このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

 ひょうたん

 数年前の話です。

 茨城県の石岡は、古代の常陸の国の政治の中心地で、国分寺や、国分尼寺総社などがあった所である。

ここに行こうと、出かけたが、少し手前の交差点に、ひょっこりと、「ひょうたん美術館」と言う看板がでていた。

 昨年、庭で、千なりひょうたんを作ったりしたこともあり、面白そうなので、入って見た。見れば、立派な旧家である。

 

  ひょうたん美術館(というより旧家)

800円なりの入場料を払うと女の人がでてきて、土蔵やら蔵やらを改造したひょうたんほか武具や着物などを飾った部屋を案内して説明してくれた。

 

                     ここには無造作においてある

 聞けば、館長 (この女性の義父)が、以前に、呉服商を手広くやっていて、趣味で集めた物だと言い、約一万個(8000個位らしいが)あるそうである。

他には、客も無く、親切に案内してくれたが、途中で、85歳と言う館長に「後は頼むわ」と言って

行ってしまった。何のことは無い、それからは、館長の暇つぶしの相手をさせられたようなものである。

 色々と講釈を二人から聞いたが、いささか、疑問の所もあったので、後で調べてみた。

まず、ひょうたんは、日本人にとって、古くからなじみの深い物である。何しろ、縄文遺跡から、種がでてきたと言うくらい、古くから栽培?されていたらしい。

 

「ひょうたん」=瓢箪  

ふくべ、あるいは、ひさごひょうたん

      竹を編んで造った丸い容器、または、単に丸い容器

したがって瓢箪瓢でつくった丸い容器

しかし、ここではこれですと言って示されたのが、竹でつくった四角い容器であった。

調べてみると、竹を編んでつくった四角い容器=笥(シ)と言うのが正しい。

 

 いずれにしても、瓢箪や竹筒に酒や水を入れ、箪や笥に食べ物を入れて運んだと言うことであろう。(水は、雑菌も入っており、竹筒で使い捨てのことが多かったという)

 特に、瓢箪は、中間がくびれていて、そこに紐をかけると持ちやすく、酒を入れてもって歩くと、中で酒が程よく振れて、味が良くなるらしく、酒の入れ物として愛用された。

 館長の集めた瓢箪は、いずれも、あめ色の良い艶をしているが、これは、囲炉裏のそばに下げたりして、くるみの油で磨いたり、丹精をこめた物であると言う。

古い物で、江戸時代、中には、有名人がつかったと言うことで、箱書きがある物まである。

良い瓢箪とは、下のふくらみ、上のふくらみ、つるの残った部分のふくらみが7:5:3位が良いとの事であるが、これは、非常に少なかった。

清兵衛と瓢箪」にでてくる瓢箪もこんな物だったのではないだろうか。

 ぶら下げる紐は、真田ひものような組みひも、紐を止める輪は、角などの加工品、栓は、鹿の角(水分で膨れる)と言う具合にこった物が多い。

さらに、珍しい形とするため、成長過程で、紐で縛ったり、板を当てたりして、面白い形にした物もある。

長い物では、2m位、大きい物では、直径が60cm位のものもあった。しかし、出来上がった物もさる事ながら、作り方も大変であったろうと思う。

 

自分も、昨年、千なり瓢箪を造って、三十個ほどもできたであろうか、形の良い物を、十五個ほど、加工することにした。

中の種をどうやってとるのか?インターネットで検索すると、その苦労を、屡屡、書いている人がいる。

 つるを切って、切り口から、針金などを差込、果肉を砕いて、水に漬け、腐るのを待って、中を数回にわたって、えぐりだすのだと言う。この時の果肉の腐った臭いは、とても耐えられないほどの臭さだと言う。

これは大変と、さらに色々と調べてみると、「サカタのたね」「ひょうたんごっこ」と言う薬品を売り出していることがわかった。

 

  6くらいの箱

 

まさに、バイオの力で、果肉を酵素で分解するのだと言う。

これなら良いだろうと取り寄せて、口から入れて良く振り、日向で温度を上げ、数日して、振ってみると、液化した音がする。これに水を加え、一週間もしないで、きれいに中身が分解し、種をほじくりだすことができた。

 従来の方法だと、3−4週間はかかるとの事であり、こんなことを研究して商品化しているのかと感心した。

 こんな会話をしながら、老館長のお相手をしたのであるが、最後に、何をきっかけに瓢箪を集めることになったのですかと女房が聞いた。

館長は、ひとつの瓢箪を示して、いわく。

 若い頃、呉服の行商をしていて、お得意様の屋敷に行った時、主人がでてきて、妻は外出しているが、貴方がきたら買いたいものがあると言っていたので待っていて欲しいと言われた。

待っていて、所在なく、ふと、庭を見ると、雑草が生えている。手持ちぶたさなので、それをとってあげたが、奥さんはなかなか帰ってこず、結局、庭中を表から裏まできれいにしてしまった。

これに感心して、主人が、「俺の瓢箪の中から、どれでも気に入ったのがあったら持っていけ、あれはだめなどとは言わない」と言われてもらったのがこれですよと言う。

 そして、君も若い???がこれから生活していく上で、次の三つを守ったら良い。

「第一は、親や目上を立てること」

「第二は、妻をもったら、大切にすること」

「第三は、どんな商売、仕事でも、やる以上は、愚痴を言ったりしないこと」

自分は今日までそれを守ってきたのですよと言う。

 小生が、いまさら修身教科書のようなことを聞いても、あまり価値はないのであるが

なるほどと感心させられた。

感心したと言えば、この家の土地は、4500坪からあるが、雑草が生えていない。

それは、「富貴草」と言う草を植えると、それが日陰でも良く繁殖し、雑草を生やさないのだと言う。

 

                     富貴草(名前に惑わされてついーー)

 そして、その草を.一鉢、200円(今は150円!)で売っていたのを、草取りでいつも文句を言っている女房が買ってきたのである。

     

単に壁にぶらぶら                       一個だけ活用

作ったひょうたんは、まとめてぶら下がっている。一個だけ、トイレの花入れに。

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