このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください


祭礼行列(太鼓)の順番について

 川之江町の太鼓台が文献に登場してくるのは、文化3年(1806年)の役用記中「祭礼行烈次第」が初見です。



祭礼行列次第      [文化3年(1806年)]
         八月九日
                                   子年ヨリ車ト順番書出シ候へ共
                                        文化二丑年ヨリ出シ不申候
           祭礼行烈次第

 壱番  幟          
十六番 同川原町       三十壱番 同 伊地
 二番  笠鉾         
十七番 同浦町        三十弐番 同 余木村
 三番  念仏         
十八番 同西浜町       三十三番 大名
 四番  山伏         
十九番 同裏ノ丁       三十四番 関船
 五番  船印幟        弐拾番 御太刀         
 六番  白幣         廿壱番 宝積寺        〆
 七番  御鉾         廿弐番 太夫神子             
廿三番 四神鉾
 八番  御道具        廿三番 御神輿        
 九番  金幣         廿四番 母衣           寅八月
 拾番  鼻高         廿五番 笈           
 拾壱番 唐獅子        廿六番 中須町幟        次第書右之通御座候以上
 十二番 瓶子         廿七番 幟古町
 十三番 大ぼんぼり      廿八番 絹幟 新町
 十四番 灯篭         廿九番 木綿幟
 
十五番 御輿太鼓中須町    三拾番 幟 新町上

この祭礼行列次第の前に次のような書き込みがあります。
 「子年ヨリ車ト順番書出シ候へ共、文化二丑年ヨリ出シ不申候」
ということは、文化3年は寅年ですから前々年の子年(文化元年1804年)の役用記に行列の順番が記載されているはずです。しかし、残念ながらその年の役用記は見つかってないのです。



 次に順番が書かれているのが4年後の文化7年ですが、文化3年とほとんど同じ内容なので翌年の文化8年の記録を載せることにします。この年の記録には行列の後ろに番外として「車」の順番が書かれています。この「車」がどのような形態のものであったのかは今となっては知るすべもありません。が、「ひき檀尻」のようなものであったのかもと勝手な想像をしながら愉しむことにします。さて、この「車」の順番が文化8年から文化12年まで載っているので下に記しておきます。



祭礼行列次第      [文化8年(1811年)]
 壱番  幟          十六番 同川原町       三十壱番 新町上 幟
 二番  笠鉾         
十七番 同浦町        三十弐番 伊地 幟
 三番  念仏         
十八番 同西浜町       三十三番 余木村 幟
 四番  山伏         
十九番 同裏ノ丁       三十四番 ヨキ
 五番  船印幟        弐拾番 白弊 上分村     三十五番 大名
 六番  白幣         廿壱番 御太刀        
三十六番 関船
 七番  御鉾         廿弐番 宝積寺        
 八番  御道具        廿三番 四神鉾            

 九番  金幣         廿四番 御神輿        
1.古町下、2.山下町、3.農人町
 拾番  鼻高         廿五番 御神酒鈴       
4.新町上、5.古町上、6.新町下
 拾壱番 唐獅子        廿六番 母衣 笈         
 十二番 瓶子         廿七番 中須町 幟               〆
 十三番 大ぼんぼり      廿八番 古町 幟        右之通御座候以上 
 十四番 燈籠         廿九番 新町 絹幟         未八月十五日 大年寄所
 
十五番 御輿太鼓中須町    三拾番 木綿幟

祭礼の番外 「車」の順番
文化8年(1811年) 1.古町下、2.山下町、3.農人町、4.新町上、5.古町上、6.新町下
文化9年(1812年) 1.新町上、2.古町上、3.山下町、4.農人町、5.新町下、6.古町下
文化10年(1813年) 1.古町下、2.山下町、3.農人町、4.新町上、5.古町上、6.新町下
文化11年(1814年) 1.山下町、2.農人町、3.新町下、4.古町上、5.新町上、6.古町下
文化12年(1815年) 1.農人町、2.新町下、3.古町上、4.新町上、5.古町下、6.山下町



 文化10年(1813年)の順番を最後に祭礼行列の順番は記録されなくなってしまいます。次に祭礼行列の順番を目にするのはそれから57年後の慶応4年(1868年)になります。
 約60年の間に三十六番まであった行列順が二十四番まで減りかなり簡素になりました。ただ、この間に伊地(井地)に御輿太鼓ができて裏ノ丁のあとに続いています。



祭礼行列次第      [慶応4年(1868年)]
 壱番 幟           九番  金幣           十七番 同 裏ノ丁
 二番 志ゃんきり       拾番  鼻高           
十八番 同 伊地(井地)
 三番 鉾           拾壱番 唐獅子          
十九番 別当宝積寺
 四番 幟           十二番 大名           弐拾番 神降

 五番 御神酒鈴        
十三番 御輿太鼓中須町      廿壱番 御神輿
 六番 念仏          
十四番 同 川原町        廿弐番 御神酒鈴
 七番 山伏          
十五番 同 浦町         廿三番 馬
 八番 白弊          
十六番 同 西浜町        廿四番 関船
    

                 一、 狂言  当辰年番
         
新町上 新町下   農人町 古町上 古町下 山下町



 それでは「役用記」以降の祭礼行列の順番はどうなったのでしょう。以下に昭和21年頃の順番を書いておくことにします。慶応4年から約80年が経っています。
 壱番の中須町から拾番の塩谷町まで順番はありますが、21年当時に旭町、馬場町、山下町が太鼓台を所有または運行していたかどうかは不明です。
 拾壱番から拾四番の金生町の太鼓台は翌年の昭和22年まで川之江八幡神社に奉納していたので記載しました。
 拾六番の東町と駅通り・栄町の太鼓台はこの年よりのち、昭和26年前後の出場となるのであえて最後のほうに載せてあります。(私の勝手な想像ですが、拾四番の後ろに拾五番として駅通り・栄町、拾六番に東町が続いていたのかもしれません。)
 江戸時代の慶応4年から明治・大正・昭和と時を経て約80年の間、それまで「車狂言」を奉納していた農人町や鉄砲町(古町上)・山下町・古町下などと、大名行列を奉納していた塩谷町が新たに太鼓台をつくり秋祭りがにぎやかになってきました。しかしその陰で「第三番 浦町太鼓台」が廃絶、また古町太鼓台も別号「丸龍」を残して静かに去っていきました。
 

太鼓台の行列順   [戦後まもなく(1946年頃)]
行列順
町名
別号
鉢巻
壱番
中須町
二番
川原町
こひ
三番
西濱町
雲竜
四番
旭町(裏ノ丁)
五番
井地(伊地)
六番
農人町
七番
鉄砲町
名月
八番
馬場町
九番
山下町
朝日
薄空
拾番
塩谷町
行列順
町名
別号
鉢巻
拾壱番
大道
飛龍
拾二番
○○
○○
拾三番
通町
○○
拾四番
川関
翔鶴
番外
東濱町
関船
○○番
駅通り・栄町
拾六番
東町
○○
○○番
古町
丸龍
(1946年頃の順番中、八番 馬場町、 九番 山下町 は現在、八番 山下町、九番 馬場町に順番が入れ替わっています。)



 最後に現在(平成19年)の順番を書いておくことにします。
 太鼓台は大人太鼓台と子供太鼓台に分かれて宮入りするので必ずしも番号順の宮入りという訳にはいかないようです。
 子供太鼓台は 平成6年の最盛期には14台 も運行していましたが現在は6台に減少しています。なかには栄町・馬場・大門・古町・旭町の各太鼓台のように大人太鼓台になったところもありますが、少子化の影響で休止から廃絶に至った子供太鼓台も少なくありません。
 獅子舞は川之江港を出発するときは子供太鼓台の次に出発しますが途中栄町の市民広場で神輿と合流し、 猿田彦 ・神輿の後に続いて亀島に向かいます。
 大人太鼓台の先頭には関船。続いて第壱號の中須・川原町・西濱…と続きます。

現在の秋祭りの行列順 (平成19年10月15日)
行列順
平成19年10月15日
1
猿田彦(天狗)
-
2
神輿
-
3
巫女
-
4
神職
-
5
宮司
-
6
総代
-
これより子供太鼓台(平成19年の順番)
順番
番号
町名
別号
鉢巻
7
-
栄橋通り
-
8
第廿一號
宮ノ谷
-
9
第廿二號
天生津
-
10
-
大門
あららぎ
11
第五號
井地
12
第十一號
二名
-
獅子舞
13
第十七號
長須 中所
獅子舞
これより大人太鼓台
順番
番号
町名
別号
鉢巻
14
番外
東浜町(関船)
八幡丸
15
第壱號
中須町
16
第二號
川原町
こひ
17
第三號
西濱町
雲竜
18
第六號
農人町
舞鶴
19
第七號
鉄砲町
名月
20
第九號
馬場町
薄紫
21
第十號
塩谷町
22
第十二號
栄町
昇龍
23
第十三號
大門
あららぎ
24
第十六號
東町
東雲
25
第廿號
古町
丸龍
臙脂
26
第四號
旭町
薄緑
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-




以下付録(文化7年と文化9年、10年の祭礼行列次第)


祭礼行列次第      [文化7年(1810年)]
 壱番  幟          十六番 同川原町       三十壱番 木綿幟
 二番  笠鉾         
十七番 同浦町        三十弐番 新町上 幟
 三番  念仏         
十八番 同西浜町       三十三番 伊地 幟
 四番  山伏         
十九番 同裏ノ丁       三十四番 余木村 幟
 五番  船印幟        弐拾番            三十五番 大名
 六番  白幣         廿壱番 御太刀        
三十六番 関船
 七番  御鉾         廿弐番 宝積寺             〆
 八番  御道具        廿三番 四神鉾        

 九番  金幣         廿四番 御神輿        

 拾番  鼻高         廿五番 御神酒鈴         右之通御座候以上 
 拾壱番 唐獅子        廿六番 母衣            午八月十五日 大年寄所
 十二番 瓶子         廿七番 笈          
 十三番 大ぼんぼり      廿八番 中須町 幟      
 十四番 燈籠         廿九番 古町 幟       
 
十五番 御輿太鼓中須町    三拾番 新町 絹幟




祭礼行列次第      [文化9年(1812年)]
 壱番  幟          十六番 同川原町       三十壱番 木綿幟
 二番  笠鉾         
十七番 同浦町        三十弐番 新町上 幟
 三番  念仏         
十八番 同西浜町       三十三番 伊地 幟
 四番  山伏         
十九番 同裏ノ丁       三十四番 余木村 幟
 五番  船印幟        弐拾番 白弊 上分村     三十五番 大名
 六番  白幣         廿壱番 御太刀        
三十六番 関船
 七番  御鉾         廿弐番 宝積寺             〆
 八番  御道具        廿三番 四神鉾        

 九番  金幣         廿四番 御神輿        車
 拾番  鼻高         廿五番 御神酒鈴       一番 新町上
 拾壱番 唐獅子        廿六番 母衣         二番 古町上
 十二番 瓶子         廿七番 笈          三番 山下町

 十三番 大ぼんぼり      廿八番 中須町 幟      四番 農人町
 十四番 燈籠         廿九番 古町 幟       五番 新町下
 
十五番 御輿太鼓中洲町    三拾番 新町 絹幟      六番 古町下

                        右之通御座候以上 
                              申八月十五日 大年寄所 

                       組親衆中 西東両方へ壱枚ツツ遣ス

          一、十五日神事 当年神輿守 下分山田井
            車芸下見ハ 十二日十三日両日ニ相定メ申候
            車順二三町ツヽ可致趣申渡候



祭礼行列次第      [文化10年(1813年)]
 壱番  幟          十六番 同川原町       三十壱番 木綿幟
 二番  笠鉾         
十七番 同浦町        三十弐番 新町上 幟
 三番  念仏         
十八番 同西浜町       三十三番 伊地 幟
 四番  山伏         
十九番 同裏ノ丁       三十四番 余木村 幟
 五番  船印幟        弐拾番 白弊 上分村     三十五番 大名
 六番  白幣         廿壱番 御太刀        

 七番  御鉾         廿弐番 宝積寺          右之通御座候以上 
 八番  御道具        廿三番 四神鉾           酉八月十五日 大年寄所
 九番  金幣         廿四番 御神輿        

 拾番  鼻高         廿五番 御神酒鈴       組親衆中 西東両方へ
 拾壱番 唐獅子        廿六番 母衣                  一枚ツヽ
 十二番 瓶子         廿七番 笈             車
 十三番 大ぼんぼり      廿八番 中須町 幟          古町下
 十四番 燈籠         廿九番 古町 幟           山下町
 
十五番 御輿太鼓中洲町    三拾番 新町 絹幟          農人町
                                   新町上
                                   古町上
    一、十五日雨天 十六日神事 神輿守 上分金川         新町下


              
なぜかこの年、関船の名前はありません。

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください