このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

209系電車について思うこと

209系といえば、「走るんです」などとファンから揶揄されていた車両である。京浜東北線で活躍しこのたび廃棄となりつつある車両であるが、ことのほか私には感慨深いものがあるので、考察を書くことにした。

さて、この形式は、「コスト半分・寿命半分・重量半分」をコンセプトに作られた形式である。鉄道車両の寿命はおおよそ30年ほどだといわれているが、この車両は13年と半分以下である。また、13年後の使用ということをせず廃棄して新製車両を導入してもコスト面に影響が無いようにということで、コストを半分以下にする。また、重量半分は低価格による軽量、動力車の削減などの軽量化という意味である。

当時は、103系が大量に残っていた京浜東北線に大量にみられ、鉄道ファンから揶揄されていたが、E231系などの開発にも大いに貢献していることだろう。

車両を製造する側にもメリットがある。つまりは、これ以上新規需要が見込めない鉄道車両には、質の良い車両を長く使わせるより、少し質が劣る車両でも短いスパンで交換してもらえるほうが、安定した収入を得やすい。また、リサイクル効率もあがる。これは、他の業界でも見られる回転率向上である。

その点を評価したのか、しないのか209系はグッドデザイン賞も受賞している。また、209系の特徴を受け継いだE231系はローレル賞を受賞している。

ただ、鉄道業界の狙っていた目的とは裏腹に大きな事故がおきてしまった、それは、JR福知山線脱線事故である。ステンレス車両がグニャリと曲がってしまった、あの光景は鉄道ファンならずとも記憶に残っているはずである。この事故は、日本の鉄道神話を崩壊させた事故である。もちろん、その影響で、209系の風当たりも強くなったに違いない。

なぜなら、ほとんどの車両で車体がベコベコにへこんでしまっていたりひずんでいるからである。そして、209系の置き換えにはE233系電車があたり、編成出力も向上し、従来の良質・長寿命な車両に戻ろうとしている。

よくも悪くも鉄道の安全性・安定性を再認識させてくれた車両として私は、とても貢献した車両だと思う。

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