このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

バリバリ現役トロッコ


社屋で豊田社長のお話を伺った後は、いよいよお待ちかねトロッコの見学です。鉱業所は2階層に分かれており、 下は加工プラント、上はトロッコ線路のある坑口です。坑口は2箇所ありますが、うち1箇所は緊急 避難および通気用として機能していますから、通常亜炭を搬出する坑口は1箇所となっています。 運転の頻度は少なく、毎日では無いそうです。 軌間(レールの幅)は610mm(ヤード・ポンド法で2フィートに相当)で、12kg/mレールを使用しています。 また、緊急避難および通気用の坑内には500mm軌道が存在し、こちらは6kg/mレールが使われています。 トンネル坑口から外へ出ている線路ですが、荷降ろし場までのわずかな距離です(50m位でしょうか・・・)。 また、分岐して隣接する公園からも見える支線がありますが、こちらはあまり使われていないようです。
坑内の様子ですが、線路は本線と分岐する支線からなり、坑口から入った1本の線路が300m程延びて、魚の骨状 に展開しています。総延長はおよそ3kmにも及ぶそうです。坑内の勾配は1000分の10(1000mの距離に 対し10mの落差分に相当)と、殆ど水平です。これは逆に機関車運搬が可能というメリットがあるわけです。


坑口の少し奥に置いてあった機関車にエンジンが掛かり、坑口から出てきました。いきなりの興奮にもう夢中です(笑)。 ゴトゴトと頼りない動きで荷降ろし場へと向かいます。この日採炭は無く、見せていただいたトロッコ列車は私たち の為だけにデモ走行です。

(下5枚の画像をクリックすると大きな画像が見られます)


炭車は特注で、ここでしか見られない形状(のはず)です。見学した日は機関車に4両くっつい ていましたが、この他に坑内には70台もの炭車が待機しています。以前は公園側の支線に何両 か置いていたそうですが、これを見に公園から鉱業所の敷地内へ無断で侵入する人がいたため、坑内へ全て移動してしまったそうです。


機関車は2両在籍。1号機と2号機があり日本車輌製の製品名「UDL」という4トンディーゼル機関車です。 坑内用機関車として運転室屋根が低く設計され、形状に特徴があります。

1号機のスペックは、

型式  :104
機械番号:4089
製造年月:昭和45年8月
製造  :日本車輌製造株式会社
販売  :日熊工機株式会社

(下5枚の画像をクリックすると大きな画像が見られます)


2号機は線路末端の奥で休車中(故障しています)・・・炭車1両と木製トロ1両がくっついています。


支線の様子。線路の向こう側は、あけぼの子供の森公園です。

支線の横に積み上げられたレールは30kg/mで、坑道の支柱に使用するためのもの。

緊急避難および通気用の坑口です。非常にか細い500mm軌道が見えます。610mm軌道面よりも一段低くなっていて、500mm軌道は坑口から5m位出たところで終点です。

緊急避難および通気用の坑口を覗くと、奥に木製のトロッコが置いてありました。中からはひんやりとした 涼しい風が漂ってきます。



今回、吾八さんのご紹介で東京近郊唯一の貴重な現役トロッコを見せていただきましたが、豊田社長の最大の悩み は、機関車の老朽化が著しいということです。2号機は故障をおこして走行不能ですがメーカーでは機関車の生産 を打ち切っており、修理が出来ないとのこと。1号機も同時期の機関車だけにいつ壊れるか心配なご様子で大変困 っておられました。そこで鉄道チャレンジクラブ清野さんが活動で知り合った団体に話をしてみることに。進展す ると良いと思います。
豊田社長様をはじめ日豊鉱業の皆様方には勤務時間中にもかかわらず、亜炭に関する話やトロッコ見学をさせてい ただき、大変感謝致します。また、吾八さんには大変お世話になりました。この場をお借りして深く御礼申し上げます。


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