このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
キノコ栽培入門記(2) 42年卒 高野宏彦 最も知られているキノコで、市場に出回るほぼ全てのものが栽培ものです。第1回目に説明したとおり、おがくずに栄養成分を混ぜて菌を植え付けた菌床栽培ものが増えてきたために、味や香りの少ないものが今では主流のようです。 ① 原木の確保 原木として最低な樹種は「コナラ」、「クヌギ」で幹の太さ15センチ以内長さ1メートルといわれておりますが、現在では里山の手入れを行う人が少なくなった為に、ご好意でいただける原木は太く、1メートルの長さになるととても重くなります。 苦肉の策で、私達は原木の長さを50センチにして作業しております。この切り出しには、初冬が最適で、文明の利器である「チェンソー」の活躍により、切り倒しに15秒もあれば充分です。 私の使用している機械も3代目になり、世代交代毎にエンジンのかかり具合も改善され、併せて小生の目立て技術も向上して作業が楽になってきております。 原木の加工 ② 植菌 ① で確保した原木に、2月に入ってから(水戸地方は1月の気温が低く、原木が凍結する恐れがあるため)種菌を購入します。 種菌も、菌を植え付けた年の秋に発生する早生品種や、キノコ本体が肉厚(ドンコ)のものや、収量の多いもの等メーカーにより各種販売しておりますので、お好みに合わせて購入すると良いでしょう。 私達は肉厚で味の良いものを購入しております。次に菌(コマと呼んでおります)に合わせてドリルを用意して穴を開けます。 数はなるべく多いほうが菌の増殖も速く発生も多いのですが、費用と効果を考慮して1本に20個程度を植えるようにしております。 また、穴の深さもコマに長さより3ミリメートル深く設定されたシイタケコマ打ち込み用の刃先がホームセンターなどで入手できますので、これを使用すると簡単に作業できます。 ③ 養生(仮伏せと本伏せ)と発生 コマを打ち込んだ原木は、菌の増殖を計るために日のあたらない木陰に横に並べておきます。 木陰と限定したのは、雨が降った場合に葉から落ちてくる水が雨が止んだ後も長時間落下してくるので、原木の乾燥を防ぐのでお勧めです。 これが叶わないときは、地面に穴を掘り、原木を並べ、さらに藁などを被せて紫外線を防ぎながら養生します。 6月の梅雨に入る前に原木を立てて組みなおします。 これを本伏せと言ってますが、ここで重要なことは、1ヶ月をめどに原木を天地返しして、菌の増殖を促進してあげることが必要でしょう。 また、おまけですが「雷の多い年はキノコがよく採れる」ということわざがありますが、これは推測ですがキノコの菌は音や振動などの刺激に敏感に反応するのでしょう。 しいたけ発生!! 発生時期(菌によって異なります)が来るとシイタケが発生してきますので、こまめに収穫します。 生で食べるのが飽きてきたら、そのまま干し上げて「干しシイタケ」を造ると良いでしょう。 シイタケは日光の紫外線によりビタミンDが造られるのと、味が良くなります。小生の家ではお蔭様で年中自家用のものをいただいております。 ④ その後のメンテナンス 収穫を終えた原木は、しばらく休ませた後(1ヶ月程度)原木全体を子供が使用したビニールプールなどの入れ2日ほど浸水させて③に戻します。 この際菌の活性が高いと、直ぐに発生してくることがありますので、2日おきくらいには見回っていただけると幸いです。 シイタケは、3年から5年ほど毎年2回収穫できますので、相当楽しめると思います。 (常陸国住人後記) われわれが子供の頃はしいたけといえば、干ししいたけ、八百屋ではなく乾物屋で売っているものであった。人工栽培が行われる以前は、食べ物というより薬に近いものだったような気がします。 江戸時代には、自然に生えてくるものから、原木を鉈で切れ目を入れて菌糸がつくのを待つナタ目法というのが行われ、明治以降、中国にも輸出されるようになったといいます。 しかし今では、安いものは高野さんが書かれているように、おがくずなどで栽培する方法で大量に栽培され、逆に中国から輸入しているとか。 |
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