このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
日立さくら祭りと国指定重要有形、無形民俗文化財「日立風流物」
今日は、毎月恒例の水戸での高校同期の懇親会。その前に、日立さくら祭りに行って見ました。現在、大都市の駅としては、戦後殆ど変わらなかった日立駅もやっと改造中であるが、いまさらと言う気もしないでもありません。
日立駅改装工事(改装後の姿) 今の日立駅
春休みで大勢の子供連れで歩行者天国の平和通りが賑わっていました。
イベント会場の、新都市広場、平和通お祭り会場などでは、絶え間なくストリートパフォーマンスなども行われ、普段、見たことの無い賑わいです。
日立の桜の名所は、平和通り、神峰公園、すこし遠いが十王パノラマ公園などがあるが、桜の方は寒い日が続いたこともあり、花の賑わいとは行かず、まだ、一分咲き以下なのは残念です。
日立風流物(ふうりゅうもの)は、徳川光圀の寺社政策の一環として、17世紀末にこの地方の宮田、助川、会瀬の三村の鎮守として神峰神社を定め、氏子達が作った山車を祭礼に繰り出したのが初めといわれているようです。
そして、山車と人形の組み合わせは享保年間(18世紀初期)といわれ、4町(東町、北町、本町、西町)の4台の山車が、それぞれに意匠を凝らして競いあうようになりました。
新都市広場でのパフォーマンス 平和通りの桜(まだまだ満開は先のこと)
戦争で、山車も破壊されたのですが、戦後復興し、昭和34年には国重要有形民俗資料となり、後に、国指定重要有形、無形民俗文化財となったのです。
公開は、神峰公園例祭、桜祭りなどで、今回は、本町と西町の2台の山車が公開されています。
飛騨高山の山車などと違い、素人の集団が考えたもので、精密なものとはいえませんが、よく考案された面白いものです。
4年前の五月に4町の山車が公開され、その時の写真も合わせて記事を書いてみましょう。
時代考証や、内部構造などの詳細は、日立市教育委員会発行の「日立風流物」を参照しています。
12時から、新都市広場で本町の山車が公開されました。
山車は、表山、裏山の両方が使われます。表山は5層の折りたたみ式の舞台があり、これを広げながら人形を使った演技がなされます。
後ろの城なども競りあがったり、人形が反転すると武者から女性に早変わりなどの工夫もされています。演題は主として歌舞伎の演題から来ています。
山車の表山
演題は「風流川中島」
スタート 次第に舞台が開く 更に開く
全部開き人形が出る 人形が演技、後ろの城が競りあがる 全部終ってめでたしめでたし
(武者人形が客に神峰神社の破魔矢を射る。これを拾うと縁起がいい。)
裏(うしろ)山は岩山を模した木綿の布で作られています。この布には切れ目があり、そこを使って、大蛇が降りてくるとかの工夫がなされています。
こちらの演題は、昔話や民話などに基づくものです。
演題は「風流稲葉の白兎」
続いて回転させて裏(うしろ)山へ 裏山
「風流因幡の白兎」 「風流七福神」
ここで、本町の山車を見て、歩行者天国となった平和通の桜並木を、両側の出店などを見たり、何かを食って次の会場まで進み、更に、神峰公園の桜まで見るというのが欲張ったコースなのですが、肝心の桜がまだまだで、結局、神峰公園に行くのは止めて、平和通の西町の山車の公演を見ることにしました。
こちらの表山は、「風流忠臣蔵」で最後にあだ討ちが終ると人形が反転し、笠を持った女に代わり、踊るというものです。
「風流忠臣蔵」 早代わりで女の人形になる
裏山は「風流自雷也」で、大蛇や蝦蟇が出て格闘し、終ると山の上から鷲?をロープに沿って飛ばすという演出です。
大蛇が降りてくる 蝦蟇と格闘 自雷也の蝦蟇が勝ちめでたしめでたし
そして、再び新都市広場に戻り、マックでコーヒーなど飲んで一休み、市立図書館に入って本を読んだりして休み、水戸に向かいました。
「日立風流物」の構造
日立市教育委員会資料によると次のようなものです。
全体の寸法は、図のような大きさです。
断面図にある様に5段の舞台があり、カグラサンという人力の巻き上げ機でせり上がり、左右に開きます。
山車の大きさ 構造
人形や装置の操作者(人形作者と言う)として、人形が20−25体ほどもあるため、30人前後の人が入っており、鳴り物(太鼓3人、笛5人、鉦1人位)の囃子に従って操作を行うそうです。
人形は、早返りという回転式になっており、武者反転して女性に変わるところなども見ものです。
早返り(幾つもの人形を回転させて、切り換える)
表山と裏山を同じ観客に見せられる様に山車は土台が2層になっていて、回り舞台のように上層のみを引き回して回転させます。
平成5年5月の4台の山車の公開の時の北と東の山車の姿は次のような物でした。
北町「風流太閤記」 東町「風流源平盛衰記」
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