このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

 

最近、山へ登っていない。最後に登山をしたのは4月の天保山だが、 標高100m以上の山となるとここ十数年(←おまえは一体幾つやねん) はご無沙汰なのではないだろうか。
元々、登山にまったく興味が無い訳ではなく、高校時代には一歩間違えれば ワンゲル部に入部していたかもしれないくらいには山に興味がある。 とは言っても、所詮はハイキングの延長線上くらいの山好きなので、 飛騨、赤石山脈など日本の屋根クラスには縁が無い。 縁が無かったからかどうか、もちろんそうであろうが、私が惹かれる山は 3000m級のいわゆる「山」ではなくて、何と言うか、はっきりと実名を挙げるとすると 紀伊山地である。

ひとくちに紀伊山地と言っても、どこまでが範囲に含まれるのかは個人的な 感覚に左右されるのだが、とりあえずは近鉄大阪線以南くらいに考えていただければ まず間違いは無い。
金剛・葛城を前衛に、吉野や高野山さらには大台、大峰、遠く熊野へと広がる山々は、 派手さは無いが歴史と文化を抱く懐深い山だと思う。 葛城山の役小角、修験道の本場大峰山、妖怪一本ダタラの住むという大台ケ原、 真言密教の聖地高野山。紀伊山地は妖しげな霧に包まれて私を魅了してきた。

山と、人の住む世界が近接していることも魅力の1つだ。十津川をつたって大和と熊野 を結ぶ道、紀伊田辺から半島を横断する熊野古道中辺路、山地の北部は伊勢街道が 東西に横切る。大台ケ原の山上には「尾鷲辻」などと言う交差点が存在し、 「行者還岳」という山の名前を見つけては名の由来に思いを馳せる。 標高や景色の素晴らしさでは他の山には敵わないが、そこには確かに人の影が 存在しているようだ。

行ってみたいと思う。何の変哲もなく鬱蒼と木々が生い茂る山だったとしても。

「じゃあ、なんで行かへんの?」
ごもっとも。確かにその通り。少しは山の経験を積み、登山の知識を身に付けて、 たとえ一人でも登ってみればいいのだが、まだ果せていない。 残念ながら下界に足を引っ張る煩悩のタネが多すぎるのだ。
山陰本線には未だキハ58が健在だし、113系の勢いは完全には衰えていない。 キハ40系列はしばらく安泰な上に、117系や瀬戸大橋線の213の行く末は心配だし、 ココしばらくは485系に一部の電機も目が離せない。

一番肝心なことに、現在私は就職活動中である(これが一番切実だ)。 という訳で、国鉄型が消滅し、鉄道に魅力がなくなるであろう数十年先まで(定年後?) 楽しみは先送りとなり、しばらくは山を眺めてため息をつくだけになる。


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