このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください





能勢電鉄でRail&Hike!

━━登山編━━





■新滝道ルート

 妙見山に登るのに、ケーブルカーとリフトを乗り継ぐのは最も手軽な方法である。もし足に自信のある方は、歩いてみるとよいのではないか。標高は妙見口駅が約 190m、妙見山頂が 660mで、比高はおよそ 470m、距離はどのルートも 4km程度と、いずれも手頃である。ただし、部分的にはかなりえげつない急坂があり、息が切れることは間違いない。

 ちなみに、ケーブルカーはこの比高のうち約 230mを稼ぐ乗りものである。駅からして10m等高線をまたいでいるから、急勾配を克服していることがよくわかる。

行場 □ 雄滝行場雄滝行場
新滝道ルートにて(左:新滝行場  中・右:雄滝行場)


 新滝道は最もメジャーなルートである。行場が沿道にあり、また最短距離のルートでもあるからだろう。そのかわり、坂の厳しさが生半可ではない。沢水が涸れてくるあたりが特にきつく、勾配だけを条件にするならばむしろ健脚向けのコースである(能勢電鉄提供の案内図にも「傾斜きつい」と明記されている)。なにしろ、上りだけでなく、下りも足に堪える急坂だから、辛い。道脇の斜面がガレて足許が悪い箇所も多く、何度も歩きたくなる道ではない。





■上杉尾根ルート

 ケーブルカーの黒川駅に寄らず、上杉池から登り始めるルートが上杉尾根ルートである。尾根の稜線にとりつくまでは、新滝道ほどではないにせよ急勾配で、かつ展望がまったくきかないため、面白味にまったく欠ける道筋だ。ただし、八丁茶屋跡までくればなだらかで明るい尾根道となり、展望が開ける場所もあって、歩く楽しみはこちらの方が大きい。

上杉尾根
上杉尾根からの展望
(背景はときわ台の住宅地/背景強調補正)


 上杉尾根に関しては、樹木草藻類の植生に興味がある方は、特に楽しめるかもしれない。写真の台場クヌギなどは、伐採したクヌギの切り株に接ぎ木し、次代の木を育てたというものだ。ただし筆者はこの方面にうとく、どれほどの意義や価値があるものか、よく理解できていない。

台場クヌギ
上杉尾根にある台場クヌギ






■妙見山

 このほか初谷渓谷や大堂越などのルートがあり、そのいずれもが妙見山頂につながっている。「全ての道は妙見山頂に通ず」というわけだ。もっとも、山頂付近までマイカーで乗りつけることも実は可能で、今日的な観点からすれば、最も手軽なアクセスはマイカーなのであろう。

星嶺 山門
  妙見山寸描
左:星嶺(セイレイと読む)  右:山門(大阪府・兵庫県境でもある)

本殿
本殿(手前右側は祖師堂)


 妙見山そのものは日蓮宗の寺で、宗教色がきわめて濃厚な場所でありながら、庶民的な人気(物見遊山の要素を含め)をも獲得したという点が、如何にも日本的で面白い。聖と俗が渾然一体となった様子は、まさに日本的な風景といえよう。

うどんセット
富士屋のうどんセット
(左下の味噌田楽が美味!)


 俗な話ついでに、美味な食べものを紹介しておこう。本殿直近には富士屋という食堂があり、ここの味噌田楽が実に美味。味噌に柚子風味が効いており、鼻腔に広がる香ばしさは絶品で、お勧めの一品である。単品でも注文可能、歩いてきて空腹を満たそうという方はセットで注文してもよい。

 妙見山では、能勢電鉄に乗ってRail&Hikeを楽しめる。自然体でも充分に満喫できるし、さまざまな方面に知識があればより深い楽しみを追求できる。能勢電鉄は阪急の一支線のようなものとあなどらず、一度試してみては如何だろうか。





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