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海外自転車旅行へ(総集編) 歩き遍路を満願、次はヨーロッパ縦断へ そもそもの動機 私は元々脚力が弱かった。特に山登りなどでは仲間のペースに合わせるのが苦痛でいつも楽しさより苦しさの方が記憶に強く残っている方でした。 それが定年を迎えて、定年者の定番である毎日一万歩歩きを続けているうちに、NHKで放映されていた「四国八十八箇所霊場巡り」に刺激されて自分でもやってみたくなりました。 今でこそインターネットなどで数多くの情報が得られるのですが、10年以上前は「歩き遍路」に関する資料は書店、図書館で探しても見付からず、最後は徳島県の県庁に電話をして、ボランテイア活動をされている、宮崎さんを紹介していただき、地図などを入手しました。 途中「はや足」「なみ足」「ゆる足」の「ゆる足」よりも遅い速度で山を越えたりして、ともかく平均40日で満願出来るところを47日かけて達成しました。 2000年の歩き遍路(白装束で無我夢中) それでも人よりペースを遅くすれば、人並みのことは出来るというのは大きな自信につながったようです。 「歩き遍路」を終えた時、次はヨーロッパ縦断、地図を頭に描くと、歩きでは無理だから自転車でとの気持ちになりました。 どんな自転車で といっても自転車については子供の頃貸し自転車に乗ったくらいで、社会人になってからは乗ったこともなく、ましてや自転車ツアーなどの知識は皆無です。 速度はどのくらい出る?一日にどのくらい走れる?荷物は?どんな自転車が良いのか?ヨーロッパまで航空便で送れるのか?などなど・・分らないことばかりでした。 まずは、「ランドナー」と呼ばれている、古いタイプのツアー用自転車です。 ラントナーという古いタイプの自転車 ギアチェンジがハンドルではなくフレームに付いています。南会津の仲間から「懐かしい!」と絶賛?されました」 周りに一人でも詳しい人がいれば話は全く変わっていたと思いますが、それもかなわず、インターネットと書籍が頼りでした。 この頃はインターネットでも日本語の情報は少なく英語の書籍による情報でした。 しかし、私が探した自転車に関する情報は10数年前の古いものでした。なかなか情報が集りませんでした。 それでも2000年に「歩き遍路」を行ってから3年目、2003年に分解式のツーリング用自転車を購入しています。 自転車に乗るのが怖い サイクリング車は、サドルの位置が高く、座るとつま先がようやく地面に付く位。また競輪用の自転車のようにハンドルの位置が低いので、乗るのが怖かったです。 乗り方を教えてくれるところはないかと本気で考えて、自転車屋さんに聞いたところ、乗るしかないとのつれない返事でした。 自動車の運転が出来ないので、解体し輪行袋に入れて電車に乗り入間川のサイクリング道路を走りました。ともかく自己流で走り出しました。 輪行袋の自転車(これでフランスまで行きました) 当初30分も乗っているとお尻が痛くなったのですがサイクリング用の尻当てがついたパンツをはいたりして走行距離を伸ばしていきました。 サイクリング仲間捜し 次にインターネットで浅草から南会津まで自転車を電車に乗せて南会津を走るサイクルトレインのイベントを知り購入した自転車を持って参加しました
http://homepage2.nifty.com/minamiaizu/
彼らから、自転車に関する情報を教わりました。 ギアチェンジの仕方、走るぺースなど基礎的なことから自転車用カーナビといえるGPSがあることを知りました。 今でこそポピュラーになっていますが当時は相当珍しいものでした。GPSはその後の海外でのサイクリング旅行では大きな威力を発揮しました。 私たち超初心者が、曲がりなりにも個人ツアーが出来たのはGPSのおかげだと思っています。 このように情報探しも、サイクリングの仲間捜しもすべてインターネットが頼りでした。知らない人の中に一人で飛び込んで行ったのです。皆暖かく迎えてくれました。 同じ趣味を持つ仲間は言葉では言い尽くせない良さがあります。 失敗したらそこでやめて引き返せばいい 「知らない人の中に一人で飛び込む」、この気質は私の性格から来ているようです。サイクリングの超初心者がよくヨーロッパサイクリング旅行をしたものだと周りには思われているようです。 ただ私の場合、「失敗したらそこでやめて引き返せばいい」「競争はせずあくまで自分ペースで楽しむ」の二つが基本姿勢になっています。 本人は判らなかったのですが、周りの人から言われてはじめてこの二つ姿勢のことと、それも日本では珍しいことに気付きました。 表現を変えれば猪突猛進です。「失敗したらそこでやめて引き返せばいい」と格好良く説明していますが、「思いついたら失敗するまで止まらない」と表現した方がより正確なところです。 欧州と日本ではサイクリングの楽しみ方が違う 私と同年配で定年後サイクリングを始めた方も多いのですが、ほとんどすべての人が「若い者には負けない」スタイルです。 これに対して「ボタリング」というサイクリング用語があります。サイクリングで散歩を楽しむというこです。 「若い者には負けない」とちょうど逆の楽しみ方です。 サイクリングの楽しみ方について欧州と日本を比較してみますとこの二つの違いが顕著にわかります。 サイクリング人口の若者とシニアの比が日本の場合9:1くらいに対し欧州ではその逆なことも、両者の違いの一つです。 親子で楽しむ 何故これだけの違いが出てくるのか、その一つが道路事情でしょう。 アップダウンが多く、車が多い日本に対して、平坦な道路で、しかも車の通行が少ない欧州といえるでしょう。 特にドイツはサイクリストにとって素晴しい環境になっています。 しかしこの環境は今のメルケル首相が環境大臣の時にエコの観点からサイクリング道路を整備したと言うことで昔からあったというわけではないのです。 ドイツモーゼル川に沿っての道路、1年に一度のノーカーデイの日でした 車道とサイクリング道路の間にグリーンベルトがあり更にサイクリング道路の外側に歩道がある。 やはりこれだけ環境が整わなければボタリングを楽しむ気になれないかも知れません。 更にレジャーの楽しみ方が日本式の短時間の間に出来るだけ多くのことを経験する、楽しむやり方に対して、彼らが日光の下、ゆっくりくつろぐ式の過ごし方をする違いによることもあるでしょう。 私たち流のサイクリングの楽しみ方 私たち夫婦がわざわざ外国にまで出かけてサイクリングをしている。 さぞかし格好良く風を切って走っているのだろうと想像されるでしょうが実情は全く違います。 ヘルメットと派手なサイクリング用のシャツは危険防止のために着用していますが、ゆっくり・もったり、途中、珍しいものを見つければ写真撮影、休憩といった調子。 目的地に何時に着こうがお構いなし。徒歩より幾分行動半径が広がるといった程度の走り方です。 夫婦とも自動車の運転が出来ないので、その代わりの楽しみ方をしています。 この辺のことは説明しても納得いただけないかも知れませんが。 ヨーロッパ縦断からフランス自転車旅行へ(2004年) 「歩き遍路」の時は「私短距離専門だから、お一人でどうぞ」と言っていた家内が「心配だからお目付役でついて行く」と言いだした。 但し条件がついていました「ただ走るだけではなく、ゆっくり朝食を食べるなど途中楽しみながら走りたい」と言うのです。 この一言が私たちの海外自転車旅行の姿勢を決めたようです。 私一人だったら歩き遍路の時のようにただひたすら走り続けたと思います。そのような走り方には別の喜びがあります。達成感というものでしょう。 夫婦二人旅となると達成感を味わうことは無理となり、ボタリング指向になります。 ヨーロッパ縦断からフランス自転車旅行へと方針を大きく転換。 夫婦それぞれの自転車を手荷物とし、荷物を積むと30KGになる自転車に乗ってフランスを回りました。 「若かったから出来たのだと」今では夫婦でよく振り返っています。 水平線まで菜種畑、遙か遠方に芥子粒みたいな私が映っています ホノルルセンチュリーライド(2005年) センチュリー、百のことです。1日百マイル(160km)を走るイベントです。 JALが協賛しているので多くの日本人が参加しています。毎年一回開かれています。多分ダメだろうと挑戦したのですが無事160km走ることが出来ました。 格好だけは一人前 ドイツ・オーストリアサイクリング旅行(2007年) 2006年に行く予定がネフローゼの持病が25年ぶりに再発。 再発して治る確率30%の中に好運にも入り、1年後ドイツ・オーストリアサイクリング旅行に挑戦できました。 モーゼル川のワイン畑 小石の多いことがワイン畑の共通点です フランス旅行では自転車を運んだのですが、何せ手荷物はそれだけで一杯になり衣服も出来るだけ少なくするためにサイクリング用の着替えしか持参できません。 今回はたまたまネットでサイクリングパックなるシステムを知りました。ヨーロッパでは古くからあるらしいのですが日本ではほとんど知られていません。 ガイド付き、とガイドなしがあり、ガイド付きは団体行動になりますがガイドなしはレンタル自転車とホテルがセットとなっているだけです。 自分の希望した日に指定されたホテルに行くと、レンタル自転車を渡されます。 荷物は出発の朝フロントに頼んでおくと次のホテルまで運んでくれる。 前もって送ってくれている地図を頼りに軽装で次のホテルまで走るシステムになっています。次のホテルまで自力で行かなくてはなりませんが、自分たちのペースで走れる自由は満喫出来ます。 このパックのおかげで、サイクリング旅行と一応観劇用の背広を持っていくとが出来たので、ウイーンの国立オペラハウスでのオペラ観劇を楽しむことが出来ました。 背広持参でウイーンの国立オペラハウスで観劇しました シチリア旅行(2008年) オランダ自転車旅行をする予定で、2月前に申し込んだのだがパックがすでに満席。やむを得ずシチリア旅行に切り替えました。 シチリアの6月の猛暑は堪えたが、ギリシャ、ローマ時代の遺跡とイタリア後期バロック建築は十分堪能しました。 九州の3/4という小さな島に5つもの世界遺産があること、しかもその一つ一つが広域にわたっていることに驚かされました。 ニュージランド(2009年2月) 初めての南半球、オーストラリアとニュージランドを比較したがサイクリングとなるとオーストラリアは広すぎて無理。 今回は、歴史遺跡ではなく自然を求める旅にはサイクリングが最適と感じました。 初めての団体ツアーであったがそれなりに楽しむことが出来ました。 オランダ(2000年6月) オランダ、世界で最もサイクリングが盛んなところ、サイクリング道路の充実ぶりには驚かされました。主要駅にはレンタルサイクルがあり、簡単に利用できます。 運河の上を走る船がホテルになり、ガイド付きでもなく、ガイドなしでもなく、その間の環境を楽しみました。特に夕食を一堂で楽しむ時間は二人だけの時間より会話の幅が広くなります。 何故自転車旅行なのか 「歩き遍路」をした時、「トンネルを出ると景色が変わっていた」経験をしたことがあります。 初めは何かが違うとしか判りませんでしたがよく見ると、それまでの満開だった桜が咲いていないのです。 山を越すと別の世界だったのです。また山を下っていると100m下がるごとに梅の開花が桜のつぼみに変わっていることに気付きました。 自動車に乗っていては見過ごしてしまうことでしょう。 ただ歩く場合、お遍路さんでも一日40kmが限度でそれもただひたすら歩くだけで周りを見渡すゆとりはなかなか得られません。 その点自転車ですと、私達のゆったりとしたペースでも時速15km位ですから3時間くらい走り残りはゆっくり寄り道、休憩も楽しむことが出来ます。 その点が自転車旅行の魅力でしょう。 しかし経済的には高く付きます。 一番コストパーフォーマンスが良いのはパック旅行でしょう。 但しパック旅行の場合は、どうしてもすべてを「お任せ」になってしまい、事前の勉強もサボってしまうので、印象が薄いものになってしまいます。 また私の場合、旅行の楽しみの半分は事前の調査・計画にあります。 ウイーンに立ち寄った時にはまずウイーンのオペラハウスの演目を調べそれに合わせるように全部の日程をたてたことがあります。 そのように自分の手作りの面白さを楽しんでいると言って良いでしょう。 またそれらの旅で一番印象に残っていることが、意外なことなのです。列車の遅れで小さな田舎の駅で3時間も待たされたことがあります。 何もすることがないので「子供のこと」「将来のこと」を夫婦で話し合いました。何故外国にいる時に?とも思うのですが、不思議なものです。 ただ、これらは私達が自動車の運転が出来ないとの制約も一つの要因になっているでしょう。 もし若い頃のように自動車の運転が出来たら、自転車旅行をすることを考えつかなかったかも知れません。 |
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