このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
秩父三十四観音霊場歩き巡礼道中記(4) 第1日目 5月22日(土) (日立から十五番まで 徒歩距離:21.7km) ◆日立から 一番・四萬部寺まで ( am4:50〜10:10 徒歩3km ) 興奮して良く眠れず、朝3時30分に起床、朝食後4時50分に自宅を出発、多賀駅まで約3km歩き、5時50分発の上野行き特急に乗る。天気は良さそうで気分爽快である。 ■<一番> 誦経山 四萬部寺 総洞宗 御本尊:聖観音菩薩 身の丈46.5cm 行基作と言われている。 御詠歌:ありがたや 一巻ならぬ法のはな数は四萬部の寺のいにしえ 秩父三十四観音霊場巡礼の最初のお寺である。境内の売店で納経帳と納札を購入した。早速、納札に参拝者としての住所、氏名を記入して山門に戻り、巡礼参拝作法に従い合掌一礼。水屋に移り手を清め口をすすぎ、観音堂の前に移る。まずローソクを灯し線香を上げ、納札とお賽銭を納めて読経を行った。 四萬部寺山門 観音堂 ◆一番・四萬部寺 から 二番・真福寺へ (am 10:25〜10:55 徒歩2.1km) 旅館「旅籠一番」の前を通り、坂を下って定峰川に架かる清水橋を渡り、農村風景の道を進む。次第に登りがきつくなり人家もなくなって杉林の中の山道を登って行く。日陰の中を歩くが汗が滴り、吐く息も荒くなる。
旅籠一番 真福寺への農道 最初から四国遍路の遍路転がしのようなきつい登りである。20分ほど登ると、高篠山(665m)の中腹にある二番・真福寺に到着。途中で参拝客2人を追い越す。 ■<二番> 大棚山 真福寺 総洞宗 御本尊:聖観音菩薩 身の丈54.5cm 一木作り 御詠歌:めぐり来て願いをかけし大棚の誓いも深き谷川の水 狭い石段を登ると、入母屋造りの観音堂が立っている。無人で山門、水屋、鐘楼もなく、火事を警戒してか線香、ローソク立てもない質素な御堂である。巡礼の白衣、菅傘、巡礼杖をした老人2人を含め10人程の人達が休息していた。読経のみで参拝は終了。 観音堂への石段 真福寺観音堂 ◆ 二番・真福寺 から 三番・常泉寺へ ( am11:05〜11:55徒歩3.2km ) 二番・真福寺参拝後、杉林の土道の巡礼道を下り、平地に出て納経所の光明寺で墨書と朱印を頂く。 真福寺から下る杉林参道 その後、門前の坂を下り、「右三番」の道標に従って右折し、横瀬川に架かる山田橋を渡り左折し田んぼの中の1本道を進んで突き当たると、三番・常泉寺である。 ◆ <三番> 岩本山 常泉寺 曹洞宗 御本尊:聖観音菩薩 身の丈97cm 御詠歌:補陀落は 岩本寺と拝むべし 峰の松風 響く滝つせ こんもりした山を背に、三番・常泉寺の本堂がある。本堂から石段を上がった所に観音堂があり、四方に廻縁がある。四萬部寺の観音堂を作った秩父の名匠の藤田徳左衛門の造営と言われている。堂正面の彫刻は見事なものである。また妊娠中の女性を連想させる子持石も寺宝である。 常泉寺本道 観音堂と石段 ◆三番・常泉寺 から 四番・金昌寺へ (pm12:05〜12:20 徒歩1.0km) 常泉寺から駐車場の脇の道を行き、梅林を抜けて歩行者専用の「ふるさと歩道橋」で横瀬橋を渡り、道なりに進むと「左四番道」の道標がある。この道標の指示通り左折し、細い道に入っていくと、間もなく四番・金昌寺に着いた。 ■<四番> 高谷山 金昌寺 曹洞宗 御本尊:十一面観音菩薩 身の丈99cm 室町期の作と言われている。 御詠歌:あらたかに参りて拝む観世音 二世安楽と誰も祈らん 楼門形式の山門である。門の左右には金剛力士の大きな仁王像があり、その前面には大きなわらじが奉納されている。二階には五百羅漢等が沢山並んでいる。
金昌寺山門 境内の石仏群 境内には沢山の石仏が立ち並んで石仏群をなしており、埼玉県の指定文化財である。石仏群の中を進むと観音堂に至る。観音堂は正面三間の宝形造である。境内には食堂があり、ここで昼食をとる。若夫婦の客と女将の4人で秩父巡礼の話を楽しく語らった。東京から秩父観音霊場の静かな場所を散歩に来ているとのことである。 ◆四番・金昌寺 から 五番・語歌堂へ (pm12:30〜12:50 徒歩1.3km) 金昌寺の食堂でビールを飲み、気分が良くなったせいか納経を済ませることを忘れ、五番・語歌堂の納経の時に、指摘されて気がついた。五番・語歌堂へは平地を道なりに進むと20分で着く。正面には荒肌を出している武甲山(1,336m)が見える。 語歌堂への巡礼道より見える歩甲山 ■<五番> 小川山 語歌堂 臨済宗南禅寺派 御本尊:准低観音菩薩 宝冠を頭に付けた密教の女性尊 御詠歌:父母の恵みも深き語歌の堂 大慈大悲の誓い頼もし 境内を示す掘りもなく、山門と観音堂のみの無住の寺である。由緒ある札所というよりも路傍の御堂の観がする。 語歌堂の観音堂 ◆ 五番・語歌堂 から 七番・法長寺へ (pm1:15〜1:50 徒歩2.7km) 語歌堂で参拝を済ませ約200m離れた長興寺へ行き、納経をお願いした。次は順打ちで行けば六番・卜雲寺であるが、卜雲寺へ行く途中で距離的に近い六番・法長寺を参拝後、七番に逆打ちすることにした。 ■<七番> 青苔山 法長寺 曹洞宗 御本尊:十一面観音菩薩 行基作と言われている。 御詠歌:六道をかねて巡りて拝むべし また後の世をきくも牛伏 入口の山門は薬医門で簡素である。本堂は秩父霊場の中で一番大きく、平賀源内(1728〜1775 江戸末期の科学者)の設計によるもので、左右非対称な唐破風屋根の礼堂構造になっている。観音菩薩は本堂に安置されている。 法長寺山門と本道 ◆七番・法長寺 から 六番・卜雲寺へ (pm2:00〜2:10 徒歩0.7km) 七番・法長寺の納経を済ませ、また「右七番、左六番」の道標まで戻って左へ進むと、観光農園の向こうの丘の上に六番・卜雲寺があった。 ■<六番> 向陽山 卜雲寺 曹洞宗 御本尊:聖観音菩薩 身の丈36cm 行基作と言われている。 御詠歌:初秋に 風ふきむすぶ 萩の堂 宿坂の世の 夢ぞさめける 卜雲寺は江戸時代初期に、地元に住む島田与左衛門を開基として開創されたと言われている。寄棟の屋根の本堂は簡素で、ここからも武甲山が良く見える。 ト雲寺本堂 六地蔵と武甲山 ◆六番・卜雲寺 から 八番・西善寺へ (pm2:20〜2:45 徒歩1.8km) 六番・卜雲寺を出て法長寺側に少し戻って、かどや食品の先で左折し、下って横瀬川に架かる武甲橋を渡る。その先で国道を潜り「馬頭観音」の祠などがある樹林の中を通り、武甲山御岳神社表参道をしばらく行くと、森の中にある八番・西善寺に着いた。 <八番> 青泰山 西善寺 臨済宗南禅寺派 御本尊:十一面観音菩薩 平安時代の学僧恵心僧都の作と言われている。 御詠歌:ただ頼め まことの時は西善寺 来たり迎えん弥陀の三尊 山門を潜り境内に入ると盆地状になっていた。石段を下って行くと本堂の前に着いた。本堂の前には1本の巨木樹齢500年のコミネカエデがあり、緑の葉の木陰が出来ていた。本堂は江戸時代に再建された入母屋造りで軒唐破風の向拝になっていた。やはり水屋、鐘楼もなく、参拝客もいない。一人静かに参拝した。尚、石段の先に寺を写生していた若者を見かけた。 西善寺本堂 巨木コミネカエデ ◆八番・西善寺 から 九番・明智寺へ (pm3:00〜3:25 徒歩1.8km) 八番・西善寺の墓地を抜け、民家の軒先を進んで川久保橋を渡ると、西武秩父線の高架が見えてくる。広い道を三菱マテリアルの前を過ぎて西武秩父線に沿って進み、トンネルを潜ってなお進むと、九番・明智寺に着く。 ■<九番> 明星山 明智寺 臨済宗南禅寺派 御本尊:如意輪観音菩薩 平安時代の学僧恵心僧都の作と言われている。 御詠歌:めぐり来て その名を聞けば明智寺 心の月はくもらざらん 山門も掘もなく、境内は開放的な雰囲気である。誰も参拝客もいない。四国八十八カ寺の遍路の時は、どの寺にも遍路姿の参拝客が先達さんの先導に従い読経する経唱の響きが聞こえたが、秩父にはそれがない。 静かに本堂(観音堂)に来てローソクを灯し線香を上げ、納札とお賽銭を納めて読経を済ませた。本堂は平成2年再建された朱塗りの六角堂である。 明智寺本堂(観音堂) ◆九番・明智寺 から 十番・大慈寺へ (pm3:35〜4:10 徒歩2.2km) 九番・明智寺から横瀬の中心部を歩く。農村風景の中をしばらく行くと国道299号に出て、国道に沿って歩道を歩く。横瀬小学校の前で国道を渡って階段を下り、住宅地を巡礼道標に従って進むと、石段の上に大慈寺の山門が見えてきた。 ■<十番> 万松山 大慈寺 曹洞宗 御本尊:聖観音菩薩 平安時代の学僧恵心僧都の作と言われている。 御詠歌:ひたすらに頼みかけよ 大慈寺 六のちまたの苦にかわるべし 石段を上がって行くと、楼門形式の山門に着く。ここで合掌一礼する。門の左右に配置された金剛力士は、木心乾漆の技法で作られた貴重なものである。境内に進むとすぐ本堂である。寄棟のお堂に大きな唐破風の向拝を付けた姿である。夕方の静寂の中で一人参拝した。 大慈寺山門 ◆十番・大慈寺 から 十一番・常楽寺へ (pm4:20〜4:35 徒歩1.1km) 十番・常楽寺から住宅地の中の道を進むと国道との交差点で国道に入り、しばらく行くと右手高台に十一番常楽寺入口となる。 鳥居のある参道を上がると、常楽寺本堂(観音堂)であった。 常楽寺参道 ■<十一番> 南石山 常楽寺 曹洞宗 御本尊:十一面観音菩薩 身の丈90cm 行基作と言われている。 御詠歌:罪科も 消えよと祈る 坂氷 旭はささで 夕日輝く 丘の上の杉林の中に、こじんまりした本堂と納経所があった。山門、水屋、鐘楼、等なく、どこにもあるお堂のようである。参拝客もいなく、住職は戸締りをする所であった。急いで参拝を済ませ、納経の墨書と朱印を頂いた。 常楽寺本堂 ◆十一番・常楽寺 から 旅館「美さと」へ ( pm4:45〜5:00 徒歩1.1km ) 十番・大慈寺から来た道を0.8kmほど戻り、途中で右折するとすぐ今夜の宿泊旅館「美さと」に到着。早速、三番・金昌寺の未納経のことを主人に相談し、今日納経に行くことは中止し、三十四番を結願した帰りに秩父駅からタクシーで金昌寺へ納経に行くことにした。旅の初日の疲れをゆっくり入浴で癒した。 |
このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |