001.gate01.com/tamio-m/gnm-bunkazai/103horigutikefuzokuya/framepage1.html
◆ 煙突も文化財? ◆
茨城県 村井醸造煙突( 国登録有形文化財 第08−0156号 )
登録基準:国土の歴史的景観に寄与しているもの
鉄筋コンクリート造・高さ22mの煙突。
※参照サイト
http://hw001.gate01.com/tamio-m/ibr-bunkazai/022muraijyozoentotu/framepage1.html
茨城県 結城酒造株式会社煉瓦煙突( 国登録有形文化財 第08−0023号 )
登録基準:国土の歴史的景観に寄与しているもの
高さ約10mの煉瓦造煙突で、釜場と地下の煙道で結ばれている。酒造業の盛んであった結城の景観のシンボル
となっている。
※参照サイト
http://hw001.gate01.com/tamio-m/ibr-bunkazai/133yukisyuzoentotu/framepage1.html
◆ 倉庫も文化財? ◆
福井県 三宅区火の見やぐら倉庫( 国登録有形文化財 第18−0010号 )
登録基準:国土の歴史的景観に寄与しているもの
切妻造・桟瓦葺の、簡素で小規模な消防用等の倉庫。
※参照サイト
http://hw001.gate01.com/tamio-m/fki-bunkazai/013miyakekuhinomiyagurasoko/framepage1.html
◆ 厩(うまや)も文化財? ◆
山梨県 旧富岡敬明家住宅厩( 国登録有形文化財 第19−0046号 )
登録基準:国土の歴史的景観に寄与しているもの
※参照サイト
http://hw001.gate01.com/tamio-m/ymn-bunkazai/006kyutomiokakeumaya/framepage1.html
◆ 橋だって文化財? ◆
茨城県 央橋(なかばし)( 国登録有形文化財 第08−0105号 )
登録基準:造形の規範となっているもの
ローゼ橋の初期の橋
※参照サイト
http://hw001.gate01.com/tamio-m/ibr-bunkazai/169nakabasi/framepage1.html
◆ 工場や守衛所も文化財? ◆
岩手県 旧東北砕石工場( 国登録有形文化財 第03−0011号 )
登録基準:国土の歴史的景観に寄与しているもの
土壌改良剤としての石灰を製造するため、石灰岩の砕石を行う施設として建設された。簡素な造りではある
が、土壌改良等農業生産の向上に努めた宮沢賢治との関係があることでも知られる砕石工場の遺構である。
※参照サイト
http://www.gijyutu.com/ooki/tanken/tanken2005/saiseki/saiseki.htm
岩手県 酔仙酒造守衛所( 国登録有形文化財 第03−0029号 )
登録基準:国土の歴史的景観に寄与しているもの
酔仙酒造の入口脇に建つ、寄棟造スレート葺の小さな門衛所。下見板をピンク色に塗り、柱や窓廻りなどは
色を変えてアクセントとしている。
※参照サイト
http://hw001.gate01.com/tamio-m/iwt-bunkazai/002suisensyuzosyueisyo/framepage1.html
◆ 発電所と関連施設だって文化財? ◆
茨城県 賀美(がみ)発電所本館( 国登録有形文化財 第08−0140号 )
登録基準:国土の歴史的景観に寄与しているもの
大正8年(1919年)に、久慈川水系里川中流域に建設された発電施設。
※参照サイト
http://hw001.gate01.com/tamio-m/ibr-bunkazai/171gamihatudensyohonkan/framepage1.html
茨城県 賀美(がみ)発電所放水路及び余水路( 国登録有形文化財 第08−0141号 )
登録基準:国土の歴史的景観に寄与しているもの
本館東方の放水口から里川に至る放水路と、水槽から流れ出て放水路と合流する余水路からなる。水路側壁は
自然石を使った谷積石張りである。
※参照サイト
http://hw001.gate01.com/tamio-m/ibr-bunkazai/172gamihatudensyohosuiro/framepage1.html
茨城県 賀美(がみ)発電所取水所( 国登録有形文化財 第08−0142号 )
登録基準:国土の歴史的景観に寄与しているもの
本館から約4km上流にあり、長さ33m・高さ約3mの布積石張の重力式取水堰を中心に、石材仕上げが施
された2つの制水門とコンクリート造りの沈砂池が一体に築かれている。
※参照サイト
http://hw001.gate01.com/tamio-m/ibr-bunkazai/173gamihatudensyosyusuisyo/framepage1.html
◆ 堰堤(えんてい=ダム)と関連施設も文化財? ◆
埼玉県 間瀬堰堤( 国登録有形文化財 第11−0026号 )
登録基準:国土の歴史的景観に寄与しているもの
昭和12年(1937)年に、児玉用水の貯水池として間瀬川を堰き止めて造られた重力式ダムである。
高堀育三の設計で、東日本に残る最古の農業用溜池ダムといわれている。
※参照サイト
http://hw001.gate01.com/tamio-m/stm-bunkazai/081mazeentei/framepage1.html
埼玉県 間瀬堰堤管理橋( 国登録有形文化財 第11−0027号 )
登録基準:国土の歴史的景観に寄与しているもの
間瀬川中流部に建設された農業用ダム・間瀬堰堤の導水下流部に架かる、RC造桁橋。近年の周辺整備により、
良好な散策路の一部として町民に親しまれている。
※参照サイト
http://hw001.gate01.com/tamio-m/stm-bunkazai/082mazeenteikanrikyo/framepage1.html
【 作成:2007(平成19)年9月2日 】
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