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             海外旅行記(7)

       (ベネズエラ・ギアナ高地)(1)

                          20109月           月岡淑郎

まえがき

ナイヤガラの滝、ビクトリアの滝、イグアスの滝は世界3大瀑布と云われており、小生、幸運にもこれらの滝を見る機会に恵まれた。その景観は何れも雄大で素晴らしいが、夫々特徴を持っている。
滝そのものを一つ一つとって比較すれば、ビクトリアの滝が最もスケールの大きいものと思う。
しかし滝が存在する場所全体としての規模を比較すると、イグアスの滝は何個もの大きな滝が広範囲に分布しているので、独断的ではあるがこれに優る滝の景観は無いものと思う。しかも、散歩コースが完備されており、その付近では多くの鳥を見たり、また鳴き声を聞いたりすることが出来る。運が良ければ、あの嘴の大きいオオハシ鳥が飛んでいるのを見ることも出来る。幾つかの滝を近くから、あるいは遠くから眺めながら大自然の中を散策する気分は、正に人生の至福のひと時でもある。
イグアスの滝はブラジル側からとアルゼンチン側から見学することが出来る。見学日数は2日位欲しい。もう一度行って見たいと思っている。

こんなことを考えていたら、ベネズエラにはエンジェルフォールがあって、その落差は979で世界一との話が耳に入ってきた。
また、滝の落差があまりにも大きいので、水は地面に到達する前に霧となって飛んでしまい、滝壺が出来ないと云う。世界の主だった滝には是非行って見たいので、調べたら、ベネズエラ・ギアナ高地の一角にあって、人が簡単には近寄れない場所にあると云う。

ギアナ高地とは、南米北西部のベネズエラ、ガイアナ、ブラジル三国の国境付近に亘って、標高26002700m100個以上もあるテーブル状の山々の集まりを指している。
それらの山々の多くは地上からの高さ
1000m位の岩壁となっている。従って、登頂されている山は多くない。殆どが人跡未踏の山々である。
エンジェルフォールはこのギアナ高地の北西部の一部、ベネズエラ領にある。エンジェルフォールの名は、
1937年、アメリカ人パイロット、ジミー・エンジェルによって発見されたことに因んで名付けられた。現地ではアンヘルの滝Salto Angel)と云っている。Angelはスペイン語読みでアンヘルとなる。

エンジェルフォールに行くには飛行機を3回トランジットして、延べ24時間近くのフライト、それに長時間の舟の旅、それに山登と、かなり過酷な行程を踏まねばならないらしい。齢74歳の私に行くことが出来るか少し心配したが、結局行って見たい欲望にかられて行くことにした。

また、私が参加したツアーは、エンジェルフォールから更にエクアドルのキト、グアヤキルそれにガラパゴスにも回ると云う。その方面にも興味があったので、齢のことはさておき、完全に行く気になってしまった。添乗員を入れて一行10人の旅であった。こうして、2006918日に出発した。

今回の旅は幸いお天気に恵まれ、しかも、見たものは全て目をみはるものばかりであった。体調も良く、人数も少なかったことから皆様とは家族的なお付き合いが出来て素晴らしく楽しかった。私が最高年齢者であったので、お父さんと呼ばれた。おじいさんと呼ばれなかったのが幸いである。

 

なお、ベネズエラとエクアドルの旅行記を一緒にすると長くなるので、本編では特に拠点となったカナイマ、およびエンジェルフォル、ユリの滝、カパックの滝、サポの滝などについて見た事、聞いたこと、感じたことを纏めたものである。ガラパゴスを中心としたエクアドルの旅行記は次回に譲る。

 

1.東京からカナイマへ

エンジェルフォールに行くには拠点となるベネズエラのカナイマに行くのが一般的らしい。先ず、東京・成田からアメリカ・アトランタ乗り換えでベネズエラのカラカスまで約17時間、乗り換え時間を加味するとざっと20時間である。カラカスのホテルには夜中の12時過ぎに着いた。
寝たのは日が変わって午前
1時を回っていた。カラカスからはカナイマ行きの飛行機は飛ばないので、地方空港のプエルトオルダスまで行かねばならない。カラカスのホテルでゆっくり休んでいる時間も無く、早朝5時ごろ起きてカラカス空港へ、ここからプエルトオルダスまで中型機で約1時間半、更に5人乗りのセスナ機に乗り換えて1時間半、カナイマ空港には正午過ぎ頃付いた。フライト時間、フライトの待ち時間などを含めると、目的地に着くまで大変である。

 セスナでの飛行機旅は面白かった。パイロットの後ろの席に座ったのでパイロットと話が出来たし、操縦席の前にはカーナビと同じようなナビがあって、ナビの地図上に飛行機の飛んでいく様子、目的地への方向、距離などが解る。しかもそれは取り外しが出来、目の前で見せてくれた。通常の飛行機旅ではこんなことはできない。パイロットは職務停止になってしまう。

飛行機はおんぼろで、窓は傷だらけのプラスチック製で、それに完全に閉まらない。シートベルトなんて付いているだけで機能は果たせない。エンジンだけは快調に回っていた。

それから、セスナ機には大きなスーツケースは詰めないので、スーツケースはカラカスのホテルに預かって貰った。エクアドルに行く時に受け取ることになっている。従って、軽装でセスナ機に乗っている。この状態で5日ほど過ごさねばならない。カナイマでの生活が気になる。

 

2.カナイマ・ワクロッジ

カナイマ空港は飛行機一機分の細い幅で舗装した滑走路があるだけで、他は土をならした状態になっている。でも、セスナは静かに着陸したので安堵した。写真1はその滑走路を空から見た風景である。

右端の林の中に空港待合室やカナイマの部落がある。写真2はカナイマの部落とその付近の河川地帯を空から見たものである。左上端に見えるのが空港の一部、その直ぐ下から右にかけてカナイマの部落がある。部落は美しい河川に接していて素晴らしい景色だ。マイナスイオンの多い健康的な環境にある村のようだ。

写真3は空港の待合室で、屋根は茅葺で側壁は無い。待合室の中は土産物の店が少しあるだけである。到着、出発のゲートは無い。帰る時の話であるが、飛行機に乗る時の荷物検査は無かった。通常の空港に着いた時のイメージは全くない。空港に着いたとき、これでは泊まるところも凄く鄙びた所だろうなとちょっぴリ不安になった。

写真4はホテル内の風景である。

写真2で、空港の左手上部の河川に面した所である。このホテルはワクロッジと云う。確かに、ホテルなんて言うよりこの名の方が相応しい。茅葺の屋根の建屋が散在している。
我々の泊まる部屋はこの敷地内の一角にある建屋の中にあって、広いが空調設備は無い。暑い時は扇風機を使わねばならない。それも直径50cm以上あろうかと思える巨大なもので、スイッチを入れると凄い音がする。
また、後で気が付いたことであるが、ホテルに帰ったら直ぐにシャワーを使わないと湯は出なくなり、水になってしまう。前途多難なホテル生活である。部屋の外にはハンモックがある。

  

茅葺の屋根のレセプションルームに行ったら、写真56に示した鳥がいて、人間が傍に行っても逃げない。
写真
5の鳥の名は解らないが、嘴の形から見てフィンチの仲間ではないだろうか? 名前を知っている方がおられたら教えて下さい。
人の傍に寄って来てコップの縁にとまり、ジュースを飲んでいる。人間に慣れているとはいえ相当図々しい鳥である。
写真
6はオオハシ類の仲間で、ポルトガル語でツッカーノと呼んでいる鳥である。嘴は重そうだが、開け閉めしている様子を見ていると意外に軽いらしい。でも、何でこんなに大きな嘴に進化したのだろうか。このレセプションルームの近くには人間が近づいても逃げようとしない沢山の鳥がいた。人里離れた楽園に来たような気がしてきた。

一方、ワクロッジの敷地内を散歩していると、写真7に示した大きな湖のような河に面した所に出っくわした。この河の名はカラオ河で、直ぐ先でカロニ河につながり、更に、それは130kmほど河下でベネズエラ第一の大河オリノコ川に繋がっている。目の前の河の向こうに沢山の滝見えた。カラオ河は左手方向に流れている。
沢山の滝は、写真
2で、手前から中央に向かって流れている三つの河が、湖状の河に流れ落ちる時に出来ているものである。
写真
7の左手に見えるテーブル上の山はギアナ高地の一部である。正に絶景である。絵葉書のようである。暫し見惚れていた。

写真8写真7の左手部分を望遠レンズで撮影したものである。ギアナ高地の手前にはアチャの滝が見える。見事な景観である。ワクロッジは素晴らしい所に位置していることに気が付いた。喧騒な世間から離れて住むには格好の地である。

写真9は夕食の時に村の教会に行っている子供達が来て、村の歌を合唱している情景を撮影したものである。教会の子供達らしく、教会関連の歌も沢山混じっていた。そこまでは良かったが、その後、子供達が歌った歌のCDを販売し出した。ちょっと興醒めだが、子供達が真剣だったので一枚購入した。

ワクロッジは何だか面白そうである。ここを起点として近辺の観光をすることになる。

参考のため、写真10にベネズエラの地図を示した。カイナマは地図の右下である。

 

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