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リベンジ!渡良瀬

(写真をあまり撮っていないので、だらだらと拙い文章で補足して置きます。我慢してください)

この日は友達の家に泊まろう、と言うことになり、手ぶらだった私は急いで帰宅して明日の準備をし、K君の家に向かう。親に「明日行かなくても良いんじゃないの?」と言われてしまったが、もう季節は春だ。そろそろ越冬している昆虫も動き出すだろう。またこのあとは夜行で出かけるので、券の消費にもちょうどよい。お泊りはあとで決まったことだから割り切ってもらおう。

K君の家では、私がいたまでは、寝床のセッティングこそされていたが、みんなが起きていて、私を見送ってくれた。これは。どうもありがとう。内心、みんなが寝ている中をどうやってこそっと抜け出そうか色々と詮索していた所だったので、この日ばかりの徹夜は大いに賛成だった。みんなで集まっての徹夜って楽しいものである。かく言う私はこれが人生初徹夜なのであるが。

前置きが長くなった。私はANTで蒲田まで向かう。今日の場所は前回より遠回りを余儀なくされるので、輪行で手っ取り早く経路をショートカットしてしまう考えだ。袋にしまうのも、大分なれた。

さて、始発電車に乗るが、前回、前々回ほどの乗車率および酒臭さは感じられない。特に後者はほぼ皆無だ。平日の始発電車は快適だ。すなわち、平日旅行が一番というわけだ。ただ、グリーン車を使うものにとっては少々出費がかさんでしまうのだが…(私は今回は使っていない。)

せっかく徹夜したことだし、ここは一つ二十四時間覚醒なるものをやってみたい気持ちになった。しかし、もうお泊りの時点で気づいていたのだが、ある重大な忘れ物をしてしまったのだ。「本」だ。特に朝の移動中は、外の風景なんて見えやしないので、最近はもっぱら読書に当てている。そこでファーブル昆虫記を大分読み進められることが出来る。しかし今回はあわただしさもあって、ついついウッカリしてしまった。図書館のものだし、期日もある。まして高校の読書感想文の課題で他の本を読まなければならない。もっとも私のPC浸りを改善すればどうにでもなる話なのだが、少しでも無駄に時間を使いたくない私に乗ってはこれは随分ショックだった。仕方ないので携帯しているメモ帳に、数学で予習したうろ覚えの公式や計算方法を復習する。はなから見るとただの計算機違いだが、やってみると結構面白いものである。数学は紙と鉛筆さえあれば何とかなるものらしいので、どうしようもなく暇でかつ数学の課題があるならば、何かやってみるといい。読書に堪える本があればそれに越したことは無いが。

いつまでも文章ばかりで本当に申し訳ない。しかし、もうちょっと付き合って欲しい。実は私、移動中の列車内で一〜二駅の区間、時間に直すと十分くらいだろうかうつらうつらしてしまったのである。この前の日は7時位起床だったので、二十二〜三時間しか覚醒できなかった。これは本を忘れたことに対する、ファーブルの呪いか?はたまた徹夜した私への、私からのつけなのか?想像は読者に任せるが、やはり二十四時間覚醒するのは辛い。一人でやることも無ければなおさらだ。

野木に着き、自転車を組み立てる。目的地に向かう途中のコンビニで、軽い朝食を購入。やっと写真のある段に写れる。

駅から目的地まで自転車で行く。時間的には、駅についてからコンビニで買ったときも含めると大体二十五〜三十分くらいだった。結構遠い、と言うより舗装や風向きの関係もある。

なお、ANTにはリアにリュックを取り付ける改造を行った。これも後日UPしておく。

渡良瀬はヨシ焼き(私はアシと書きたい所だが、便宜上ここではヨシと記す)が行われたらしく、随分とさっぱりしていた。このおかげで多種多様な、ここでしか見られない固有の生命が生き延びていることを思うと、ここが出来た年代から察するに、種分化の過程が解明できるのではないかと、十五才の無知な脳みそが思いをめぐらす。ワタラセハンミョウモドキなんて実に不思議だ。

さて、目星をつけていた場所に侵入。ところがバラが多いこと。夏には絶対に近づけない。仮に肺っても、あとがどうなることやら。半立ち枯れの木には、可愛い寄生バチが二匹、幹を登っていった。

とりあえずアカガネ狙いで、良さそうな材を崩していくのだが、どうやっても何もでない。心の優しいアオゴミムシや、ヨリトモさんがたまに挨拶に顔を出すくらい。

 ここで発想の転換。以前某HPに、「アカガネは湿った所を好み、材をひっくり返すとその下に潜んでいた」と言う旨の採集記があり、どうせこれ以上材を削っても何も出ないし、ただの環境破壊者として世間から今以上に変な目で見られるのでこの「材起こし法」に切り替え。

そして独自流の発想もひらめく。木材より密度が高く、水を蒸発させないプラスチックのゴミや、重量もあって密度の高い土を作る(言い回しが変でごめんなさい)廃タイヤ、冷蔵庫なども一緒に起こしてみよう。と言うことでいくつかやった後、得体の知れないビニールの塊のようなものをどかすと…

ちなみに携帯の画像(マクロレンズ改造)です。

こんな風にアカガネオサムシが鎮座していたのである。今まではこの体系的に似通ったオオスナハラゴミムシを疑うのだか、今回ばかりはそれは無かった。どかした瞬間に、その鞘翅の美しき点刻が目に留まってしまい、しばし呆然としてしまった。ああ、本当に君はアカガネオサムシだね、今までどんなに苦労してきたことか!

今まで数え切れない材を崩してきて一つも得られなかったのに、今思いついた方法で一つ。何だか物悲しいが、今までやったことは少なからずプラスになる。来年以降、私がアカガネを探すとき、材を削らなくなるのは目に見えているだろう。

すぐさま二匹目のどじょうを狙って、いくつものゴミ、タイヤ、材をひっくり返すも、追加はなし。マイマイを一頭、やはり材を削るよりもこっちの方が断然楽で、それに見合った報酬がある。第一、軍手があれば何とかなるのだから。

この場所のゴミは大体ひっくり返したので、時間もあることだし(まだ九時!)前回アカガネ惨敗の地へ移動してみる。こういうときの自転車はまさに神。本当に一瞬でワープしてしまえる。

移動の最中、ヨシ焼きがされた野原に残る一本の茎を見つけた。よくもまあ一つだけ残ったものである。また実に奇妙な光景だ。

さて、移動の途中に杉が多く生えているところを見つけた。そういえば今はスギカミキリのシーズンのようだ。これはやにもたくさん出ていることだし、一皮向いてみることにした。そして、ほどなく…

出てきてしまうのである。このとき、まさかいるとは思っていなかったのでカメラを持っておらず、何ともヤラセ生態写真になってしまって申し訳ない。何だか今日は、ふと思ったことをしてみるとそれが結果として現れてきて大変に嬉しい。

だがしかし、こいつもアカガネ同様、二匹目は発見できなかった。帰り際にまた探してみたが、やはりダメだ。ここにも同業者のあとがある。

カミキリはそこまで詳しくも無いので、ビギナーズラックということにしておいて欲しい。

さて、杉の木を尻目に遊水地へ降り立つ。カーぺとをどかすと、そこは今までにないへんてこの世界。

材起こし法で初、蛇の発見!種類は適当に言ってみるが、シマヘビかアオダイショウあたりだろうか?また小さくて可愛い。

軍手で武装して持ち上げて見ます。なんというかわいらしさ。巻きつき方といい、蛇のからだって変わっていますね。進み方が何とも不思議。

しばらくすると、今度はガムシの類がちょこまかやっている。水生昆虫も初めてだ。これはヒメガムシだろう。調べてみると、そうでもない普通種のようだ。私は全般的に、水生昆虫に疎いのでこやつとはいえラッキーである。

ほかにイトアメンボ?も確認したが、何を思ったか撮影画像を消去してしまった…ぶれているのを消していたら、一緒に…ああ!私のイトアメンボ?

イトアメンボ?は種名もあいまいな時点でどうしようもない。あきらめるしかない。

なかなか大きな倒木を起こすと、これまた随分と青いマイマイを発見。相変わらず写真はダメで、これじゃあ全く青くない。白くなってしまってもう…

そして今、この日の中でもっとも不可解な現象に遭遇!

エゾカタビロオサムシを発見。まあこれはそれほどでもないと思うが、私はカタビロ系はお初なので非常に驚いた。一瞬、セアカに見えたのは内緒。

実はこのエゾカタ、いる場所と状態が???なのだ。同業者が崩した材の上に、まだ柔らかい上体で往生していた。一体どのようにしてここに来て、いかにして死を選んでしまったのだろうか、私にはオサムシの心のうちをはかることはできない。いずれにせよありがたく頂戴することしか出来ないのが私なのであるが。

それにしてもエゾカタは本当に想定外で、いまだに信じられない。いるところにはいるようだが、なにぶん私の持つエゾカタの概念が高すぎるようで…

成果

アカガネオサムシ♀

エゾカタビロオサムシ♀

アオヘリホソゴミムシ

アオゴミムシ.sp

アオバアリガタハネカクシ

ヒメガムシ

スギカミキリ♀ 以上 1ex.

マイマイカブリ3♂1♀ 4exs.

渡良瀬では二回がかり、アカガネ狙いでは三度目の正直で得ることが出来た。発想の転換が今回の結果をもたらしたことは火を見るよりも明らかだと思う。

あと、スギはたまたま良い場所があったから見つけただけであって、エゾカタはたまたまそこを通りかかったから見つけたわけなのでこれは非常にラッキーだった。半ば強行でこの旅行に行った甲斐があったというものだ。

さて、夜は夜行で米坂線に乗りに行く。待ち時間を利用して、コアオマイマイその他を狙いたいが、うまく行くか?

T君、お土産にマイマイはいかがかね?

画像が小さくて恐縮だが、桜が少し咲いていたので掲載しておく。

 

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