このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
この日は都立高校の推薦入試があるため、学校へは登校禁止になります。健全な学生がとるべき行動はもちろん8時間勉強になるのでしょうが、私はいたって不真面目ですので勝山まで現実逃避しにいってきました。ちなみにここ勝山には我が校所有の寮があるので、時間があったら様子を見に行ってみる予定です。 さて、この日は2時半に起床、随分気合が入っております。例によって、自宅から蒲田まで歩いていくわけですが、静まり返った街を、鉄道唱歌を聞きながら歩いていくのは実にいい気分です。何度も何度も利用している4時24分発の始発列車で東京を目指します。 京葉線経由で蘇我へ向かいます。東京発車時には豪華な発メロ(発車メロディ)をキチンと聞くことができました。この列車に乗ったわけではありません 内房線に乗り換えて安房勝山へ向かいますが、来た列車がロングシートの211系...これでは、いつもの通学経路の車窓が田舎じみたにすぎません。旅情を味わうという点では気分をそがれてしまいました(この列車の導入には、国鉄千葉動力車組合が猛反対していた模様です)。目的地安房勝山へは7時40分ころに到着です。ここのホームに降り立つのは、かつて臨海合宿でやってきたおととしの夏ぶりです。あの時は駅前に腕を組んだ集団が我々を待ち構えていたわけですが、もちろんこんなクソ寒い時期、ましてや平日の朝です、おじさんおばさん2,3人の登山客?しかいません。そしてその人たちとおんなじ”赤バス”に乗ることになります。 終点大崩にて 赤バスは、勝山のある鋸南町営のバスの一名称で、”青バス”とともに鋸南町内を循環しています。その苦しい経営っぷりは、1日5便?の本数を見てよくよく察しができますが、残念なことに休日になると私が乗ろうとする始発便が運休になってしまう(通勤通学で駅を利用する需要が無いためか?)のです。終点まで誰一人乗ってくることは無かったので致し方ないことですが、このまま廃止なんて事になってしまうのでしょうか(実は以前は館山日東バスという会社が運行していたようです)。 循環バスとなっていますが、”大崩”が終点となっています(おくずれ、と読みます)。本当はこの手前で下車する予定だったのですが、なんと赤バスはそこには停車しないことが後から分かってそのまま乗りとおしてしまいました。ここは水仙の名所らしく、日本一の水仙の里と銘打っているだけあってうっとうしいくらいに水仙が咲き乱れています。自生なんでしょうか?それとも地元の方が植えたのか...圧巻です。 大崩から降りる途中 しかし随分と高いところへ来てしまいました。目的地はだいぶ下ったところにあります。けれども事前の詰めが甘かった嘆きは瞬時にして水仙と梅が織り成す里山の素朴な光景への感銘へ取って代わります。今日の旅行の目的がオサ掘りであることをすっかり忘れさせてくれます。 斜面の水仙の 景色よさ とりあえず登りきってしまった所は引き返してきました。ここから湖沿いに進路を変えていきますが、どうやら行き止まり。今来た道を引き返すのもいやなので、ここは一つ山の斜面に突入してみます。けれどそううまくいきません。超密生したササが行く手を阻みます。こいつらたちが悪く、ナタで払ってもしなるだけ。突破は諦めますが、目の前が開けているのでそこまで出ます。だれかが掘り返したようなギャップ(暗い森の中でも光がさす空間がありますが、それをギャップと称します)が生成されていて、オサムシが潜んでいるに違いない崖が一面にそそり立っています。さすがにこんなところに”先駆者”は気づいていないらしく、これは期待ができます。 本当に機嫌悪そうでしょう? だけど、いきなりカエルが出てきます(この先高頻度でカエルを掘り出すことに...)。ホントに眠そうで、ものすごく不機嫌そうです...あの、とりあえず、、ゴメンナサイ…申し訳ないです... いきなりの邂逅にギクッとしてしまいますが、オサムシもぽつぽつ出てきます。うんちくはできるだけ避けますが、このあたりにいるアオオサムシというオサムシは名前に相反して赤色を呈するのが特徴で、その道の方々は”アカオサ”と称し日々あがめています。そんな長い憧れの対象であったアカオサにようやく出会うことができたのです。※ふと思い浮かんだのですが、アカオサを含むアオオサムシはアレキサンドライトに似ている気がするようなしないような...アレキサンドライトとはロシアでよく見つかる宝石で、太陽光下と室内では輝きが変わる不思議な石、だと思います。室内で赤色、屋外で緑に輝くらしいです。 ここではもうちょい追加がありました。結局ササを切り抜け、今来たダムの道を引き返して本来の目的地へ向かいます。目的はいちおう達成されたので随分気が楽になりました。 それで谷津の方へ歩みを進めていきます。が、なかなかいい崖が見つかりません。崖自体はそこここに見えているのですが、植物がすっかり覆いつくしてしまって鍬を入れられないのです。こういう場所にもきっとオサは潜んでいるでしょうが、経験上出したことはありません。ひたすらめぼしい崖を探していきます。 せっかく見つけた崖からも出てきません。生息密度が低いんでしょうか、それとも”選崖力”が無いだけなのでしょうか。無駄に崖を崩すことには抵抗を覚えます。それでもいないわけではありません 昼は集落を望む稜線上で。すごい光景です。こういうところに1週間でも暮らせればいい経験になるのでしょう。贅沢ができました。 杉並木あたりまで登りますうっとうしいくらいに咲き乱れております この先はどうしよう?色々考えたのですが、歩いて勝山駅まで戻ることにしました。10キロくらいあるのでしょうか、だけども私はバスに投資できるだけ財政の余力がありませんでした。半分アホで、後の半分はケチです。 どこにクモがいるか見えますか? 集落の木々をよく見てみると、みのむしがたくさんぶら下がっています。秩父でも見つけたオオミノガのものです。メスが羽化してくれば、学校周辺にオオミノガがいるのか調査が可能ですので見つかるだけ持って帰ります。写真をとってから気づいたのですが、クモがみのにくっついていました。 こういうところまで突っ込む私はアホです(黄丸に崖があったんです) 2時間以上は歩いたと思います。山の中と違って、田んぼを突っ切るように整備された道路を行くのは景色も単調で(冬ということもあるのでしょうが)つまらないです。皆さまにはお勧めできません。 何度か山に突入したりもしましたが、中でもビックリしたのは地面から1mほどの高さにある木のウロにカエルが潜んでいたことです。のぞいてみると中で何かが一定のリズムで動いているのです。初めはまさかカエルだなんて微塵も思わなかったので不気味で仕方がなかったのですが、あぁもしや!とひらめいた瞬間の驚きはすさまじいものでした。カエルは地面で越冬するという固定観念がぶっ壊されたのですから。※イラストで紹介する予定です。 ただ、生きて出られるのかが非常に心配です。今まで掘り出したカエルは全部死んだようでしたが、このカエルは夏見かけるようにのどを絶えず動かして普通に呼吸をしていたのです。あんなところにいたらエサなんて無いでしょうし、余計なエネルギーを消費しているようにしか見えませんでした。もちろん引っ張り出すことなんて無理でした。根性を見せて欲しいものです。廃墟でも何でもありません。現役バリバリです大黒山。左上の建物は展望台 ようやく駅近くに戻ってきました。列車が来るまで余裕があったので寮の様子を見に行きます。ここには臨海合宿ののち、ちょうど昨年の春休みに生物臨海実習でお世話になりました。生研の合宿があればまたここを使うことになるかもしれません。部員をキチンと集めないといけませんね(受験生ですが無理してでも参加したいんです)。 鉄道経由で帰るのもいいのですが、フェリーで帰る方がどう考えても楽なので(京急に乗って六郷土手へ一直線!)、せっかくの113系も浜金谷で乗り捨て。フェリー帰還は臨海合宿と同じですが、見送りはありません。しかし乗り場で愕然としたのは、ゴルフ集団の数。 あなたたちがどういう意思でゴルフに興じているのか存じ上げませんが、あなた方がゴルフ場に撒き散らす札束はそのまま里山つぶしにつながるのです。ゴルフをするのに文句は言いません。せめて、自分たちがゴルフをするたびに失われているものがあること、そしてそれを取り戻すのには多大な困難が付きまとうということを一瞬でも考えてくれればと思います。 せっかくの夕日にもあんまり陶酔することができなかったのは残念です。まぁデッキに出るのを面倒くさがった自分も悪いんですがね。 久里浜港から京急久里浜駅までは2kほどあります。バスもありますが、¥190でももったいないと感じ、さらに久里浜より浦賀まで歩いた方が運賃が安くなることに気づき、本当に歩き始めた私はもはや病的なんでしょうか。いや、まだ浦賀に行ったことがないということもあったのですが...途中にかの有名な”叶神社”前を通ります。時間があればおまいりしていったのですが、何しろもう日が暮れています。おっかなくて境内に入れません。 列車接近時に”ゴジラのテーマ”が流れます 浦賀についたころは感動よりも疲れがドッと押し寄せてしまってあんまり記憶がありません。寝てはいなかったのですが...かくして旅行が終わったのでした。【採集結果】 アオオサムシ 3♂2♀ アワカズサオサムシ? 1♂2♀ ルイスオオゴミムシ 1 スジアオゴミムシ 1 プテロ.sp 1 オオミノガ いっぱい ※この文章は09年3月31日に書き上げましたが、このとき以来旅行と呼べる旅行をしていないのでそろそろどっかに行きたくなってきました。 |
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