このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

外野で味わった、楽しみと悲しみ

月曜日は体育(野球)の講義がある。グラウンドが遠く、バスで 10分ほど移動しなければならないのだが、周囲を山に囲まれた景色の良い所だ。

一口に野球と言っても、攻守様々な楽しみがある。打者ならばボールをバットの芯で 弾き返した時の心地よい感触、投手なら快心の投球で打者を打ち取った時、 内野手なら華麗な動作でゴロをさばき、連携プレーを成功させた時だろうか。 捕手は・・・、
そして外野手の醍醐味といえば、ボールの落下地点へ走りこみ、 フライやライナーを捕球する瞬間なのではないだろうか。 空へ舞い上がったボールの落下地点を予想するのは、射的に似た興奮を伴い、 グラブにボールが収まる感触は、キャッチボールでは到底味わえない至福の 感触であると、 中学の野球部でヘボ外野手(兼 雑用係)だった私は思う。

今日は夜の間に降った雨も明け方にあがり、 気温も程々で絶好の野球びよりである。

木々が色づいた山々、 前夜の雨で埃が洗い落とされて澄んだ青い空に所々白い雲が映え、 晩秋の柔らかい日差しが、中堅方向からグラウンドを照らす。夏の暑さこそ 野球に似つかわしいのかもしれないが、スポーツの秋にこれ以上相応しい 舞台があるだろうか。わざわざ山奥まで出かけてくる甲斐もあるというものだ。

最終回裏の味方の攻撃、点差は1点。2アウトながらランナーは1,3塁で 上位打線の登場だった。試合中盤からの反撃でムードも押せ押せである。 カウントなどどうでもいい。問題は安打が出るかどうかである。 この回先頭打者で登場して三振した私は、この光景をセンターの守備位置から 眺めていた。相手チームの人数が足りない為に、味方の攻撃中も 手空きの人が守備に入らねばならない。
ここまでくればお分かりのように、「交代した選手の所へ打球が 飛ぶ」という野球伝説どおり、ボールが飛んできたのである。

打球は絶好のセンターフライだった。 2アウトだ。二人の走者はスタートを切っている。点差は1点。

捕らなければ、逆転サヨナラ勝ち

これは確実だろう。捕らなければ味方の勝ちである。しかし、青空を背景に した白球も、確実に近づいてくる。

守備位置から右斜め前方へ軽く走ると、たちまち落下予想地点、 ただでさえ白いボールは青い空に映え、傾き始めた秋の陽光が白球を照らす。 なんとも言えない白さが目に焼きついた。捕れる。ただ捕ったら負けなのだ。
捕るのか?捕ったら負け、1点差まで詰め寄ったのも水の泡。

今日はめずらしく、2安打を放つことができた。

打点も二つ挙げた。

守備でもこうして、ウイニングボールが目前である。

本当に捕るのか?ここで捕球しなければ、攻守にわたってMVPだ。

ボールはゆっくりと落ちてくる。


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