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すでに明治に入っています。近代史を進みます。

71 自由民権運動 「自由民権運動と藩閥政権の対決のゆくえは?」
 ※ どういう時に民権運動が盛り上がったのか。藩閥政府の対応にも注目したい。
  ①自由民権運動の盛り上がりと衰えの理由を考えよう。
    →「不平士族の民権運動」と「民衆の民権運動」が結集した時は盛り上がり分裂した時は衰退する。
  ②自由民権運動の中心となった2つの政党の特徴を整理しよう。
    自由党→
板垣退助らが代表。フランスの人権思想の影響が強い。
     教科書では→「普通選挙制による(
急激な改革をともなう)議会政治」をめざす。
    立憲改進党→
大隈重信らを代表とする。イギリスの議会政治の影響が強い。
          「豊かな商工業者や地主を中心とする(
ゆるやかな改革による)議会政治」をめざす。
  ③国会開設の詔から第1回帝国議会の開会までに政府が準備した主なことを年代順に整理しよう。
    →
華族令を発令,内閣制度を設ける,枢密院を設置,大日本帝国憲法を制定する(
    →
市制・町村制・府県制・郡制などの地方制度を整備,刑法・民法・商法などの法律も定められる。
 ④初期の帝国議会での民党の主張を藩閥政権との対立点を中心にまとめておこう。
    →
地租を軽減すること。軍事(軍備)を強化する内容の予算に反対

  ※①や③をふくめて,自由民権運動の大きな流れを「攻」でアンダーラインを引くなどしてチェックしておこう。


これより戦争の歴史に入ります。はじまりは日清・日露戦争,明治時代後半です。
72・73 日清戦争
  ※ついに戦争の歴史が始まる。両国はなぜ戦争にいたったのか。
 ①甲午農民戦争が起こった背景として何が考えられるのだろうか。
  →日朝修好条規を結んで以降,日本の商人が,などを安く買い入れ,食料不足が起こっていた。
    安い綿製品が大量に入ってきて,農家の副業が成り立たないなど経済混乱が起こっていた。
    朝鮮政府が財政難で,重税を課した。
    朝鮮政府内部で対立が起こり,それぞれ清や日本と結ぶなど外国勢力侵入の原因となっていた。
 ②下関条約(1895年)の内容をまとめよう。
  →清は朝鮮の独立を承認する。遼東半島や台湾などの領土を譲る。不平等条約を結び4港を開港する。
    多額の賠償金を支払う。
 ③「三国干渉」とは何だろうか。
  →ロシアフランス・ドイツとともに日本に遼東半島の返還を求めた。
   帝国主義諸国によるアジア侵略の延長上にあった。

 ※戦争に関係する場所を地図で確認しよう。『攻』右頁に地図を載せたのでその作業をしておこう。


74 帝国主義
  ※ヨーロッパ・アメリカはアジアやアフリカを侵略し植民地としていく,日本もその仲間に加わるのか。
 ①帝国主義国とは何か。さらに帝国主義諸国のアジア・アフリカ侵略を具体的に調べよう。
   帝国主義とは→19世紀末ごろ,欧米諸国に起こった,軍事力により他国を植民地化する国家の活動のこと。
    →資本主義が発達し,原材料の確保・製品の販売市場の確保・資本の輸出などのために他国を植民地としていく。
   ◎アフリカ縦断政策・3C政策・スエズ運河の買収・ミャンマー・マレー半島・シンガポールなど・長江流域を勢力下に→イギリス
   ◎アフリカ横断政策・インドシナ半島など・華南地方を勢力下に→フランス
   ◎3B政策で英仏と対立・山東半島を勢力下に→ドイツ
   ◎シベリア鉄道の敷設・南下政策・満州から遼東半島を勢力下に→ロシア
   ◎ハワイ王国・フィリピン・パナマ運河の管理→アメリカ
   ◎台湾を植民地に,朝鮮半島への侵略など→日本
 ②義和団事件の主張と経過,結果は?
   →「扶清滅洋」を掲げ,帝国主義国の侵略に反対した。日本やロシアを中心に8カ国連合軍がしずめた。
   →北京議定書で賠償金の支払いと帝国主義国の北京駐兵権を承認
 ③日本をめぐるロシア・イギリスの関係は?
   ロシア→三国干渉で日本に遼東半島を返還させ,ここにも南下政策を進め,日本と対立。
   イギリス→ロシアの南下政策を警戒して,日本に接近し,日英同盟を結んでロシアを押さえさせる。
   日本→世論は日露戦争支持,反戦論は内村鑑三や幸徳秋水ら少数派であった。政府は日英同盟を結ぶ。
  
 ※必ず地図で確認したい。各国の動きをそれぞれ追っておきたい。



75・76 日露戦争
  日露戦争が帝国主義国の代理戦争といわれた国際情勢と国力を超えた戦争の経過をつかみたい。
 ①何を争ったのか。各国の思惑をふくめて説明できますか。
   ◎両国にとり直接的には→日本とロシアが満州朝鮮半島に侵略したことが原因である。
   ◎帝国主義国の代理戦争としては→日本側にイギリスその背後にアメリカ,ロシア側にフランスそしてドイツがつく。
 ②日清戦争と比較してその規模の違いは?
   →動員兵力,戦死者や負傷者,戦費の面でも日本の国力を超えた戦争で,たとえば戦費は増税と外債でまかなわれた。
 ③戦争の経過
   日本陸軍→旅順・奉天で多数の死傷者を出しながら占領する。
   日本海軍→日本海海戦でロシアのバルチック艦隊に圧勝する。
 ④ポーツマス条約の内容をまとめ,国民がこれに不満を持った理由を考えたい。
   ◎「韓国」への日本の指導権の承認。
   ◎旅順・大連など関東州を清国の同意で日本に譲る。
   ◎長春以南の鉄道(のちに日本は南満州鉄道株式会社を設立する)を日本に譲る。
   ◎沿海州沿岸の日本の漁業権を承認。
   ◎北緯50度以南の南樺太を日本に譲る。
   ◎賠償金はなし。(日本では日比谷焼き打ち事件が起こる)

 ※戦争経過は『攻』の地図で確認する。『攻』76のマスメディア(新聞)の報道は,国民世論の形成にどう影響したか。
   「勲記」は,今後の国民のあり方にどのような影響をおよぼすことになるか考えてほしい。



77 条約改正
 
 ※ようやく不平等条約が撤廃される。
    日本がなぜアジアで初の不平等条約撤廃国となれたのかについて学ぶ。

 ①条約改正が実現できた理由を考えよう。
    国際情勢→日本をとりまく東アジアの国際情勢の変化でイギリスがロシアの南下政策を警戒して日本に接近してきた
    日本の国際的地位→日清戦争・日露戦争の勝利で帝国主義諸国からの評価が高まった。
    日本政府→外相を中心とする外交努力
    国内世論→条約改正運動など国内世論の盛り上がりがあった。
 ②条約改正の三段階について説明できますか。
   Ⅰ 岩倉使節団〜寺島宗則外務卿…他の帝国主義国による反対で失敗した。
   Ⅱ 井上馨外相〜大隈重信外相…国内の世論の反対で失敗した。
   Ⅲ 青木周蔵外相〜陸奥宗光外相・小村寿太郎外相…条約改正を実現する。
 ③条約改正の二段階をまとめておこう。
   Ⅰ 陸奥宗光外相の時期,日清戦争直前の1894年にイギリスとの間に治外法権の撤廃に同意し以後各国と実現する。
   Ⅱ 小村寿太郎外相の時期,日露戦争後の1911年にアメリカとの間で関税自主権の回復が達成され以後各国と実現する。

 ※政府の動きと世論の盛りを整理しておこう。


78 韓国併合と辛亥革命
  
※日本にとって,韓国併合がポーツマス条約の結果でったことや,
    
列強の侵略排除をめざす運動の中で中華民国が成立したことについて学ぶ。
 ①韓国併合までの過程を整理しておこう。
   Ⅰ 日露戦争後に韓国の外交権を奪い,韓国を保護国化し,韓国統監府を設置した。
   Ⅱ 韓国の内政権を奪い軍隊を解散した。→義兵運動が全国に拡大,安重根が初代韓国統監の伊藤博文を暗殺する。
   Ⅲ 日韓併合条約で植民地とし,朝鮮総督府を設置して支配した。
 ②日本の植民地政策は?
   →「皇民化政策」とよばれる日本への同化政策を行い,日本語,日本歴史の学習,日本名を名のらせる(創氏改名)などを行った。
 ③孫文が革命の目標として掲げた「三民主義」とは何か。
   →民族主義,民権主義,民生主義
 ④辛亥革命による「中華民国」成立の実態は?
   →南京で中華民国の成立が宣言され,孫文は臨時大総統となるが,実際には軍閥の袁世凱の力を借りて清朝を倒すしかなく,
     袁世凱が,大総統に就任し,首都も北京にうつされ,帝国主義国と結んで独裁化し,革命勢力を弾圧した。

 ※日本と大韓民国の教科書の記述を比較してみよう。今日話題となる歴史認識の違いが見えますか。
   『攻』に載せた日本の伊藤博文の千円札と韓国の安重根の記念切手のそれぞの発行の背景を考えてみよう。


79 日本版産業革命
 日本の近代化を支えたものは何だったか。しっかり学んで下さい。
 ①政府の官営工場・官営鉱山の払い下げなどの民間産業育成政策で形成されたものは何か。
   →財閥(三井・三菱・住友・安田など)。産業界を独占し支配した。
 ②産業革命の二段階についてまとめよ。
   第一次産業革命→日清戦争前後。製糸業綿糸紡績業など工業中心に発達。
   第二次産業革命→日露戦争前後。生糸の輸出は世界一になるなどの軽工業に加え,
               官営の八幡製鉄所の建設や造船業など工業も発達。鉄道国有法も出される。
               事産業にかたよって発達した。
 ③製糸工場の経営でもうけるにはどうしたらいいのか考えよう。
   →原料になるまゆく仕入れるとともに,生産コストを下げて利益率を上げる。
   生産コストを下げるには→賃金くし,時間労働をさせる。環境整備にかかる費用を減らす。
 ④ ③の結果,どのような問題が生じ,これに対してどういう運動が起こったのか。
   ◎労働問題の発生→労働運動が起こり,ストライキなどの労働争議も起こる。労働組合が結成され資本家と交渉する。
                社会主義思想が入り,初の社会主義政党である社会民主党が結成される。
   ◎公害問題の発生→足尾銅山鉱毒事件では田中正造らが公害反対運動を起こす。

 ※「大逆事件」についても,なぜそのような事件が起きたのかまとめておこう。
   『ああ野麦峠』(山本茂実著・角川文庫)を読んでみよう。



80 81 明治の文化
 欧米文化を受け入れつつも,日本独自の文化を発展させたことを知りたい。
 ①「国民皆学」から義務教育への流れを追ってみよう。
   
学制による「国民皆学」から,学校令による国家のための「義務教育」(最初年のち年に)へ。
   「忠君愛国」の精神が基本の
教育勅語。さらに教科書は国定教科書制度の導入へ。
 ②官立大学と私立
   官立の
帝国大学と,明治時代には正式には大学と認められていない私立学校
   私立の例→
福沢諭吉の慶應義塾,大隈重信の東京専門学校,新島襄の同志社英学校など
 ③欧米の知識や技術を取り入れる中で,日本人の手による研究が芽生える。医学・薬学・物理学・地質学の分野で例をあげてみよう。
   医  学→
北里柴三郎,志賀潔 / 薬  学→高峰譲吉,鈴木梅太郎
   物理学→
長岡半太郎  / 地質学→大森房吉
 ④日本の伝統美術の復興を提唱した美術家,西洋音楽を日本風にして広めた音楽家,ありのままの言文一致を提唱した作家をあげよ。
   美術→
フェノロサ,岡倉天心 / 音楽→滝廉太郎 / 作家→坪内逍遙

 ※文化人名だけでなく,その功績も知っておこう。『攻』81の「切手に見る近代文化‐文化人シリーズ‐」「同 ‐近代美術シリーズ‐」
   もぜひ楽しんでやっておこう。くれぐれも楽しんで。



82前編 第一次世界大戦
  
ヨーロッパでの帝国主義諸国の対立がなぜ世界大戦へつながったのかを学ぶ。
  ロシア革命とは。日本はなぜ参戦したのか。時代は「大正時代」に入る。
 
①なぜ世界大戦に拡大したのか。
   ◎
ドイツオーストリアイタリア三国同盟イギリスフランスロシア三国協商をはじめとする軍事同盟が存在したこと。
   ◎
植民地や中立国も動員できる帝国主義国どうしの対立から戦争になったこと。
   ◎
帝国主義国各国の権益が世界中に拡大していたこと。
 ②当時の新兵器(大量殺りく兵器)をあげよ。
   →
戦車・飛行機・潜水艦・毒ガス
 ③戦争の直接のきっかけとなった場所と事件,そしてそこは当時どうよばれていたか。
   場所→
バルカン半島
   事件→
サラエボ事件…セルビア人青年によるオーストリア皇太子暗殺事件
   どうよばれていたか→「
ヨーロッパの火薬庫
 ④日本の参戦の理由で,「たてまえ」と「本音」とは何だろうか。
    「たてまえ」→「日英同盟」の存在。
    「本音」→ドイツの利権(山東半島)の獲得と,中国での日本優位の確立(「二十一か条の要求」に表れる)

 ※関係各国の関係図が描けますか。


82後編 アメリカの参戦そしてロシア革命
  ※日本やアメリカはなぜ第一次世界大戦に参戦したのだろうか。
  ※世界史上初の社会主義革命の実態は?激動の第一次世界大戦中です。

 ①日本の参戦の理由とはなんだろうか。「たてまえ」と「本音」は?
    「たてまえ」→「日英同盟」の存在。
    「本音」→
政権不安定や貿易不振,大陸侵略のゆきづまりなどを打開する。
          
ドイツの利権(山東半島や南洋諸島)の獲得と,中国での日本優位の確立(「二十一か条の要求」に表れる)
 ②アメリカ参戦の理由は?
    →
ドイツの潜水艦による被害の拡大。連合国に武器などを輸出していたが,その支払いがこげつくことを恐れたため。
 ③ロシア革命の特徴と各国の対応をまとめよう。
    →
資本主義が発達した国で革命がおこったのではなく,レーニンの指導の下,絶対王政のゆきづまったロシア帝国でおこったこと。
    →革命の
影響をおそれて,革命をおさえようと軍事力で干渉した。日本もシベリア出兵をおこなった。いずれも失敗し撤退した。
 ④ロシア革命で成立したソビエト政権が平和と土地に関して出した方針は何か。
    平和→無併合・無賠償・民族自決・
即時講和を全交戦国によびかけた。
    土地→土地の
私有を廃止し農民に分配した。工場・鉱山・銀行・鉄道などを国有化した。

 
※各国の動きを見ることと,その関係をつかむこと。


83 ヴェルサイユ体制
 ※第一次世界大戦後の講和会議では各国の利害があらわになります。その結果はいかに。
 ※ヴェルサイユ条約による「ヴェルサイユ体制」は,戦勝国による有利な体制を保証したものでした。
  そこには,また新たな矛盾が生み出されていきます。

 ①欧米諸国の戦争の被害状況と動きをまとめておこう。
   米→途中参戦し連合国の勝利に貢献した。被害少なく,英仏への貸し付けなどをふくめ,世界の超大国となる。
      ウィルソン大統領が「平和原則14カ条」を掲げ,これがもとで国際連盟が成立するが,米国は議会の反対で参加せず。

   英・仏→被害が大きく,特に仏国は対独復しゅう心に力を注ぎ,ライン川流域の補償占領などで,ドイツから賠償金を得て,
      米国に返済することになった。

   露→戦前から労働者の不満が高まる中で,ロシア帝国政府は戦争で国民の不満をかわそうとしたといわれる。その中で,
      レーニンらのロシア革命がおき,ドイツと単独講和し戦線から離脱する。被害が大きい。

   独→敗戦国で被害が大きく,その上に全ての植民地を失い,本国の領土も削られた。戦勝国から,多額の賠償金が課される。
      革命で皇帝が退位し共和国となり,ワイマール憲法も制定された。

   東欧の国々→ヴェルサイユ体制下で独立が認められた。ソビエトの影響をとめるための独立で,不安定な国が多い。
            フィンランド,バルト三国,ポーランド,チェコスロバキア,ハンガリー,ユーゴスラビア

 ②日本と中国・朝鮮の動きをまとめよう。
   日→被害少なく,ドイツの勢力範囲であった「山東省」と,旧ドイツ領「南洋諸島」の領有権の確保に懸命となる。
      戦争中は「大戦景気」といわれる好景気であったが,戦争が終わると「戦後恐慌」となり,国際的に孤立する。

   中→反日運動を高める。特に二十一カ条の要求を受けさせられた日を「国恥記念日」,これを認めようとしたヴェルサイユ条約
      の調印反対の「五・四運動」がおこる。

   朝→アジア各国の独立運動が広がる中で,「三・一独立運動」が日本の植民地支配に反対しておこる。日本はこれを,武力で
      抑えた。

 ③ワシントン会議やロンドン海軍軍縮会議での取り決めをまとめよう。
   ワシントン→四カ国条約(太平洋の島々の現状維持と日英同盟の破棄)
          →ワシントン海軍軍縮条約(主力艦の保有制限を米英日仏伊で5:5:3:1.67:1.67)
          →九カ国条約(中国の主権尊重と門戸開放と,日本の山東省の放棄)
   ロンドン →ロンドン海軍軍縮条約(補助艦の保有制限を米英日で10:10:7)

 ※『攻』の地図の色分けで確認しよう。ワシントン・ロンドンでの会議は日本を抑えるためのものであったことを確認したい。


84 85 大正デモクラシー
   ※大正時代の日本の政治の流れとデモクラシーの高まりについて学びます。
 ①「大戦景気」とよばれる好景気の中で,なぜ「米騒動」がおこったのか。
   →輸出の増加にともなう国内の品不足,好景気での物価上昇と,シベリア出兵での米の買い占めなどで米価が上昇したため。
 ②1910年代と20年代の労働運動,農民運動,女性解放運動,部落解放運動についてまとめよう。

1910年代1920年代
労働運動協調をかかげる友愛会労働者の団結を示すメーデーの開催,闘う労働組合の日本労働総同盟を結成
農民運動日本農民組合が結成され次第に戦闘化
女性解放運動文学団体の青鞜社婦人参政権を求める新婦人協会の設立
部落解放運動全国水平社の結成と水平社宣言の発表

 ③戦前の二大政党と,各党での初の政党内閣をあげよ。それぞれの内閣が成立するいきさつをまとめよう。
   ◎立憲政友会原敬内閣…米騒動を軍隊でしずめるなどで批判された寺内正毅内閣が倒れた後を受けて成立した。
   ◎憲  政  会加藤高明内閣…第二次護憲運動の中で,選挙に圧勝して成立した。
 ④普通選挙法とほぼ同時に定められた法律とその内容をまとめよう。
   →治安維持法国家体制の変革や私有財産制度の否定を目的とする組織,運動を禁止したもの。
  ※第一次護憲運動,第二次護憲運動のそれぞれのころの社会運動の違いをまとめておこう。
    時間の流れを追って,二度の護憲運動と政党内閣の成立をまとめておこう。



86 大正の文化
   ※大衆文化の高まりを大正デモクラシーの時代を背景にとらえよう。課題プリントを仕上げているという前提で深めます。
  ①衣食住の洋風化の具体例をあげてみよう。
   →モダンボーイ・モダンガールなど都市を中心に洋服が流行,コロッケ・トンカツ・カレーライスなど洋食が普及,
     都市と近郊に文化住宅が建てられる。女性の社会進出など
 ②文化の大衆化(多くの大衆が支持したという背景がある)
   学問への支持→「民本主義」の吉野作造,「天皇機関説」の美濃部達吉など
   ジャーナリズムの発達→1日百万部を売り上げる新聞ラジオ放送の開始(1925年),活動写真と呼ばれた無声映画など
   人道主義の「白樺派」の活躍→『友情』の武者小路実篤,『暗夜行路』の志賀直哉
   プロレタリア文学の出現→『蟹工船』の小林多喜二
 ③「いもづる式大衆商法」とは
   →阪急の小林一三や西武の堤康次郎らによる。鉄道を設置し,沿線に文化住宅を建てて売り出す,
    通勤・通学に鉄道を利用してもらい,ターミナルにはデパート,郊外に劇場や遊園地をつくって住民の購買力を吸収する。

 ※美術・音楽・他の文学作品も『攻』で確認しておこう。文化は時代の鏡なのだ。


これより「昭和」に入ります。年号としては60年以上の長期におよびました。
  それは戦争と加害・被害,敗戦・占領時代と戦後復興,高度経済成長と長期保守政権へと続きます。
 さて,昭和初期,戦争の気配が近づきます。

87 世界恐慌
 ※ 恐慌とは何か。各国の対応の違いが,新たな世界大戦への原因をつくっていくことについて学びます。
 ①なぜアメリカの恐慌が「世界恐慌」になるのか。
  →第一次世界大戦は世界経済の中心をイギリスからアメリカに変えた。世界の多くの国がアメリカに依存していた。
   
イギリスフランスは,大戦中のアメリカへの債務返済に追われ,また戦後復興のために貸付を受けていた。
   
ドイツは,イギリスフランスなどの戦勝国への多額の賠償金に追われ,アメリカから貸付を受ける。
  
ラテンアメリカ諸国には,アメリカ投資により,実質上の経済支配を受けるという状況で,アメリカに世界の富が集中していた。
 ②なぜ恐慌が始まったのか。
  →
好景気での拡大再生産による大量生産が製品の売れ残りを生みだし,企業の信用が下落して株価の暴落を引き起こした。
 ③各国の対応の違いをまとめておこう。
  アメリカ→
フランクリン=ルーズベルト大統領による「ニューディール政策
  イギリス・フランス→
広大な植民地との貿易独占をはかる「ブロック経済政策
  ドイツ・イタリア→
ナチスのヒトラーファシスト党のムッソリーニによる独裁政治(「ファシズム」)
 ④ドイツでなぜヒトラーが支持されたのだろうか。
  →ドイツ経済の極端な
インフレの原因が,巨額の賠償金の支払いをふくむヴェルサイユ条約での処置にあると国民に訴え支持を得た。

 ※『攻』のインフレ紙幣や切手を見てみよう。「第一次世界大戦後のアメリカ」を図で説明しておいた。



88 昭和恐慌
  ※ なぜ日本の軍部が台頭し,戦争への道を歩んでいくのかについて考えます。

 ①第一次世界大戦後の日本の恐慌についてまとめよ。
   →戦後恐慌・震災恐慌・金融恐慌・昭和恐慌
 ②労働運動や小作争議の増加の背景を考えよう。
   →企業の倒産による失業者の増加。農作物価格の下落,大凶作など。
 ③時の政党内閣の対応はどうであったか。
   →立憲民政党立憲政友会が政権を担当。財閥からの資金提供を受け,政治腐敗が表面化。
     経済政策の失敗と,労働運動などへの治安維持法の強化による取り締まりなどを行った。
 ④五・一五事件とは
   背景→軍部が,軍縮を支持する国際世論に対して危機感を高めていた。
        満州事変後に関東軍によって設立された「満州国」を承認しなかった。
   経過→海軍の青年将校らが,犬養毅首相を暗殺した。
   結果→政党内閣は終わり,軍部の圧力が強まる。
 ⑤二・二六事件とは
   背景→陸軍内部の対立の中,皇道派の青年将校らは急激な改革と,軍部内閣の設立,天皇親政を求めた。
   経過→陸軍の青年将校らが軍隊を率いて反乱を起こし,政党の幹部や海軍の幹部を暗殺した。
   結果→陸軍統制派らの軍部の政治支配が強まる。

 ※ 軍国主義が高まっていく様子を年表などを活用して流れをつかみたい。『攻』参照。



「15年戦争」にに突入! 戦争史はいよいよ最終段階へ!
89・90 満州事変〜日中戦争
 ※「15年戦争」を引き起こした原因と経過を考えたい。
 ①「満蒙は日本の生命線」とする軍部の危機感とは何だったのか。
   満州において→排日運動が高まる中で,南満州鉄道株式会社が赤字決算となる。
   政党内閣の外交姿勢に対して→協調外交軍縮に不満であった。
 ②満州事変の経過を追ってみよう。
   始まり→関東軍満鉄の線路を爆破し,これを中国軍の行為として攻撃を開始した。
   結果→日本は満州を占領し,清朝最後の皇帝を執政として「満州国」を建国させた。
   国際連盟の対応→イギリスのリットンらの調査団を派遣し,日本軍の満州からの撤退を勧告した。
   日本の対応→国際連盟を脱退し,国際社会で孤立化する中で,ドイツと接近していく。
 ③日中戦争が長期化する理由を考えよう。
   中国…国民党(国民政府)と中国共産党の内戦を停止し,国共合作が実現したことで,抗日統一戦線ができる。
   日本…満州からさらに華北の支配をめざすが,国民政府は降伏せず徹底抗戦,南京大虐殺を引き起こすも,各地で苦戦する。
   米・英・ソ…ビルマ・ルートを通じての援助を国民政府南京から漢口,さらに重慶に移動)に対して行う。

 ※中国では民族意識が高まる中で,統一が進められ,排日運動が高まっていた。『攻』の地図でも確認したい。


91・92特別授業 戦時体制
  ※ 戦時下の国民生活はどんなものであったのだろう。実物教材をもとにしてその実態に迫ります。
 ①戦時体制の強化はどんなところまでおよんだのだろうか。例をあげてみよう。
   戦費確保→戦時債券の発行,増税など
   兵力確保→現役兵以外への臨時召集令状の発令,朝鮮台湾などの植民地への徴兵令,兵役年齢の引き下げなど
   生活統制→衣料切符をはじめ各種制限切符による制限や配給制など
 ②法令による統制の例をあげてみよう。
   ◎治安維持法(1925年・1928年改)→政治運動や反戦運動から労働運動までの各運動をとりしまる。
   ◎国家総動員法(1938年)→ヒトやモノを議会の承認を経ずに戦争のために動員できる。
   ◎国民徴用令(1939年)→軍需産業の労働力として国民を動員できる。
  ③組織の編成や改変の例をあげてみよう。
   政党の解散→大政翼賛会
   労働組合・農民組合の解散→大日本産業報国会
   学校教育→国民学校
   地域社会→隣組
 ※『攻』には,召集令状(赤紙),衣料切符,各種制限切符,戦時債券の実物が示されている。ぜひ見ておこう。


93 第二次世界大戦
 ※第二次世界大戦が起こった原因を知る。そして,経過をたどりつつ,
   この戦争が,ファシズム対民主主義と位置づけられていくことを学ぶ。

 ①ドイツの領土拡大をたどっておこう。
   ミュンヘン会談前→オーストリア併合(英仏が承認)
   ミュンヘン会談後→チェコスロバキア解体(英仏が承認)
   独ソ不可侵条約後→ポーランド侵入(英仏がドイツに宣戦布告)
   その後の領土拡大→デンマーク,ノルウェー,オランダ,ベルギー,フランス,ギリシア,ユーゴスラビア
 ②ソ連の領土拡大もつかんでおこう。
   →ポーランド東部,バルト三国併合,フィンランド侵攻
 ③独ソ戦開始後の変化をまとめよう。
   独→苦戦し戦線は拡大,長期戦になる。
   英・米→社会主義国ソ連を支援し反ファシズムで協調していく。
 ④イタリア・ドイツの降伏の経過をまとめよう。
   伊→1943年,ムッソリーニが失脚し降伏。
   独→1945年5月,ヒトラーが自殺し降伏。
 ⑤大西洋会談・ヤルタ会談・ポツダム会談についてまとめよう。

年代参加国主な取り決め
大西洋会談1941年8月米・英国際平和機構の再建,対ドイツ戦略
ヤルタ会談1945年2月米・英・ソドイツの戦後処理,ソ連の対日参戦
ポツダム会談1945年7月米・英・ソ米・英・中華民国の名で発表)日本無条件降伏を勧告

 ※地図や年表で確認しておきたい。『攻』に年表と地図がある


94 太平洋戦争
 ※日本はなぜ東南アジアに侵略を拡大し,太平洋戦争をはじめたのか。
   戦争の経過を知ること。そして加害と被害の両面から考えたい。

 ①日本はなぜ南進策をとったのだろうか。
   →
日中戦争の長期化とゆきづまり。資源不足の中でのABCD包囲網(米・英・中・蘭)による経済封鎖を打破するため。
   →ヨーロッパ戦線での
ドイツの攻勢とフランスの降伏。ソ連日ソ中立条約を結ぶ。
 ②開戦当日の動き
   日米交渉の決裂→アメリカは日本軍の中国からの撤退を求める。日本は中国への援助停止と日本への物資供給を求めた。
   戦争の開始(194112日)→マレー半島上陸,ハワイ真珠湾空襲
 ③戦争の経過を追ってみよう。
   攻勢→開戦〜ミッドウェー海戦(1942年6月)→以後は連合国軍の反撃が開始され日本の勢力は縮小。「玉砕」があいつぐ。
   守勢→〜サイパン島陥落(1944年7月)→以後は米軍による日本本土空襲が可能となる。
   1945年3月→東京大空襲大阪大空襲→5月以降は全国の主要都市が焼夷弾爆撃などの空襲を受ける。
         4月〜6月→沖縄戦…米軍の上陸。軍部の本土防衛のための時間稼ぎに利用され一般市民の被害拡大。
         8月6日→広島原爆投下…人類初の原爆投下で,一瞬にして多数の人々を殺傷。放射能被害を残す。
         8月8日→ソ連が参戦→満州や千島列島に侵攻→残留孤児シベリア抑留での多数の死者を出す。
         8月9日→長崎原爆投下…2度めの原爆投下。アメリカは,ソ連に対する優位を確保しようとしたといわれる。
         8月14日→日本はポツダム宣言の受諾を決定
         8月15日→昭和天皇ラジオ放送(玉音放送)で国民に敗戦が知らされる。

 ※地図と年表で整理したい。『攻』本文の年表で経過をチェックし,地図の着色などで,位置を確認しておこう。



現代史を進みます。
96 敗戦と民主化政策〜
 95特別授業 軍票・伝単に見る加害と被害

 ※戦後の民主化政策を概観します。

 ②占領軍による民主化とは?
   領土→植民地,占領地の解放,小笠原諸島・沖縄諸島はアメリカの統治下に,千島列島はソ連に占領される。
   非軍国主義化→日本軍の解散,極東国際軍事裁判,軍国主義的人物の公職追放など
   政治の民主化→治安維持法の廃止,婦人参政権の実現,
             政党(日本自由党日本進歩党日本社会党の結成,日本共産党の再建)の復活
   女性差別の撤廃→新民法の制定で古い「家」制度が廃止される。
   労働組合の再結成→労働三法の制定→
労働組合法・労働関係調整法・労働基準法
   教育の民主化→教育基本法学校教育法の制定
   経済の民主化→持ち株会社を解散し,株式を分散する財閥解体を実施,独占禁止法の制定,やがて占領政策の転換で緩和。
            →寄生地主制度を廃止する農地改革を実施。
 ③日本国憲法の制定のいきさつは?
   →GHQの指示で政府が松本案を作成,各政党や国民諸団体の案も作られる。結局GHQ案が示される。
    これを基にした政府の改正案が帝国議会(衆議院は婦人参政権が認められた男女議員で構成される)で審議され,
    194611日公布,1947日施行

 ※多くの実物史料を見て考えてみよう。公民分野との関係が深い。あわせて学習すること。
 ※『攻』95「軍票」・「伝単」の実物を見て,その目的を考えよう。



97・98特別授業 戦後60年と「変わらぬ伝単ビラ」
 ※米ソ冷戦が,多くの国々に影響することを学ぶ。
 
※米ソ冷戦と各国への影響,沖縄戦,朝鮮戦争,ベトナム戦争,湾岸戦争,アフガニスタン戦争,イラク戦争の伝単を見ます。
 ①東西対立について例をあげよう。
   軍事同盟→東…
ワルシャワ条約機構。西…北大西洋条約機構(NATO)
   ドイツの分断→東…
ドイツ民主共和国。西…ドイツ連邦共和国
   中国の分断→東…
中華人民共和国。西…中華民国(台湾)
   朝鮮半島の分断→
朝鮮戦争。東…朝鮮民主主義人民共和国。西…大韓民国
   ベトナムを中心とする戦争→
インドシナ戦争。ベトナム戦争。
 ②米ソ両大国の地位の低下の要因として考えられるものは。
   米→
ヨーロッパや日本などの復興と,それらの国々の輸出の拡大。ベトナム戦争による軍事支出の拡大など。
   ソ→
中ソ論争など中華人民共和国との対立。東ヨーロッパ諸国の自立の動きなど。
 ③冷戦の終結について。
   →1989年
米ソ首脳による「冷戦終結宣言」。
     1990年東西対立の象徴であった
ベルリンの壁が崩壊し,東西ドイツが統一されるなど東欧の社会主義体制が次々と崩壊した。
     1991年
ソ連の解体。

 ※現在の諸問題に直接関係することがらばかりだ。まず地図と年表で大きな流れをつかむこと。『攻』は年表形式で書いてある


99 講和と安保
 ※日本は,どのような形で戦後の占領時代を終えたかを知る。
①アメリカの日本占領政策の転換の背景と,期待された日本の役割,影響とは何だろうか。
   背景→東アジアにおける
中華人民共和国の成立や,朝鮮戦争が起こるなど,共産主義勢力の台頭があった。
   役割→共産主義勢力に対する
防壁,そのための日本経済の復興と自立を求めた。
   影響→米軍が,
朝鮮戦争で大量の物資を発注したことで,日本経済が急速に復興した。
   再軍備→
警察予備隊が設立され,今日の自衛隊のもとができた。
   講和→
サンフランシスコ平和条約西側諸国などと結ばれて占領時代を終えて主権を回復した。
   安保→同時に
日米安全保障条約が結ばれ米軍基地が存続することとなった。
 ②安保改訂の内容と安保闘争の主張についてまとめておこう。
     安保改訂→日本の
防衛力の強化,日米共同防衛米軍基地の提供と費用の負担などが決められた。
     安保闘争→
憲法違反であること,戦争にまきこまれる可能性が拡大すること,国会での強行採決への批判など。


 ※公民分野と関連づけて学ぼう。講和に反対した国々をふくめ,『攻』の地図でも確認しよう。


100 現代社会
 ※高度経済成長から経済大国へ。そして「平成」へ。公民学習とも特に関係が深い内容となりますね。
 ①高度経済成長がもたらしたものとは何だろうか。
  →先進国の仲間入り(
1964年にOECDに加盟),経済大国になる(1967年にGNPが資本主義国第2位に)
   
主要先進国首脳会議のメンバーに(1975年から毎年サミットが開催される)
   公害問題の発生にともなう環境破壊の進展,労働問題の発生,農業人口の減少や食糧自給率の低下など
 ②55年体制とその崩壊,そして連立政権時代への流れ
  55年体制→1955年の保守合同自由民主党が成立し,以後は,ほぼ単独で政権をとる。
          左派と右派の統一で日本社会党が成立するが,以後,野党は多党化してほとんど政権をとれず。
  崩壊→1993年に自由民主党が分裂し非自民党政権が誕生,以後は自由民主党を中心とした連立政権となる。
 ③オリンピックと万博,主な国際博覧会
  1963年→東京オリンピック(東京),1970年→日本万国博覧会(大阪)
 
 ※歴史はどんどん受け継がれていく,自分たちもこれからの歴史をつくる一員であるということ,
   そして,国際社会に生きる時代であればこそよけいに,自分たちの作ってきた歴史を知る必要性があることがわかりますか。

 これで3年間の授業は終わりです。卒業おめでとう。


   

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください