このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
秋に虫を見て思う 3限の講義へ急いで移動していた昼下がり、構内の地面にカマキリを見つけた。 猫背にならないように、普段はなるべく下を向かずに歩くように心がけているのだが、 その時はたまたま、いや、きちんと背筋を伸ばして歩いていたにもかかわらず(ホントか?)、 カマキリの姿が目に飛び込んできたというのは、そのカマキリは、 よほど周囲から浮いた存在だったのだろう。たしかに明るい色のタイルで舗装された 地面に枯葉色のカマキリは目立っていた。
もう講義が始まっている時間だが、ついついカマキリに引き付けられ、 しゃがみこんで(付近には多くの人が居たのに、恥知らずな行為である) 首筋を摘んで持ち上げてみた。鎌を振り上げて指を捕らえようとする(それでいて 鎌が届かない)、その姿が懐かしい。
小学校時代は、昼休みに学校周囲の草むらで、 はたまた理科の自然観察で学校近くの休耕田へ行った時などに、 よくカマキリやバッタを捕まえたものである。もちろん学校にいる時以外でも そういった機会はあったのだが。
あの頃のカマキリの分類は以下の通りであるが、これが正式な分類なのかどうか は、家にある図鑑を見ても、これらのうち一部の名前が載っていないので、 子供独自(地域限定の?)の名称も含まれていたのだろう。
・オオカマキリ
その名の通り大きく、鎌で指を挟まれると当時はそれなりに痛かった。 大抵は緑色だが、場所によっては茶色・チョウセンカマキリ
名前の由来は不明。これも大抵緑色で、 オオカマキリをスマートにした感じでかっこよい。 裏返すと、カマの付け根の胸部にオレンジ色の点があった。 当時は何とはなしに朝鮮カマキリかな?と思っていたが、今から考えると オオカマキリのオスかもしれない。(当時オオカマキリと呼んでいたのが、オオカマキリの メスか?)。だとすると、命がけでメスに交尾を挑む、挑戦カマキリかもしれない。 カマキリのオスは、交尾後は大抵メスに捕食されてしまうのだそうだ。・ハラビロカマキリ
チョウセンカマキリよりさらに全長が短いくせに、幅はオオカマキリ並みで ずんくりとしている。これも緑色だが、茶色にもなる。今回見つけたのも 茶色のハラビロカマキリだった。・コカマキリ
かなり小さい。こいつは茶色ばかりで緑のは見たことがない。 鎌に白と黒のアクセントがあるのが特徴だった。その他にも名前だけで実物を見たことがない、ヒメカマキリ(ハラビロをさらに 小さくしたような姿という噂)というのもいた。
さて、問題は捕まえたカマキリの処遇なのだが、当然食べさせる。 カマキリをではなくて、 カマキリにである。もちろん、 「カマキリの餌」などという物が売られている筈も無く、餌になるのは バッタやコオロギ。右手で首を持ったカマキリのカマのところへ、 左手で捕まえてきた餌を近づけると、
カマキリが
カマで活餌を挟んで
食べる。
カマキリが旨いもの(かどうかは知らないが)を食べた話など、読まされる ほうは迷惑だからこれ以上は書かないが、とにかくその様子を見るのである。 しかも教室で。
残酷な子供達である(断わっておくが、一人でしていたのではない)。 時々、不謹慎だが笑いを誘う発言がでたり、厳粛には程遠い様子であった。
こういった経験を通して生命の大切さを知るのだ、などとご立派な 理由付けをすることは出来はしない。ただ、ヒトは残酷な生き物なのだ。捕まえたカマキリはしばらく(2、3日?)飼っていると次第に 目が黒くなる。緑色で目だけ黒いオオカマキリはかなり不気味で、 目が黒くなるのは「コオロギを食べさせたから」とか「外にくらべて部屋の中が 暗いから」とか、色々と噂が囁かれたが、真相はわからない。ただ そうなるとさすがに手元に置くのは気が引けて、捕まえた草むらまで放しに行く。
そう、講義へ行く途中だったのだ。小学生から時間は流れ、 流石に今日は教室へカマキリを持ち込むという発想は通らない。 手近な植込みにカマキリを放すと、教室へ急いだ。
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