このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

草軽コワフ31製作記

 

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 Nや16番では、最近あらゆる車種が製品化され、自作する必要性も低くなっているのかもしれませんが、私の守備範囲の日本型Oナローではまだまだ車種が少ないのが現状です。Oナローは外国では結構盛んのようでプラ製品まで出ていますが、日本では珊瑚模型店グループとオレンジカンパニー、アルモデルそしてワールド工芸などごく限られたメーカーで製造されているにすぎません。私はOナローでも旅客営業を行っていた軽便鉄道の車両を主に製作しているので、主に珊瑚模型店とオレンジカンパニーの製品を主に作っています。しかし、いかんせん特に貨客車の車種が少ないうえ、最近は両者とも製品のリリース頻度が非常に低いので、自作することによる車種を充実を目指しています。

 今回は草軽電鉄コワフ31を選びました。残念ながら明瞭な写真は手に入りませんでしたが、図面を見る限りいかにも日本的な軽便貨車です。草軽だけでなく、井笠や頸城の車両に混ぜても違和感がなさそうです。

 ところで、エッチング板では、最初の一枚は非常に高くつきます。これは、最初にフィルム(原図を透明なシートに印刷したもの)を用意する必要があること、最初の1枚目は大体ミスがあるので1枚だけ製作して実際に試作してみる必要があるためです。同じエッチング板を1枚作るのと10枚作るのでは、単価は3倍くらい変わります。一方、製作するエッチング板のサイズは多少大きくなっても価格も多少上がる程度です。ですから、1種類のエッチング板をなるべく量産するのがコスト削減につながります。たとえば、頸城ホハ1,2,5を作ったときには、側板を2種入れて1種類のエッチング板から3種の客車を作れるようにしました。今回も、1種類のエッチング板からなるべく多くの車種を作れるようにしたいと思います。今回は、井笠鉄道の貨車も捨てがたく、草軽コワフ31〜41を基本として、井笠風の貨車も作れるようにしたいと思います。

 

 目標として

 スケールで

  草軽コワフ31〜41

  草軽ワフ9〜12

 雰囲気で

  草軽ワフ8

  井笠ホワ1

  井笠ホワ2

  井笠ホワフ1

  井笠ホワフ7

  西大寺ワボ1

あたりが作れるものにしたいという、大変欲張った企画になりました。設計の段階で無理なものが出てくれば、候補から落としてゆきます。 

 

最初に草軽コワフ31の図を引きました。基本としたのは、RMライブラリー 草軽のどかな日々の巻末に出ている図面です。

    

 

 

図面で見る限り、ワフ9〜11(以下ワフ9)とコワフ3141(以下コワフ31)では車両の高さ、車体断面、扉の大きさ、デッキの形状は同じようです。つまり、コワフの側面の長さを詰めて縦の柱の位置を変え、2軸ボギーから2軸単車にすることで、ワフを製作できると考えました。コワフ31の図面を元にワフの図面を引きました。全長を詰めて柱位置を変え、2軸車に変更しただけです。この図をRMライブラリー 草軽のどかな日々の図面と重ねましたが、予想通りぴったりでした。

 

    

 

ここでもう少し欲が出て、側面長さと柱の位置、その他車掌室や妻板を変えることによってバリエーションを持たせることができるのではと思いつきました。実現できれば、車体高やドアの大きさは共通になるものの、雰囲気の異なったバリエーションを展開できます。

 

まず、井笠ホワ1風と言うことで、単純にコワフからデッキを取り去った形態にしてみました。雰囲気優先と言うことで、羽目板の数や全長、全高は実車と異なります。これは、以下の各タイプでも同じです。

    

 

次にホワ1にデッキを付けて、草軽コワフ31に似た形状のホワ2です。

    

 

これは、車掌室の設置方法が草軽コワフと違い、貨物室の一部を切り取ってデッキを付けたような形態で、貨物室は左右対称ではありません(ドア中心から車体端部までの長さが左右で異なる)。これに対し草軽コワフ31はホワ1にデッキを追加したような形態で、貨物室は左右対称です(ドア中心から車体端部までの長さが左右で同じ)。また、荷物の引き戸も、井笠ホワ2では両側ともデッキと反対方向に引くようになっていますが、草軽コワフでは、両側とも向かって左に引くようになっているようです(写真から判断)。なお、井笠のホワフ4もほぼ同形態ですが、妻板の中央2本の縦柱は垂直に立っています。なお、デッキの手すりは金属製であり草軽コワフ31やワフ9に似た形態ですが、草軽は外枠が長方形なのに対し、井笠の貨車は台形になっています。

 

次にデッキを車掌室にしたホワフ1の図を引きました。井笠のホワフ1では、ドアから車掌室とドアから車掌室反対側では縦柱の間隔が異なります。

 

    

その後、井笠ホワフ1では、車掌室反対側の妻板の縦柱はホワ1と同じく傾いていることがわかりました。

 

さらに荷物室のドアがオフセットしたホワフ6,7。旧神高鉄道のユブ1,2だそうです。荷物室のドアは車掌室側に引くようになっています。

    

 

ホワフ7の車掌室を吹きさらしのデッキにして、エンドを木製にすると西大寺ワボ風になります。車輪を一回り小さくしてみました。前述のホワフ6,7とともに、ドアから車掌室反対エンドの縦柱の間隔は、もう少し狭い方がよいかもしれません。

    

 

最後に草軽電鉄に戻って、ワフ8風。構造としてはワフ9のデッキに車掌室を付けたものになります。

    

草軽電鉄にはコワフ31のデッキを密封形の車掌室にしたような貨車(コワフ43;参考文献1、p41))がいたようなのですが、詳細がわかりませんでした。

 

これ以外にも柱位置と後述の妻板を変えることによって、無数のタイプが作れます。

以上の8種を作るために、側面の構造は次のようにしました。

・柱位置はけがき針で引くようにする。目印になる点をエッチングで付ける。

・車端部は裏にスジを付けて示す。

 

製作するときの関係図は、こちらの図のようになります( その他のタイプの図 )ちょっと重いです。側面の赤で示した線が側面端部、青が柱位置です。

 

妻板も数種類作れるようにしました。妻板は大別して中央2本の柱が垂直に立っているものと、上部に向かって間隔が狭くなっている2つのタイプがあります。

 

垂直に立っているものには井笠の貨車のようにドアが設置されているものや、草軽の貨車(ホト100など)のように窓だけが開いているもの、デッキになっているものがあります。さらに、デッキもエンドの柵も板製のものや鋼材を曲げて作ったものがあります。また車掌室付きのものにはブレーキハンドルのカバーがあるものもあります。

草軽の貨車(ワフ8)の写真を見ると、横に細長い窓が開いていて、一部がブレーキカバーになっているものがいたようですが、これってどういう構造なのでしょうか?

結局以下の11タイプの妻板が作れるようにしました。

1.       縦柱が垂直のもの車掌室無し

2.       縦柱が傾いている。車掌室無し

3.       縦柱が垂直。デッキの手すりが金属製で台形

4.       縦柱が傾いている。デッキの手すりが金属製で台形

5.       縦柱が傾斜つき。デッキの手すりが金属製で長方形

6.       縦柱が垂直。デッキの手すりが木製

7.       縦柱が垂直。貫通路付き

8.       縦柱が垂直。貫通路付き。ブレーキカバーあり

9.       縦柱が垂直。横長の窓が開いている

10.   縦柱が垂直。窓のみ付く。ブレーキカバーあり

11.   縦柱が垂直。窓はなくブレーキカバーあり

 

    

 

以上の図面を元に、エッチング板の原図を起こしました。

 

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