このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

「ナイルの賜物」〔2004年8月 撮影〕

本日は,ようこそ特別展にお越し下さいました。
ごゆっくりしていただければ幸いです。(館長)

大カイロ
 〔人口約1200万人は,アフリカ大陸最大の都市〕
金曜正午の礼拝を呼びかけるアザーンが流れる。
古代王朝時代は日本と同じ多神教の国。
現在は唯一神アッラーを信ずるイスラム教の国である。
カイロ・タウン
 〔下町の暮らしは決して豊かではないが,そこには,私たちが 忘れてしまいがちな素朴な生活のよさがあった〕
 旅の必需品は,水,暑さ対策(帽子・サングラス・長袖シャツと
 長袖ズボン,日焼止めなど),文化財の大切さの認識とイスラ
 ム世界への敬意だと思った。
ナイルと並走するディーゼル列車
 〔アスワン〜ルクソール間〕
 河口デルタ以外は,ナイルに沿ってのみ緑が存在する。
 道路も鉄道も当然ナイル川に沿って続く。
 ナイル川は6695㎞。もちろん世界最長。日本一の信濃川の
 18倍,川をはずれるとそこは,世界最大のリビア砂漠(サハ
 ラ砂漠の一部)が無限と思われるくらい広く続いている。
ギザの町の建物の間に見えるピラミッド
〔町のすぐ近くにあった〕
大阪人が,大阪城や通天閣をビルの間に見るように,ギザの町
ではピラミッドが見える。カイロから車で30分ほどでギザの町に
入る。ナイル川を越えて西方にある。
クフ王の頂上
 〔146mあったというが,現在は137mである〕
 第4王朝・第2代ファラオとされるクフ王の在位は
 前2589年〜前2556年の33年間という。
 最大のピラミッドである。
クフ王の石積み
 〔2.5トンの石を,約230万個積んでいるという〕
 2.5トンは平均値で,最大のものは15トンはあるという。
 上にいくほど小さくなる。
世界遺産・ギザの三大ピラミッド
 〔左から,クフ王・カフラー王・メンカウラー王のもの〕
 入場は,遺跡保護のため,各ピラミッドは,午前150人,
 午後150人までと制限されている。
カフラー王への参道
 〔スフィンクスの脇にピラミッドに通じる道がある〕
 第4王朝・第4代ファラオとされるカフラー王は,クフ王の子
 で,在位は前2558年〜前2532年の26年間という。
 スフィンクスは,高さ20m・長さ57mで最大。顔はカフラー
 王その人である。 ピラミッドは143mの高さで第2位。上部
 に化粧石が残っている。
ダハシュールの赤のピラミッド
 〔最古の真正ピラミッドは,キザの南約20㎞にある〕
 高さ105m。第4王朝・第1代ファラオとされるスネフェル王の
 もので,在位は前2613年〜前2589年という。
 クフ王の父王にあたる。
ダハシュールの屈折ピラミッド
 〔ピラミッド造りの試行錯誤ともいわれるが…〕
 同じくスネフェル王のもの。神王として君臨したというこの王
 は4つものピラミッドを造っている。
 全92mの高さの途中,49m付近で角度が変わっている。
 このまま積み続けると崩れると考えたなど諸説あり。
サッカラの階段ピラミッド
 〔最古のピラミッドは,階段状に造られている〕
 第3王朝・第2代ファラオというジェセル王のものである。王は
 シナイ半島まで鉱物資源を求め,アスワン付近まで勢力を拡
 大したという。アスワンは「国境」の意味である。
ジェセル王の頂点
 〔高さ約60mの最古のピラミッドは,石の最古の建造物だ〕
 王の在位は前2668年〜前2649年の約19年間である。石は
 キザのピラミッドなどと比べてずっと小さい。技術はこれ以後
 急速に進歩していくのである。
ジェセル王の石積み
 〔かなり崩れている。保存処置が必要だ〕
 王の時代は,古王国時代の最も初期にあたる。
世界遺産・アブシンベル大神殿
 〔あと10㎞ほどで隣国スーダンに入る。現在の国境である〕
 大神殿の入口の左右に並ぶラムセス2世の像は,1体20m
 の巨像である。これは,そのまま現在の1エジプトポンド紙幣
 にデザインされている。《『歴史攻略ノート』9頁に提示》
 王妃ネフェルタリの小神殿が隣接する。
ラムセス2世像(アブシンベル大神殿)
 〔王は,自分の偉大さを石像物で残そうとした〕
 第19王朝・第3代ファラオである。新王国時代にあたる。
 在位は前1278年〜前1212年の66年間の長期におよぶ長
 寿の王である。この神殿は,ダム建設に伴って水没するのを
 ユネスコが,3000ものパーツに分割して移動させた
アスワン・ハイ・ダム
 〔ナイル最大のダムである〕
 クフ王のピラミッドの約17倍もの石を使ったという。人はこの
 ダムを「20世紀のピラミッド」と呼ぶ。万一のテロに備え,軍
 が厳重に守っている。仮に決壊すれば,全ナイル沿岸が水没
 するという。このダムによる水力発電は,今も国内の約4割の
 電力をまかなう。建設当初は約8割をまかなっていた。
ナセル湖
 〔アスワン・ハイ・ダムによる人造湖である〕
 概数でいうと周囲約500㎞のうち,約300㎞がエジプト領内,
 約200㎞がスーダン領内になる。ナセルは,エジプト革命の
 指導者で,20世紀の英雄の名である。 
ルクソール神殿
 〔いつくもの王朝を経て増築された大神殿〕
 ラムセス2世,アメンホテプ3世らによる。
 アメンホテプ3世は第18王朝・第9代ファラオ,在位,前1386
 年〜前1349年。最盛期のファラオの時代である。巨大ピラミ
 ッド時代から1000余年,ファラオたちは,神殿や墓所に芸
 術性を求めるようになっていた。 
カルナック神殿
 〔多数の列柱が並ぶ最大の神殿〕
 35haである。第18王朝・第3代ファラオ・トトメス1世(在位・
 前1524〜前1518年の約6年間),同・第5代ファラオ・ハトシェ
 プスト女王(在位・前1498年〜前1483年の約15年間)らによ
 る。町中でも40度代の後半の高温である。
エジプト考古学博物館
 〔古代エジプト文明の宝庫〕
 106のコーナーに分けられている。参観者が集中するのは,
 ツタンカーメン墓からの出土品と,ラムセス2世など12体の
 ミイラが見られる「マミールーム」である。
パピルスと白蓮
 〔上下エジプトのシンボルが博物館前庭で参観者を迎える〕
 白蓮は上エジプト(上流・南側),パピルスは下エジプト(下流・
 北側)を象徴する。これを初めて統一したのは,第1王朝・第1
 代ファラオのナルメル王という。前31世紀頃のことだ。今から
 5000年前である。 
アレキサンドリアと地中海
 〔アレクサンドロス大王建設の海岸の町〕
 地中海を前にして,若い君主アレクサンドロス(在位・前332年
 〜前323年)や,彼をこの地に葬り,最終王朝を開いた部下の
 プトレマイオス1世(在位・前305年〜前282年),エジプトを征服
 したローマのユリウス=カエサル,そしてローマ帝国初代皇帝
 アウグストゥス(在位・前27年〜後14年)の昔を思う。

本日は最後までご観覧頂きまして,ありがとうございました。
        またお越し下されば幸いです。(館長)

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