このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください



箸蔵寺ロープウェイ縁起  2005.10


 讃岐山脈を越えた土讃線がはるか下方に吉野川を望みながら下って行き、大カーブで180度方向転換して吉野川を渡り阿波池田にすべりこむあたりは、四国でも有数の雄大な鉄道車窓です。その吉野川を見下ろす山肌にへばりつくように箸蔵寺ロープウェイがあります。ここは日本で最初の珍しいフニテル式複式単線交走式ロープウェイとして有名です。長い名前ですが、要するに1本のロープを二重に回して(複式単線)、搬器(ゴンドラ)の天井から2方向に伸びた握索器で両手でぶらさがるように(フニテル式)して、山麓と山頂から交互に同時に発車する(交走式)システムです。現在は山麓側の登山口駅から山頂側の箸蔵寺駅まで1本のロープウェイですが、1999年に架け替えられるまでは途中の仁王門で分割されていて、赤鳥居〜大門(仁王門)〜箸蔵寺(本坊)と2本のロープウェイを乗り継いでいました。ロープウェイの乗り継ぎといえば宮島を思い出しますが、ここは仁王門から始まる参拝路の都合だったのでしょう。という予備知識はあったものの、実際に行ってみたらもっと複雑怪奇な歴史があってびっくり。2線乗り継ぎ式の時代には、山麓側にロープウェイと平行してリフトが併設されていたそうです、写真には撮れませんでしたが支柱の台座跡が搬器から見えました。さらに、ロープウェイ架設前の戦前にはなんとケーブルカーがあったとか。山麓にはその遺構が今も残っています。うむむ、おそるべし箸蔵寺。怪しげな乗客に貴重な情報をお教えいただきましたロープウェイ乗務のお嬢さんありがとうございました。



土讃線箸蔵駅から国道を歩いて5分ほどの登山口駅。瀟洒な駅舎は新しい。はいって右手に改札口があり、一旦外へ出て右側の乗り場から乗車する。ところで、屋根とロープの間に斜めに何かの遺構があるのがわかる。

ズームインしてみると、傾斜した石造りのプラットホームのようにみえる。実はこれが、戦前にあったケーブルカーの乗り場跡。

駅舎手前の駐車場の右手に乗り場があり、赤い搬器が停車中。その奥の箸蔵山ロープウェイと看板の上がっている建物が2線乗り継ぎ時代の旧駅舎。

現駅舎のきっぷ売り場。15分間隔の発車、所要4分。

諸元表。

山麓側の登山口駅ホームの搬器。フニテル式なので中央にロープはない。

発車して登って行くところ。正面の緑色が登山口駅。支柱のすぐ左手の白い四角い建物が旧駅舎。

登るにつれ、眼下に吉野川の眺めが開けてくる。赤い搬器と離合。両耳のようなフニテル式特有の握索器がかわいい。

もと中間乗り継ぎ駅のあった仁王門を過ぎたところ。それこそ門のような支柱の右側にある小さな塔のすぐ右手の平らなところが旧駅跡とのこと。

山頂側の箸蔵寺駅から仁王門を見る。

箸蔵寺駅。

山頂側の大きな滑車。1本のロープを二重に回しているので二段になっているのがわかる。


JR箸蔵駅。

坪尻側からみた箸蔵駅構内。1線スルー化されている。


おまけ。
同じ四国でも四万十川のは沈下橋というが、吉野川では潜水橋。これは美馬市の脇町潜水橋。台風で半分流されていて渡れなかった。


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