このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

 

■汎用機■

【8620】
 製造初年大正 3(1914)年。軸配置C1。製作 550両。
 形式名に「20」とついたのは、数両〜数十両程度の先行試作的な要素が強い機材であることを端的に示している。ところが現場での評判が極めて良いことから量産された。
 日本全国で活躍。末期には主に亜幹線で旅客・貨物列車を牽引。使い勝手が良いため、経年の割には遅い時期までその姿が見られた。ただし道内では、同時代の僚友9600の勢力が強く、いささか影が薄かった。
 羽幌炭礦鉄道では 58629を中古で購入していた。この車両は国鉄時代に 177万km、羽幌時代に63万km走行し、現在は旧羽幌駅前に保存されている。
 可動機は2両で、現存機は多数。JR九州の可動機は外観を相当いじっており、保存というよりも客寄せの要素の方が強い。JR西日本の可動機は、本線走行はしない。
   ◎ JR九州×1(SLあそBOY)
   ○ JR西日本×1(梅小路)

青梅鉄道公園に保存されている8620

 

梅小路蒸気機関車館に保存されている8630

 

【C50】
 製造初年昭和 4(1929)年。軸配置1C。製作 158両。
 8620の後継機。主に大都市近郊の列車に充てられた。
 汎用機の端境期に登場したせいか、位置づけが中途半端に終わったことは惜しまれる。8620を大都市近郊から追い出したものの、かような区間では無煙化の進行も早く、存在が宙に浮いてしまった。地方に転じようにも、8620を完全に置換できるほどの両数がなく、比較的早い時期に勢力を縮小した。
 可動機どころか、現存機そのものが稀少。

北鹿浜公園に保存されているC5075

【C56】
 製造初年昭和13(1935)年。軸配置1C。製作 164両
 タンク機 C12とボイラー等は共通設計で、炭水車を装備し、長距離での運用を考慮した機材。汎用機に含めるには無理があるが、あてはまるカテゴリーが他にないので、ここでとりあげる。
 簡易線規格を含め全ての路線で運用できる便利な機材。もっとも、その代償として牽引力を落としているため、主にローカル線に充てられた。小海線・大糸線・飯山線などでの活躍で知られる。
 半数以上が南方に出征したため、現存機は少ない。可動機は2両。大井川鉄道のものは泰緬鉄道向けに出征し、タイ国鉄で使用された後に復員したという、数奇な履歴を有する。
 梅小路のものは扱いやすさが幸いしたか、国鉄時代は全国に出張した実績がある。とはいえ、縁が少ない路線での運行にはいささか滑稽な印象も伴う。扱いやすさとその機材を運行する意義とを両立させるのは難しいかもしれない。
 分割民営化後は「SL北びわこ号」など特定列車に充てられる傾向があるが、全国出張もなお続けられている。平成13(2001)年秋の3連休にはJR四国まで出張、高知−土佐山田間という短い区間を日に3往復し、イベント運転での新たな方向性を示した。
   ◎ 大井川鉄道×1(タイ国鉄より復員)
   ◎ JR西日本×1(梅小路)

飯山駅付近の公園に保存(というよりむしろ放置)されているC56129
平成13(2001)年秋になって塗装だけは施されたが状態は従前から変わらない

 

 

平成13(2001)年秋の3連休に高知−土佐山田間で運行されたC56160「SL土佐龍馬号」
小型機とはいえ生きている蒸気機関車には−−素晴らしい魅力がある!

 

梅小路蒸気機関車館で試運転中のC56160
「SL北びわこ号」の運転に備えていた様子−−車体の修理跡が痛々しい

 

【C58】
 製造初年昭和13(1938)年。軸配置 1C1。製作 427両
 8620と C50をアップグレードした機材。汎用機の完成形であり、また最後の汎用機でもある。
 主に亜幹線の旅客列車に充てられた。加えて貨物列車に充当できるほどの性能を備えており、室蘭本線・八高線・総武本線などでの実績も多々ある。しかしながら、 D51という大勢力の影では目立たなかった。落ち着いたデザインながら、人気面では僚友 C57に一歩も二歩も譲った。華やかな舞台に立つ機会が少なかったためだろうか、性能と実績に評価が追いついていないきらいがある。
 道内では、専ら道東地区で活躍。石北本線で「大雪」くずれを牽引したのは、この機材に与えられた数少ない晴れ舞台のひとつである。また、天塩炭礦鉄道などには会社発注の同型車が存在していた。
 現存機多数。可動機もある。C581は「やまぐち号」の予備機から引退したものの、状態は極めて良い。再度の復活も難しくないと思われるが、維持費などの関係で、JR西日本では可動機を絞りこんでいると推察される。
   ◎ 秩父鉄道×1(パレオエクスプレス)
   △ JR西日本×1(梅小路)

梅小路蒸気機関車館に保存されているC581
御召列車装備が美々しい

 

 

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