このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

何となく裏高尾





我が高校は、13日から学校公開を始めた。その煽りを受けて、金曜日が月曜の振り替え休日になった。

平日に出かけるチャンス!しかしながら、木曜の夜になっても、どこに行こうか決めることが出来ない。

銚子、秩父、那珂湊...候補はいくつも挙がるが、なにぶん遠く、金銭的に辛い。さらに、テツ分も高い。まだまだ寄生虫が沸いている私に、虫採りをさせないでおくのは無謀だ。

ふっと、ここから近く、自宅からわずか¥510で行くことが出来る裏高尾に候補が内定。かくしてあっさりと旅行地が決定された。


せっかくなので六郷土手の始発で向かうのだが、外が寒すぎる。京急の800形にあたり、こいつも4ドアで寒い。しかし、どうせ日中は暑いのだから、がんばろう。

高尾で降りると、六郷より寒い。バスを待っているのも辛いし、大体乗るつもりは無い(バス代¥220の節約)のでとっとと目的地の木下沢まで歩いていく。

途中で、アケビが落ちているのを確認。見上げてみても、実がなっているわけでもない。実は、アケビ採集もひっそりと考えてはいたが、あまり期待しないほうがよさそうだ。

20081017.jpg

さらに進むと、クモの巣に引っかかるサトクダマキモドキ♀を発見。弱っているようなので標本にするため採集。

20081017_1.jpg

駅から正味分ほどで林道入り口に到着するが、その手前で中央線をアンダークロスし、すぐに上り坂になる。ちょうど列車が来たので撮影する。

20081017_2.jpg

ススキとからめてみるが、どうもイマイチ。115系だったらそれなりによかったのかも。

そして、あても無く林道を登っていく。歩いているとだいぶあったまってくるが、もちろん昆虫はいない。そして、平日だから、人もいない。

しかし、途中でよく分からない場面に出会う。やつらは何をしているのだろうか?

20081017_3.jpg

この林道は、最後のほうまで沢の近くにあって、川魚が泳いでいるのを探したりのんびり歩いていくのだが、終点近くになると上りになって、関場峠というところで終わる。

今まで何度もここに来ているが、不思議と終点まで詰めた事が無く、今日は特に目的が無いので最後まで行って見る。

20081017_5.jpg

しかし、立ち入り禁止のロープが。どうやら、間伐材搬入で、この林道はモロに通行止めらしい。しかし、歩いている最中明らかに立ち入り禁止という感じは

しなかったし、第一掲示が無い。そのせいで人が居ないのかもしれないが、林業の人すらおらず、今私がここに居ようが居まいが無関係な気がしてきた。

あまり気にすることも無かろう。注意する人も存在しないのだから。で、この峠から八王子城址に向かう道があり、結構景色のよさそうなところを行くみたいなのだが、

下調べが不十分なので今回は遠慮しておく。紅葉シーズンに来るとさぞかしきれいだろうが、どうせ人が多くていやになるだけだ。

20081017_6.jpg

仕方ないので、今来た道を戻っていく。しかし、誰も居ない山の中に独りで居る気分は言葉に表しがたい。

先人の言葉をあえて借りるとすれば、”塵の浮世を離れけり”(鉄道唱歌 関西参宮南海編 第45番より)といった心地か。心が洗われ、身にしみる。

20081017_8.jpg

さぁ、いよいよ、ミヤマフキバッタが活発になってきた。

20081017_9.jpg

20081017_10.jpg

ぱっと見、あまり昆虫に詳しくない人はイナゴの幼虫と勘違いするかもしれない。しかし、本種は立派な成虫で、フキバッタという尊い名前を持っている。

でも、翅が短く、佃煮にしたらイナゴよりもおいしそうに思われる。さらに、♀には体色が赤くなるものもいて、茹でたイナゴにそっくりである。

幸いというか、個体が少ないのでたくさん採ることも出来ないので、1ペアだけつまんでおく。もちろん標本用。

道端に、ひょろ長い毛虫がいる。初めはアカタテハか何かかと思ったが、調べると違うらしい。一体何だろう?そして、君は一体何を見て、何を考えているのだろう?

20081017_11.jpg





陽が林道に差し込んできた。そこを歩けば、天狗の舞いを見ることが出来る。高尾山でテングチョウを採るとは不謹慎極まりなく、祟られそうだが、

未採集なのでついつい手が出てしまう。たくさん居るので、鱗粉転写にも使えそう。

先日、T教諭にハンミョウのことで話しかけられ、せっかくだから実物を披露してやろうと地面を注視しつつここまで来たが、どうも気配が無い。もともと棲息していないのか、冬篭りに入ったのか。

そして、せっかく山に来たのだからガロアムシを捕まえるべく、涸れ沢をよじ登って重たい石をひっくり返したが、見つからない。運が悪いのだろうか。

涸れ沢はいつ落石が来るかも分からず、また石起こしは非常にからだに堪える。登っていくときはぐんぐん行くが、いざ降りるとき振り返るとあまりの高さに

よくおっかなくなる。下に登山者が居るかも知れず、下手に降りられない。そうでもしないと見つけられないガロアムシは相当へんちくりんなのだが、

私はまだ成虫を捕まえていない。一回見つけたが逃げられたのである。やつらはシロアリの兵アリのようでいて、べらぼうに足が速い。

結局かわいい幼虫が1匹見られただけで、いくつも沢をチェックする体力は、バス代をケチったので残っていないのであきらめる。また冬にでも来て探そう。

結構下ってきたところに、開けている場所があって、先日のカワラノギクのようなキクが盛りを迎えており、お花畑にはたくさんのだいだい色のチョウが飛び交っている。

鱗粉転写の材料として、なるべくお花畑に立ち入らないように採集をしていく。時たま、スズメバチがやってきて、こいつら♀だからうっとうしい。オスだったら素手で捕まえてやるのだが。

20081017_12.jpg

20081017_13.jpg

アサギマダラは、転写には使えず、標本にしても容量が大きく邪魔なので放置。被写体としては格好の餌食となるのだが。

チョウの採集も終え、いよいよ下界へと降りていく。林道出口で、八王子市の車と行き違うが、何も言われない。本当に通行止めなのだろうか?

帰りも歩きだ。すると、またサトクダマキモドキがいる。このあたり、この時期にはよくいるらしい。

また♀で残念。学校にも♂と思われるものが採集されていて、ぜひとも確かめたかったのである。たぶん学校のもサトクダマキだと思うんだけど...

20081017_14.jpg

そして、あるアパートの壁に見慣れぬカマキリが。これは恐らくヒメカマキリだろう。

20081017_15.jpg

撮影後、捕まえると死んだふりを披露する。必死に死に目を演じている彼女(確か単為生殖)の気持ちは知らねども、その大きさも相まってものすごくかわいいのである。

どのくらいかって、2cm程度である。学校に持っていったら、みんなカマキリの幼虫だと勘違いするだろう。

20081017_16.jpg

そして、オオカマキリ?が塀で休んでいた。このあたりは、1時間で東京に行かれるとは思えないほどのんびりとしていていい所である。

こういったところに住んでいる人がうらやましくてならないのである。




【採集成績】…ミヤマフキバッタ 2exs. ヒメカマキリ  1ex. テングチョウ キタテハ アカタテハ
実際は、昆虫採集というよりもハイキングのような感じだったが、最近永らく味わっていない仙人気分になれたのでいい気分転換になった。
やっぱり出かけるなら人のいないところのほうが気分がいい。

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください